とてもファンタスティックでロマンティックで衝撃的だった「成田亨 美術/特撮/怪獣」展@青森県立美術館
青森県立美術館で開催されている「成田亨 美術/特撮/怪獣」展に行ってきました。
一度行ってみたいと思っていた美術館だったのと、成田美名子さんのおじさま(正確には成田美名子さんのお父様の従兄弟)であり、ウルトラマンなどの懐かしい特撮のデザインをされていた成田亨さんの特集展ということで一度は見ておこうと思い足を運びましたが、これが予想を遙かに超えた素晴らしい展示でした。今、これを見ることができて本当によかったと思うくらい。
展覧会の概要から抜粋。
成田亨 美術/特撮/怪獣
~出品点数700点!史上最大の回顧展! “時代”に抗った孤高の天才芸術家、その「軌跡」と「閃光」
会期:2015年4月11日(土)-5月31日(日)
休館日: 5月11日(月)
開館時間:9:30 - 17:00(入館は16:30まで)
(中略)
今回の回顧展では、こうした多岐にわたる成田の仕事の全貌を紹介いたします。青森県立美術館所蔵のウルトラ関係デザイン原画187点をはじめとする特撮関連の作品、未公開の怪獣デザイン原画、初期および1970年代以降の絵画・彫刻など総点数700点により、非凡なる才能を秘めていた芸術家の知られざる全貌に迫ります。みどころ
- 青森ゆかりの美術家・特撮美術監督成田亨の全貌を紹介する初の大規模回顧展!
- 多数の初公開作品を含む約700点の圧倒的な作品数で、成田芸術の神髄に迫ります。
- 青森県立美術館が所蔵するウルトラ関連のデザイン原画187点も一挙公開!
- ヒューマンやバンキッド、幻で終わった企画、未発表怪獣などマニア垂涎の作品に加え、貴重な初期作品、晩年に手がけた鬼の彫刻など、ジャンルを超越して活動した成田の活動が一望できます。
- 成田亨が手がけた映画のセットも当時のスタッフにより完全再現。実際にカメラで撮影してセットの映像の差を体感いただけます。
いろいろ圧巻でしたが、特にすごかったのは朝日ソノラマ版「宇宙船」に掲載された「ナリタ・モンストロ・ヒストリカ」の西洋のモンスターたち(ホビット、ゴブリン、ドラゴン等々)の線画の数々と、大江山の鬼のモニュメントでした。
「ナリタ・モンストロ・ヒストリカ」については、ピクシブ百科事典にこのような解説がありました。
朝日ソノラマ版『宇宙船』vol.22(1985年2月号)~vol.27(1985年12月号)にかけて、連載された、イラストエッセイ。全六回。 直訳すると「怪獣の歴史」と言える。連載されていた時期が1984年版『ゴジラ』公開直後である事から、第1回の序文及び内容的に見て、『ゴジラ』のみならず日本の怪獣映画全体に対するアンチテーゼとも言える作品である。
絵を描くにあたり、いわゆる「異形のものたち」について、文献を当たって色々と調べられたようなのです。そして様々なモンスターたちの造形について、人が何を恐れ何に神性を感じるのか、それをどうやって表現するのか、という観点から読み解き、絵として描いているのが「ナリタ・モンストロ・ヒストリカ」の数多くの線画とエッセイでした。
同様の手法で日本・東洋の「鬼」「龍」などについて描いている線画も一緒に展示してあります。
元々それほどこういう分野に強い興味がある訳ではありませんが、ペガサスやドラゴン、ドワーフ、エルフといった様々な神話・伝承の中のモンスターたちがどのように生まれてきたものなのかをじっくり知ることができる、とても貴重な機会になりました。
そして、成田亨をおじ(正確には父親の従兄弟)とする成田美名子さんの「花よりも花の如く」14巻に登場する大江の鬼のモニュメント。このタイミングで見ることができるなんて。まさにタイムリー。
日本の鬼の交流博物館 ミニ企画展『成田亨 鬼のモニュメント』(福知山市)
「鬼のモニュメント」とは、故成田亨さんが旧大江町の依頼を受けて制作された作品で、高さ5メートルの台座上にブロンズ製の酒呑童子、茨木童子、星熊童子の三体の鬼が立っています。この中でも酒呑童子、茨木童子の像は京の都を指し示し、退治された天皇や源頼光たちに恨みを放っています。
こわいだけでなく哀しみをたたえた表情、苦悩を表す体のポーズ、それは歴史の中で人間の異形の姿として描かれてきた「鬼」でした。
こういったものをふまえて、その後ウルトラシリーズのデザイン原画を見ると、この膨大な歴史を背景に、新しい「異形のもの」としての怪獣や宇宙人などを次々と生み出して行ったのか、ということを肌で感じることができて、とても興味深いです。
あとは映画の特撮ミニチュアのデザインと実際のセットの写真とか。「麻雀放浪記」の冒頭・上野駅周辺のミニチュアが、直に見るとなんだか随分荒っぽいのに、カメラを通して映像で見るとこんなにもリアルになるんだ、という驚き。最近ではCGの技術が進んでこういうものも作られなくなったのだと思いますが、これもまたすごいセンスと技術だなあと。
そんな感じであちこちふらふらしながら見ていたら、あっと言う間に1時間半が過ぎていました。
もっと語りたいことはたくさんあるような気がしますが、ひとまず私のつたない感想はこのあたりにしておいて、撮ってきた写真で雰囲気など。
美術館入り口にあったポインター号。
展示入り口(このあと地階にエレベーターでおりていきます)
(展示そのものは当然ながら撮影禁止でした)
フライヤー全種類。この他に、前売券購入者のみが入手できるシークレットバージョンがあるとのこと。
個人的にはゼットン先輩が一番好み、ですかね。
購入したグッズはクリアファイル2種。
このカネゴンの絵(原画はアクリル画)を会場で見たとき「ああ、なんていい絵なんだろう…」とうっとりしていたらクリアファイルになっていて、迷わず購入。あとはオールスターイラストのダブルポケットファイル。
他にもいろいろいいのはあったのですが、さすがにウルトラマンや怪獣の顔のドアップとかは自分の年齢を考えたらちょっと手を出せず…。
ちなみにカネゴンの絵のタイトルは「カネゴン (青空、散歩) (夕日と土管)」です。
青森県立美術館に来たもうひとつのお目当ては、「あおもり犬」。
関連展示で安彦良和さんの「アリオン」原画などもありました。
念願のあおもり犬も見れて、大満足!でした。
参考リンク:
ファンタジー好きな女性も満足! 特撮・怪獣ファンじゃないけど、展覧会「成田亨 美術 / 特撮 / 怪獣」に行ってみる(おたぽる)
「成田亨 美術 / 特撮 / 怪獣」は、高尚な芸術作品はわからなくても、モンスターや怪獣が好きなら楽しめる。かといって、単なるヲタ向けマンガ展覧会とは違った芸術性がある。特撮ファンの男性たちよ、臆することなく、彼女や奥さんを連れて行きたまえ。特撮ファンの女性たちよ、ファンタジー好きや仏像マニアのお友達を誘うがいい。特撮なにそれ? っていうお友達よ、大丈夫、怪獣以外の展示も面白い。それでもダメなら、奈良美智による「あおもり犬」がある。もちろん、子どもたちは見たこともないであろう宇宙人や怪獣の画に大喜びするだろう。
成田亨 美術 特撮 怪獣(遊行七恵の日々是遊行)
#青森の前に福岡市美術館で開催された展覧会についての記事。
大仕事の一つにモンスター大図鑑がある。そしてもう一つ「ナリタ・モンストロ・ヒストリカ」。
自身の創造した怪獣ではなく、世界中に伝わる怪獣や幻獣などを描いた作品群で、コラムも成田自身の手によった。オーク、ゴブリン、トロル、クラーケン、グール、ファントム…
いずれも幻想文学や魔法世界に関心のある人には親しみのある<怖い存在>である。
クリーピンググラットは妖怪人間のタレのように見えた。
物思いにふけるヴァンパイア、パイプを吸うホビット、現象ではなく怪獣としてのドッペルゲンガ―は女の顔で表現されている。
ノーム、コボルト、エルフ、ユニコーン、デュラハーン、ジャバウォック、ワイバーン、バジリスク…
芸術は怪獣だ!『成田亨 美術/特撮/怪獣/ ウルトラマン創造の原点』へ行く
#こちらは富山で開催された展覧会について。
濃厚な特撮の世界から出てくると、入口のすぐ外の壁に、この展覧会を企画した北日本新聞の関連記事がスクラップされていました。これが必見です!もしかしたら、見落として帰った人もいるかもしれませんが、勿体無い!
日本美術史の中の成田さんの位置づけなど力の入った記事ばかりですが、中でもその生い立ちから晩年までを取材した連載「ウルトラの引力」は必読でした。
晩年、成田さんはご子息にこう言ったことがあるとか。「お前にはお兄さんがいる。ウルトラマンとセブンだよ」
不覚にもこれを読んでいて、涙が流れました。
周りにはこの展覧会を見に来た子供達が大勢いて、流石に恥ずかしいので眼鏡を拭くふりをして、涙をぬぐいました。
怪獣の唇にドキッ!? ウルトラマンの特撮美術展は女子も楽しめる(女子SPA!)
また、予想外だったのは、ドラゴンやドワーフといったモンスターの画。まるでファンタジー小説の挿絵を見てるみたい。またトイ面にはずらり鬼やら仏像のデザイン画が並んでいます。これらは日本昔話の絵本を見ている気分です。学芸員の工藤健志氏によると、和洋問わず異形のものを一堂に会した展示は珍しいのだそうです。総数なんと160点。うん、ここだけでもかなりお得な気がします。
成田亨は、モンスターや鬼、仏像といった神話伝承のキャラクターをとにかくたくさん描いていたのです。そうして研究したからこそ、怪獣デザインの第一人者になったのでしょう。人がどういうことに恐怖を感じて、なにに可愛いと思うのかをきっちり理解していたのかもしれませんね。
青森で「成田亨展」 ウルトラマンの原画やマニア心くすぐる仕掛けも(弘前経済新聞)
昨年7月に富山県立近代美術館(富山県富山市)に行われ、2015年1月から福岡市美術館(福岡県福岡市)で開催。同館を最後に「この規模で成田さんの展示会は今後しばらく行われないのでは」と話す学芸員・工藤健志さん。さまざまな仕掛けを用意したと意気込みを見せる。
会場デザインにもこだわりを見せる。「鬼は見上げる存在でなければ」と鬼のモニュメント「大江山の鬼」は人の目線より高い場所に展示。「ウルトラマンといえばSF特撮の金字塔」と工藤さん。展示スペース全体をSF的な空間に統一したブースもあり、「すべての展示を見終わった後にも仕掛けがある」とほほ笑む。青森というつながりから、弘前大学に在籍したこともある「機動戦士ガンダム」などのキャラクターデザインを務めた安彦良和さんの漫画原稿も特別展示している。
青森県立美術館 ウルトラマン案内標識コンプリート ( 青森県 ) (くーがblog Я - Yahoo!ブログ)
2年くらい前でしょうか?青森県立美術館への道路案内標識に青森県出身特撮美術館監督の成田亨氏のウルトラマン・ウルトラQ・ウルトラセブン等のデザイン画が採用され、いろいろ話題になりました。
展示数700点! 青森県立美術館「成田亨 美術/特撮/怪獣」展は、創作に関わる人必見でした(さいとうレポートblog)
成田亨展は5月31日まで。既に入場者は1万人を超えたそうです。
記念講演会や親子ギャラリーツアーなど企画も充実してます。ここの美術館は本当に企画力がすごい。
この後、ミッフィー展も控えているようです。
でも、その前に、成田亨氏の足跡を色々と読みあさった今、またもう一度見に行きたい衝動にかられています。表現すること、作ることでお金をいただく仕事をする人は、見るとかなり突きつけられるものがありますよ。
白泉社 (2015-05-01)
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