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2015/03/12

MOVIE 「幕が上がる」&「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」

映画「幕が上がる」オリジナル・サウンドトラック平田オリザさん原作・ももクロ主演で高校演劇を描く話題作「幕が上がる」を見てきた。

※以下内容に触れているため、未見の方はご留意ください

実を言うと「ももクロ」は全く詳しくない。紅白と生さだで一曲二曲やってるところを見ていただけだ。ただ、私は中学・高校と演劇部員だった。そんな私には「平田オリザ」「ももクロ」「高校演劇」の組み合わせがフックになって、しかも前評判では「ももクロがガチで演技しているらしい」というものも聞こえてきて、かなり期待しながら見ることに。

予告編。

公式サイトにあるストーリーはこのような内容。

地区予選敗退。最後の大会を終えた先輩たちに代わり、部長として富士ヶ丘高校の演劇部をまとめることになった高橋さおり(百田夏菜子)。「負けたらヤなの!」と部員の前で意気込むさおりだが、悩める日々が続く。どうやったら演技が上手くなれるの?演目は何にすればよいの?「わからないー!」 そんな時、学校に新任の吉岡先生(黒木華)がやってきた。元学生演劇の女王だったらしい!美人だけどちょっと変わったその先生は、地区大会すら勝ったことのない弱小演劇部の私たちに言った。 「私は行きたいです。君たちと、全国に。行こうよ、全国!」 気迫に充ちたその一言で、彼女たちの人生は決まる。演目は「銀河鉄道の夜」、演出は部長のさおり。演じるのは、看板女優でお姫様キャラの“ユッコ”(玉井詩織)、黙っていれば可愛い“がるる”(高城れに)、一年後輩でしっかり者の“明美ちゃん”(佐々木彩夏)、そして演劇強豪校からのスーパー転校生“中西さん”(有安杏果)らの部員たち。吉岡先生と、頼りない顧問の溝口(ムロツヨシ)と共に、富士ヶ丘高校演劇部は、見たことも行ったこともない、無限の可能性に挑もうとしていた。

見終わった素直な感想は「よかった!とても素敵な青春演劇映画。ももクロちゃんたちみんな可愛いし、演技きちんとしてるし、何と言っても黒木華さんの吉岡先生がもうカッコよすぎ!」。

言われてみるとたしかに「高校演劇」を描いた映画やドラマってあまり見なかった気がする。活動が「お芝居をすること」なので、劇中劇を描くって複雑で避けられていたのかどうなのか。
講堂や教室を使った公演の様子とか、ジャージを着て放課後の校舎の屋上で発声練習とか、自分の体験がそのままスクリーンに再現されてとても懐かしい。あと高校時代の、自分が何物なのかよくわからない何とも言えない不安感とか、友人との距離感とか。

けっこうドキッとしたのが、明美ちゃんがさおりに後ろから抱きついて「さおさんが好き」って言うところ。あの湿り気は間違いなく高校生女子が女子に対して抱く恋愛感情の「好き」で、うわこんなところまで書き込んじゃうんだ、とヒヤッとした。実は昔、中学時代に一番仲が良かった友人から、別の高校に進学してしばらくたってから「あの頃あなたが好きだった」と告白されたことがあって、その時の「そんなこと、ぜんぜん、知らなかったよ」というドキドキした感じが蘇ってきたのだ。私は何も知らずに彼女に自分の片思いのつらさとか、初めてできた彼氏のこととか、高校が別れてからも手紙に書いて送っていた。知っていたとしても彼女の気持ちに応えることはたぶんできなかったけど、でも鈍感すぎる自分に腹が立ったり。

あんな立派な大会は私は経験してなくて、せいぜい新潟市の音楽文化会館で毎年開催された市内高校演劇部の合同研究会に出たり、あとは県大会に一年だけ進んだことがあったくらい。私は演技が下手くそでなかなか役がもらえず(うちの部は無記名投票のオーディションで役を決めていた)、照明やったり演出やったり。演出だってちゃんとしたプランを作ったりなんかしないで「思いつき」でやってたのに近くて、今から思うとよくあれだけ何も知らないままいろんなことをやっていたものだと思う。

ストレートな青春映画、ということで「シムソンズ」を思いだした。目標に向かって笑ったり泣いたり、うまくいったりいかなかったり。でこぼこしながら前に進んでいく彼女たちの表情の美しさ。周りの大人の温かさ。

中西さんのお父さん役でいきなり「水曜どうでしょう」の藤村ディレクターがでかい声で登場したときは、ああそういえば出るって言ってたっけ、と思いつつびっくりしたり。他の家族役もいろいろまた豪華だったのだが、それはまあ見てのお楽しみということで。

そんな風にとても楽しめる作品だったので、そのメイキング「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」もぜひ見たいと思って見てきた。というか、平田さんが撮影前彼女たちにどんなワークショップをやったのか、そこに興味がとてもあったのだ。

そちらの予告編。

2014年初夏。映画の撮影に備え、ほぼ演技未経験の彼女たちは、超多忙な生活を送る中、映画の原作者でもあり演出家の平田オリザ氏のワークショップを受け、”演じる”ということを徹底的に体に叩き込まれる。セリフ、動き、感情をコントロールしながらも、当然のごとく自然体でなければならない。慣れないことばかりの連続は、自分との戦い。不安を抱えながらも、その日、撮影初日がやってくる。普段は何万人もの観客を前にパフォーマンスをする彼女たちでも、いつもとは違う緊張感のもと一台のカメラの前に立つ。悪戦苦闘しながらも演じることの奥深さを身をもって感じていく日々。笑顔の裏にある涙、悔しさ、葛藤…。彼女たちが駆け抜けたひと夏の、もう一つの姿を追ったリアルな物語。。。 映画界、演劇界のトップランナーたちと、女優としては未知数なももクロ。そこに化学反応が生まれた一つ一つの瞬間を、約400時間に渡り密着したカメラが記録していた。

とても濃厚な世界が描かれていて、これはぜひ本編とセットで見てほしいと思った。

平田さんのワークショップは体験版みたいなものに出たことがあり、1~50のカードを使うやつやボールを投げるやつなどは実際私も経験している。そういうウォームアップから入って、「銀河鉄道の夜」を実際演じてみるところの止まらないダメだしのすごさ。役者にセリフを言わせながら他のことをやらせる(負荷をかける)とかえって演技が自然に見えるとか、目からウロコだった。

始めはとまどいながらも段々といろんなものをつかんで、自分たちのものにしていく様子、緊張を乗り越えて次に進んでいく様子、監督の長回しの中で自分で工夫してその役としてふるまい続ける様子、そんな場面が淡々と続いていって、これ自体が彼女たちの「成長物語」としてとても魅力的な作品になっていた。

とは言え、パンフレットに平田オリザさんのこんな厳しいことばがあった。

今回は俳優を育てたのではなく、本広さんからの要請に合わせて、この映画のために必要になる基礎的な演技を短期間で教えた、という言い方の方が正確でしょうね。

次は舞台「幕が上がる」が彼女たちを待っている。脚本は平田オリザさんご自身だ。パンフレットで「映画版のある一部分の所が濃密に…数日間くらいの感じかな?そこをクローズアップしたものになります」と言われている。熱心なファンのみなさん(「モノノフ」と呼ばれているらしい)を始めとして、これを機会にいろんな方に「演劇」を体験していただけるとうれしいなあと思う。

公演日程 2015年5月1日 (金) ~2015年5月24日 (日) 原作・脚本 平田オリザ 演出 本広克行 出演 百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、 佐々木彩夏(ももいろクローバーZ) 他

平田オリザ×本広克行×ももいろクローバーZ
小説から映画、そして舞台へ
映画と同時上演、トライアングルプロジェクトがここに完結!
いよいよ舞台「幕が上がる」の幕が上がる!

それにしてもあの「銀河鉄道の夜」はとても素敵なお芝居だった。どこかで全編見れないものだろうか。

Makuga_agaru_poster


Makuga_agaru_sonomaeni_poster

3/14追記
高校の演劇部を題材にしたマンガでは、沖倉利津子さんの「あなたはだあれ!?」(武者小路実篤の「友情」を演じていました。コミックス「木曜日はひとり」収録作品)、吉田秋生さんの「櫻の園」があったことを思い出しました。

参考リンク:
ももクロ主演『幕が上がる』 演技輝かせた製作の裏側(日経エンタテインメント! )


そして平田氏によるワークショップは、2014年6月末から4時間ほどのものを4回開催。さらにクランクイン目前の8月にも2度行われた。

 前半は与えられたシチュエーションで、自然にセリフが言えるきっかけを俳優自身で考えてみるなど、演技をする上での助けとなる思考を学ぶのが中心。後半はオーディションで選ばれた演劇部員役の女優らも加わり、『幕が上がる』そのものと、映画の中で部員が演じる舞台『銀河鉄道の夜』の台本を基に稽古をしたという。

 「演劇部を舞台にした物語なので、監督から演劇を作る過程や俳優はどういうことを考えるかを体験させてほしいと依頼された」と平田氏。演出を担当する高橋さおり役を演じる百田夏菜子は、常に平田氏の横に立ち、演出家の動きやしゃべり方を学んだそうだ。

 「多くの現場を経験しましたが、撮影が始まる前にワークショップを開く作品なんて初めて。分刻みで動く人気者がこれだけの準備をしてくれたことで、徐々に不安は薄らいでいきました」(守屋氏)


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コメント

とても面白く拝見しました。
男子との恋愛要素がなくて女子同士の仲の良さが大きな要素を持っている、
というのはいいですね。

銀河鉄道の夜と、その稽古風景(という演技)は↓で見ることができます。

劇中劇 MCZ×銀河鉄道の夜
https://www.youtube.com/watch?v=4QW7-n4enw0

投稿: みそ | 2015/03/14 02:35

>みそさん

コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、恋愛要素がなくて女子同志に焦点を当ててるのは効果的でしたね。

(動画情報もありがとうございました。)

投稿: くりおね | 2015/03/15 21:40

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