BOOK 「私と起業家6人の挑戦―自分の道を探す若者たちへ」 池田弘
今まで何回か記事でご紹介した古町糀製造所の社長さん、葉葺正幸さん。彼の師匠と言うかグル的な方が、アルビレックス新潟をここまでにした池田弘さんという方なのですが、その方が葉葺さんを含む新潟の若手起業家の方について書かれた書籍が、「私と起業家6人の挑戦―自分の道を探す若者たちへ」です。
Amazonにある紹介文は下記の通り。
仕事を通じて幸せになるために必要な2つのこととは?スポーツ不毛の地といわれた新潟で、J1・アルビレックス新潟を成功に導いた現会長である池田弘が、自らの体験の中で培ってきた幸福哲学について語ります。
自らが会長を務める異業種交流会501の会員である起業家6人の葛藤や苦労、決断を知ることも、仕事と幸せを考えるうえで参考になります。
◎就職や転職など時期にあって、自分の道を探している若い人たち
◎起業を考えている人たち
◎すでに起業して頑張っている人たち
などにとって、おすすめの一冊です。
目次(紀伊國屋BookWebより)
第1章 「自立」して生きる
第2章 「つながり」ながら生きる
第3章 「理想的な生き方」ができない社会
第4章 「幸福社会」の実現への道
第5章 私が考える「幸福社会実現計画」
第6章 私のまわりの挑戦者たち
第7章 新たな挑戦を奨励する文化をつくる
前半部分は池田氏の考え方について書かれており、第6章が実際の事例紹介になっています。この事例紹介のトップバッターが葉葺社長なのです。
これまで葉葺社長ご自身の講演やFacebookページでの書き込みなどから知っていたことも多かったですが、これを読んで初めて知ったこともけっこうありました。
たとえば、事業を拡大するにあたっていろんな人たち(それも大手企業に勤めていたような方々)が「どうしてもここで働きたい」と何人も飛び込んできて、正社員として大活躍しているという話や、おむすび屋を「もう辞めたい」と言っていた社員がテナントとして入っている銀座松屋の全従業員の中でMVPとして評価されるようになった話など、驚きつつも「古町糀さんらしいなあ」と納得できるエピソードでした。
特におむすび屋さんの話は、葉葺社長がその社員さんに言ったというこの言葉がとても印象的でした。
「何を作っても何をやってもすべての仕事にルーティーンワークはある。おむすびを作る作業だけが自分の仕事であると考えてやるのか、その仕事の中に無限の可能性と社会性を見いだして取り組むのか、銀座十石でそれができなければ、きみはきっとどこに行っても同じ不満を持つだろう。」
この言葉が説得力を持つのは、実は葉葺社長自身が通った道だったからです。「おむすび屋が大の男の仕事なのか」と悩んでいた頃、たまたまお客様におむすびに使われている梅を売ってほしいと言われて試しに売ってみたら予想以上に売れた、という経験から、「お米を握ったおむすびを、具材という無限の選択肢を持った商品としてあらためて認識するようになった」のです。そして糀、日本酒、味噌とステージがどんどん広がっていったわけですね。
葉葺社長ご自身の資質もさることながら、著者の池田氏という方も相当な方らしく、以前葉葺社長が講演で「池田さんは絶対にやめさせてくれないんですよ」と半ばこぼすように言われていたのがとても印象的でした。事業を起こしていくと言うのは、必ず失敗が起きるし、続けていけないと思って池田氏に言うと、「やめるな」と絶対に首を縦に振らなかったのだそうです。(もちろん一人二人の例外はあるそうですが)
「続けさせる」というのもかなり胆力のいることだと思います。そういう方だからスポーツ不毛の地と言われた新潟に、アルビレックス新潟をあそこまで根付かせることができたのでしょうね。
前半に書かれている人生観や地域振興のための施策提言の内容については人それぞれ賛否両論があるかと思いますが、第6章にあるような起業家のみなさんを様々な形で支援している方の書かれた書籍として一読の価値があると思います。
尚、この11月23日に、新潟市の峰村醸造直売店前の敷地内にて、葉葺社長の念願だった「大醸し祭」を開催されるそうです。
【11月23日(日) 《大醸し祭》 開催致します】(峰村醸造facebookページ)
当日は、 ・峰村醸造自慢、《味噌の盛り放題》※1回500円 ・今代司酒造の《今代司の純米お燗酒のカップ販売》 ※1杯300円 ・古町糀製造所提供、当日限定《ピンチョス》の販売※限定80食 ・新潟の恵みに感謝して、《新鮮な野菜の販売》 ※価格は決まり次第お伝えいたします。そして、
今代司酒造の会長であり、
古町糀製造所・峰村醸造
そして【銀座十石(おむすび屋)】の社長である、
葉葺正幸自らおむすびを準備して提供致します。
こちらは無料提供になります。
※お1人様1個迄になります。
温かい味噌汁もサービスになります。
銀座十石、古町糀製造所、峰村醸造、今代司酒造とグループ勢揃いのお祭りになりそうです。地元の方がうらやましいです。
ウイネット出版
売り上げランキング: 436,943
売り上げランキング: 58,763
| 固定リンク
« BOOK 「みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP」 田家秀樹 | トップページ | はっぴいえんどのあの頃を撮った人・撮られた人が語る:「野上眞宏 × 細野晴臣『SNAPSHOT DIARY』の時代」@Apple Store, Ginza »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- BOOK 「私と起業家6人の挑戦―自分の道を探す若者たちへ」 池田弘(2014.11.19)
- セキュリテ被災地応援ファンドで北海道の被災地・霧多布のヤマジュウを応援(2012.02.26)
- 8/14 MIAUシンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」に行ってきた(2009.08.15)
- 村上春樹さんのエルサレム賞受賞スピーチ・私訳(2009.02.19)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- BOOK 「冠婚葬祭入門」 塩月弥栄子著(2016.07.21)
- BOOK 「気仙沼ニッティング物語―いいものを編む会社―」 御手洗珠子著(2016.03.05)
- ラグビー日本代表SH田中史朗選手「負けるぐらいなら、嫌われる」出版記念サイン本お渡し&握手会に行ってきました(2016.02.01)
- Sports Graphic Number 891号 特集 日本ラグビー新世紀 桜の未来。(2015.12.03)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- ポケモンGOで自分の街を知る1年(2017.07.06)
- 京都で絶品タルトタタンをいただいた~岡崎・ラ・ヴァチュールさん(2016.12.06)
- 経堂・つるばみ舎でホットケーキを食べてきた(2016.09.11)
- 京都・嵐山の小倉百人一首殿堂 時雨殿で「ちはやふる」の修学旅行を追体験(2016.05.16)
「新潟」カテゴリの記事
- 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」に初参加(2015.09.14)
- 今年は正三尺玉三連発!「長岡まつり大花火大会2015」はYahoo!、ニコ生でも中継あり(2015.08.03)
- 成城アルプスのケーキに新潟の名店・ニコルを偲ぶ(2015.06.16)
- うるおう日焼け止め化粧品「糀肌ひやけどめ」で春の紫外線対策を(2015.04.23)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント