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2016/03/18

TV 「NHKスペシャル 風の電話  ~残された人々の声~ 」

Wind_phone_box3月10日に放送されたNHKスペシャル「風の電話~残された人々の声~ 」。この写真の場所、私も訪れたことのある大槌の「風の電話」に訪れる人たちについての番組。放送当日のツイッターでの評判が非常によく、私もようやく録画した再放送を見た。

「津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町。海を見下ろす高台の庭園に、不思議なたたずまいの電話ボックスがある。その名は「風の電話」。中にあるのは、線のつながっていない黒電話と1冊のノート。亡くなった、あるいは行方不明になった家族や友人ともう一度言葉を交わしたいと願う人々がここで受話器を握り「会話」をする。震災直後、地元の人が「遺族と故人が心を通わせる場が必要」と設置したのが始まり。ノートにはすでに訪れた無数の人の思いが綴られている。」

予告を見ただけで泣いてしまいそうなこの番組。今もここに来て、もう会えない人に電話をかけて話そうとする、そういう人たちが大勢いる、という事実を、静かに丁寧に描き続けるすごい番組だった。

丘の上にしばらく車を走らせた場所にある、民家の庭の中にある電話ボックス。そこをわざわざ訪れ、扉を開け、電話線のつながっていない黒電話を見る。受話器を取り上げ、ダイヤルを回す人もいればすぐに話し始める人もいる。回すダイヤルは流されてしまった自宅の番号だったり、様々なのだろう。そして語りかける。今はいない人たちに。いまどこにいる、どうしてる、と。自分はひとりぼっちで苦しい、つらい、生きている意味が見つけられない、と言う人もいる。残った家族でそれでも元気に暮らしてる、という人もいる。でも寂しい、と、あなたがいないことが苦しくてたまらない、とも。

家族みんな流されてしまって、ひとり残された自分は死んでしまおうと何度も思った、でも自分がいなくなってしまうと、誰がみんなのことを思い出してくれるのか。みんなが生きてたことを自分はこの世に残し続けないといけない。たまらなくつらいけど、そうしないと、という思いひとつで生きているという男性の涙ながらの言葉はまさに慟哭だった。

返事のない受話器の向こうにひとしきり話し続けたあと、ひと息ついて顔を上げて受話器を置く。「また来るね」と言う人もいる。そうして気持ちに一区切りつけて、電話ボックスの外という日常にまた足を踏み出す。

撮影は本人の了承を得ている、というテロップが最初にしばらく続く。それにしても、おそらく周りの人には言えない思いを吐露するこんな姿を映すのをよく許可したなあ、と思うくらいにありのままであろう姿があった。ツイッターでスタッフがあの「ドキュメント72時間」の人らしいと誰かが言ってた気がして、クレジットを検索してみたら、たしかに「72時間」のチーフプロデューサーの相沢孝義さんという方が制作統括だった。あの番組のスタッフの撮影なら納得できる。

制作はNHK仙台。地元の局制作だけあって、東京視点の「こうあってほしいストーリー」ありきのものではない、「『もう5年』なんかじゃない、『まだ5年』しかたってないんだ」という、残された人たちの思いを、余計なことは加えず映し出していた。だからこんなにも胸を打つのだと思う。

次の再放送予定はまだないようだが、ぜひ多くの方に見てほしい番組。

オンデマンドはこちらから。

参考リンク:
森の図書館(東北に行こう!)
#風の電話のある場所の「森の図書館」について

第42話 「風の電話」と「森の図書館」(2014年1月)(武庫川女子大学附属図書館)

津波の時刻、多くの家族はそれぞれの場所で被害に遭っている。最期がわからない。話したかったことがあるに違いない。聞きたいことがあったのに違いない。そう、この電話で、亡くなった人たちに思いを届けることはできないだろうか。風が声を運んでくれないだろうか。佐々木さんは決心した。花や木を周りに植えた。そして、黒く古い電話機のそばにこう書いた。

 「風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又は浪の音が 或いは小鳥のさえずりが聞こえたなら あなたの想いを伝えてください」

 全国紙が記事にしてくれた。まだ電話が復旧していなかったころである。ネットを通じてすこしずつ広がっていった。ある作家は「心のインフラ」と言ってくれた。目に見えないもの、耳に聞こえないものはたくさんある。だから、繋がっていなくても伝えられる言葉はいっぱいある。

「日本を支える子どもたちを、東北から送り出したい」森の図書館に込めた想い(大槌みらい新聞)

寄せる波はあるけれど返す波がない世界でも珍しい「片寄せ波」の海岸として知られる浪板。「海が見渡せる眺望が気に入っている」と13年前に大槌の水産加工会社を辞めてこの土地にやってきた。ちょうど海が見える場所にベンチが置いてある。昨年3月11日は、この場所から津波に襲われる浪板を見つめていた。

海岸沿いにあったホテルは波にのまれ、辺り一面に水が押し寄せた。猛然と襲いかかる波に建物と車が流されていく光景を見つめ続けた。佐々木さんは「私は生かされた」と当時を振り返る。庭も家屋も無事だったが、自らに出来ることは何かを考え始めた。

震災前から設置していた風の電話。「震災で突然の別れを強いられた被災者の心の助けになってほしい」と改めて植栽を整備した。ボックスの中には黒いダイヤル式の古めかしい電話がある。受話器を持ち上げても、当然、何の音も聞こえない。「聞こえないと思ったら、本当に何も聞こえないんです。でも、じっと耳をすませると何かが聞こえてきますよ」。

マツコも称賛『ドキュメント72時間』、人々が本音をこぼす撮影の裏側

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