BOOK 「冠婚葬祭入門」 塩月弥栄子著
実はこの本、昭和の大ベストセラー。昨年亡くなられた著者・塩月弥栄子さんの大ヒットシリーズの最初の一冊だったのです。
塩月弥栄子さんの冠婚葬祭“再”入門(2)「婚」を知る(女性自身)
3月8日に逝去された塩月弥栄子さん(享年96)。その著書『冠婚葬祭入門』シリーズは、’70年に初版が刊行され、合計で700万部を超える大ベストセラーに。昭和の時代の「しきたりやお作法のバイブル」は、平成のいまもなお、確実に私たちの「?」に答えてくれる。
目次は下記の通り。
人生における時系列で並べたそうです。
第一章 見合いから結婚まで
第二章 出産から卒業まで
第三章 通夜から年忌供養まで
第四章 元旦から大晦日まで
第一章は1-155。そのうち22件が「見合い」について、というのが時代を感じます。
また145「仲人と両親は新婚旅行を見送らない」と言うのを見て、そう言えば昔は新婚旅行の見送りなんてのがあったみたいだなあ、ということを思い出しました。
第二章は156-198。出産といいつつ妊娠中のことは着帯(腹帯をつけること)程度で、あとは出産後のあれこれや子どもの初節句などの話題です。「お食い初め」なんて言葉もこの本で覚えました。
また196に 「就職の依頼は、具体的に述べる」というアドバイスがあって、当時の就職の様子がしのばれます。
第三章は199-295。仏式、神式、キリスト教式など宗教によって違うところを解説されています。
また246の「お悔やみの言葉は、月並みなほどよい」というのはなるほどなあ、と思いました。
第四章は296-390。いわゆる季節の行事について書いてあります。
319「お茶会に呼ばれたら懐紙を用意していく」とあり、「初釜に招待されたけど心得がないという場合」について書かれていますが、このあたりは裏千家家元の長女として育った筆者ならではの項でしょうか。
また369に「土用の丑の日には、うなぎを食べるとは限らない」とあり、体力をつけるのが目的だから牛でも豚でも魚でもいい、と書かれているのは合理的だなあと思いました。というか、この当時うなぎは高価でそもそも庶民の手は届かない代物だったのでこう書かれたのかもしれません。
全体的に今とそれほど違わないことと随分変わったことがそれぞれあり、時代背景の変化を含めて大変興味深く読みました。何より今は結婚式やお葬式はプライベート化が進んで、参列する機会が減ってきているように思いますので、まだそういうイベントがオフィシャルだった時代はどんな様子だったのかを知ることができます。
子どもの頃の私はきっとこれを読んで、まだ見ぬ自分の未来にはこういうことをひとつひとつやっていくのだろうか、と夢見ていたのでは、と思います。だからこそ数えきれないほど読み返したのでしょう。
どんな風にマナーが変わっていったのかを捉えるのにも貴重な一冊と言えると思います。超ベストセラーだったので、古本も多く出ているようで、私もすぐ買えました。こういう本こそ電子書籍化されるとうれしいのですが、コストに見合わないのかもしれませんね。
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