MOVIE 「シン・ゴジラ」(2回鑑賞後)
ゴジラシリーズの最新作として、撮影されていることは知ってはいたが、予告編以外はあまり触れることもなくいきなり公開が始まったような印象だった。そして見てきた人たちの怒濤のような絶賛。これは一体何なのだ、と思っているところに、「シン・ゴジラは2016年のマッドマックスだ」という言葉を見つけ、そこまで言われるのならば見ておかねばなるまい、と、8月に入ってようやく映画館に行くことができた。
見て納得。これはすごい。すごすぎる。作品の力にただただ圧倒された。
映画.comにある解説は以下の通り。
「ゴジラ FINAL WARS」(2004)以来12年ぶりに東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務め、「のぼうの城」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の樋口真嗣が監督、同じく「のぼうの城」「進撃の巨人」などで特撮監督を務めた尾上克郎を准監督に迎え、ハリウッド版「GODZILLA」に登場したゴジラを上回る、体長118.5メートルという史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンに描き出す。内閣官房副長官・矢口蘭堂を演じる長谷川博己、内閣総理大臣補佐官・赤坂秀樹役の竹野内豊、米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役の石原さとみをメインキャストに、キャストには総勢328人が出演。加えて、狂言師の野村萬斎がゴジラのモーションキャプチャーアクターとして参加している。
ひと言で言えば、「如何ともしがたいとてつもない大きな災厄に対して、人間(今回は官僚・政治家を中心とする)がどう立ち向かうか」を描いた作品。ゴジラの襲来やそれによる街の破壊は、2011年3月11日の東日本大震災を彷彿とさせる。故にまだ津波や地震の映像に対してのトラウマが消えていない方は、映画館での観賞は今回ばかりは見送られることをお薦めする。そのくらい真に迫った映像なのだ。
また蒲田や品川、鎌倉や武蔵小杉などの場所に土地勘があると倍楽しめる。自分の知ってる風景をゴジラが蹂躙していったりそこで自衛隊の攻撃を受けたりするのはかなりぐっとくるものだった。
主な登場人物は政治家、官僚、自衛隊員。最初は会議、会議、また会議。新たな会議体が設置されるたびにガラガラとコピー機の山が設置されるのが妙にリアリティを感じて笑えた。(実際リアリティを追及して、政府や官庁にかなり取材をしたとのこと)
そうこうしているうちにゴジラ(当初はまだ命名されておらず、「巨大不明生物」と連呼される)が蒲田の呑川を遡上して上陸する。どんどん都心に進み、北品川(この八つ山橋は初代ゴジラの上陸地として有名らしい)でついに立つ。京急電車を吹っ飛ばす。(このとき台車が残って転がっていったのがまたリアル)すさまじいテンポと勢いでここまで来たあと、ゴジラは突如きびすを返して海に戻っていく。
さらに巨大化して鎌倉から再上陸し、川崎を横切って武蔵小杉で自衛隊総力戦を受けるも、びくともせずに多摩川を渡って(丸子橋が…)世田谷、目黒を横断して都心に向かうゴジラ。米軍の攻撃を受けてのゴジラのすさまじい反撃は、その激しく、しかし奇妙に美しい映像と荘厳な音楽にただただ圧倒されるばかりだった。燃え盛る街の風景は、3月11日の夜、大阪のビジネスホテルでみたテレビの映像の気仙沼市を思いだされるものだった。なすすべもなく、燃える街を眺める気持ち。あのときの気持ちを久し振りに思いだした。
ゴジラを巨大化させたのは人間なら、動きを止めるのも人間。かくしてゴジラの生態を解読し、生命活動を凍結させる「ヤシオリ作戦」が準備され、決行される。そこに集まった多くの人間の叡智と骨惜しみない働きには胸が熱くなる。
最後の最後、「無人在来線爆弾」には「うわ、そう来たか!」と驚き感動し、外遊中で難を逃れて首相代理になった前農水相はただの事なかれ主義者かと思いきや意外な顔を見せた。みなそれぞれ自分の持ち場で精一杯の「仕事」をしている。それがすばらしい。
前評判通りの相当の早口セリフに映像を含んで情報量があまりに多く、一回目の観賞ではテロップをかなり見落としていたことに、二回目に気が付いた。三回目はゴジラの動きに萬斎さんの「物の怪」の動きがどこまで感じられるかをぜひチェックしたい。
というわけで、周囲の評判通り私にとっては大傑作だった。2016年のベストフィルム候補トップになりそう。
怪獣映画は苦手でも、エヴァに興味がなくても、まったく問題なく楽しめる(私はそうだった)ので、そういう方こそ足を運んでみてほしい。
#みんな大好き尾頭さん。(庵野監督の奥様・安野モヨコさん描く)
関口文部科学大臣に呪われる尾頭さん。モヨコ#シンゴジラ #庵野秀明 #シンゴジラXモヨコ pic.twitter.com/X5XxxA7gmf
— 安野モヨコ (@anno_moyoco) 2016年8月22日
「赤坂補佐官とランドゥーヤグチ」
ついに描いてしまいました。
— 安野モヨコ (@anno_moyoco) 2016年8月17日
赤坂補佐官とランドゥーヤグチ。モヨコ#シンゴジラ #シン・ゴジラ #庵野秀明 #庵野監督 pic.twitter.com/Wq9AcAvQrF
参考リンク:
公式サイトにある庵野総監督のコメント。
始まりは、2013年1月末でした。東宝の方から直接「ゴジラの新作映画の監督をお願いしたい」と、依頼を受けました。
精神的にも不安定でしたし、「無理です。エヴァもあるし、出来ませんよ」と、その場は固辞しました。
が、東宝の誠意と盟友樋口真嗣監督の熱意に心が動かされ、
同年3月、監督を引き受ける事にしました。過去の継続等だけでなく空想科学映像再生の祈り、特撮博物館に込めた願い、思想を具現化してこそ先達の制作者や過去作品への恩返しであり、その意思と責任の完結である、という想いに至り、引き受ける事にしました。
今しか出来ない、今だから出来る、新たな、一度きりの挑戦と思い、引き受ける事にしました。
エヴァではない、新たな作品を自分に取り入れないと先に続かない状態を実感し、引き受ける事にしました。同年5月、作品として描きたい、描くべき主題を決めました。
そして同年6月、G作品メモという企画書を東宝に提出、プロット等の作成を開始。ゴジラが存在する空想科学の世界は、夢や願望だけでなく現実のカリカチュア、風刺や鏡像でもあります。現在の日本でそれを描くという無謀な試みでもあります。
正直、世界資本に比べると制作費も制作時間も極端に少ない日本の現場で、様々な内容面に関する制約の中で、果たしてどこまで描けるのかはわかりません。ただ、映画としてのプライドを持ち、少しでも面白い映像作品となる様に、本作もシン・エヴァも全力で作っていく事が、今の僕に出来る事だと思って作業を進め、映画の方向性や脚本内容等で紆余曲折あり、現在に至っています。
制作者が何を書いても言い訳にしか過ぎず、善意と悪意の前に晒される事態を重々承知の上で、こんな時代のこの国で日本を代表する空想特撮作品を背負って作る、という事を少しでも理解していただけたらという願いから、拙文を寄せています。
最後に、自分を支えてくれる周囲の人々と、作品を支えてくれているファン・観客の皆様の御蔭で再び、映像が作れる、という事に改めて感謝します。
ありがとうございます。
『シン・ゴジラ』 30,000字のネタバレ作戦 【加筆修正】(妄想ジャンキー。)
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