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2017/02/04

PLAY 「足跡姫~時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)~」 NODA・MAP

Ashiato_hime_posterNODA・MAP第21回公演「足跡姫逆鱗」を見てきた。
(写真は、地下鉄から東京芸術劇場に向かう通路にあったポスター。)

※以下内容に触れているため、未見の方はご注意を。

パンフレットにある古田新太さんのインタビューに「今回はあまり説教臭くなかったね」という言葉が自分の感想と重なってちょっと笑ってしまった。私自身、昨年「逆鱗」を見たあとこんな感想を書いていた。

野田さんはここ数年、第二次世界大戦は何だったのかをつきつける作品が多かったが、観賞後正直どこかちくはぐな印象を持つことが多かった。こなれきれてないというか、エンターティンメントと「主張」を持ったストレートプレイのどちらにもなりきれないお腹いっぱいさ、というか。だが今回は見事に融合して、腹の底にずどんと響く傑作を生み出した。

今回は2012年の年末(もう4年以上になるのか…)に亡くなった十八代中村勘三郎丈へのオマージュ作品と当初からアナウンスもされていて、たしかに全編勘三郎丈への語り尽くせない思い、早世を惜しむ気持ち等々たっぷりと詰まったものになっていた。特にクライマックスの妻夫木くんの長ゼリフは、これでもかというくらいの「ラブレター」で、涙が堪えられなかった。なんでこんなに早く逝ってしまったんだバカヤロー、そんな野田さんの叫びと、きっときっと俺たちが思いをつないでやるよコンチクショー、そんな決意表明のような。

冒頭謡が流れる中面をかけた二人の人物が進み出てくる。この謡、聞き覚えある、ぜったい知ってる曲だと思いつつずっと思いだせなかったのであとで検索してみたら「田村」とのことだった。

野田秀樹、宮沢りえ、妻夫木聡、古田新太ら、作り手と演者の舞台愛に胸が熱くなるNODA・MAPの新作『足跡姫』、ゲネプロレポート!

劇場に入ってまず目に飛び込んできたのが、一階客席左手に特設された花道。この花道も、舞台全体も板張りとなっているところが早くも歌舞伎、芝居小屋を連想させる。チョーン!と柝(ひょうしぎ)の音が響くと、舞台床に広げられていた、桜の大木が描かれた緞帳がゆっくりと上がっていく。再度、チョン!と柝が鳴ると、面をつけた古田と宮沢が登場。このプロローグでは能の謡曲『田村』が流れる中、台詞もなく、面をつけたままの古田と宮沢の存在感に惹きつけられながら、このあとの物語の行方を思い、想像力を刺激される。やがて宮沢が面をはずし、アンサンブルたちと共に薄絹姿で妖艶に賑やかに踊り出すと、もうそこは江戸時代のひなびた芝居小屋。いよいよ、物語が始まる。

ちなみに謡われていたのは詞章のここの部分だったと思います。(立命館大学能楽部 能「田村」全文現代語訳 より)

地謡『然るに君の宣旨には。勢州鈴鹿の悪魔を鎮め。都鄙安全になすべしとの。仰によつて軍兵を調へ。既に赴く時節に至りて。此観音の仏前に参り。祈念を致し立願せしに。』
さて天皇から下された命令は「勢州鈴鹿に住む鬼神を鎮め、都と地方都市の安全を取り戻せ」とのこと。軍兵をととのえ、ついに出陣という時になって、この清水の観音の前に参って、祈りを捧げ願いをかけたところ

とにかく宮沢りえさんのすばらしいこと。妖艶なダンス、弟を愛する慈愛に満ちた姉の姿、たたら製鉄を奪われた出雲の民の怨念の激しさ等々ひとりで何役もやるのに等しい振り幅の大きな演技がすさまじい。そして神々しく美しい。今の野田芝居のミューズはりえさんだと言えよう。

そして妻夫木さんの無垢な弟。相変わらず食えない芝居の古田新太さん。弾丸のように言葉が飛び交いその中を体が縦横無尽に動く舞台に圧倒されるのはいつものことだが、今回はどこかで勘三郎丈が見てくれているような空気で何とも言えないパワーにあふれていた。

こんな芝居をみたあと、パンフレットにある野田さんの勘三郎丈との思い出話を読むと、もう。名文です。ぜひお買いになることをお薦めします。

参考リンク:
感慨深い勘三郎へのオマージュ NODA・MAP「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」

野田お得意の言葉遊びを媒介に、ドラマに転調を呼び込む。正雪の生き霊が幽霊小説家(古田新太)となり、サルワカのゴーストライターを務める。それが劇中劇に波乱をもたらす。つまり、死者が動かす物語なのであり、阿国に憑(つ)く幽霊の足跡姫は「衝き動かすもの」の形象化だ。その背景に虐げられた庶民の姿がある。

宮沢りえ「どこかで観てくれている勘三郎さんを感じて」本日開幕「足跡姫」

本作上演決定の際に発表された野田の手書きコメントには、中村勘三郎、坂東三津五郎の死に触れながら「『肉体を使う芸術、残ることのない形態の芸術』について、いつか書いてみたいと思い続けていました。もちろん作品の中に、勘三郎や三津五郎が出てくるわけではありませんが、『肉体の芸術にささげた彼ら』のそばに、わずかな間ですが、いることができた人間としてその『思い』を作品にしてみようと思っています」と書かれていた。確かにその“思い”は、具体的なシーンやセリフとして描かれるわけではないが、伝統の世界に身を置きながら反骨精神を持ち続け、歌舞伎に新風を吹き込み続けた勘三郎と三津五郎の“足跡”は、作品の随所にさまざまな形で表れていた。

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