あまちゃんの本当の最終回「第157回『おら、紅白でるど』」は紅白内「生ドラマ」だった
まさかここまでやってくれるとは。
もうあちこちで書かれていると思いますが、昨年末の紅白歌合戦。「あまちゃん」にジャックされたような時間でした。
9月に「あまちゃん」の本放送が終わり、こんなに(一部に熱狂的に)人気があるし、歌が中心を占めてるドラマなのだから、何かの形で年末の紅白歌合戦には出てくるんじゃないかとひそかに期待し続けてました。でも10月になっても11月になっても何の動きも見えません。小泉今日子さんが大晦日の仕事を頑なに拒否しているなんて噂も耳に入ってきて、これはもう期待できないのかな、と思っていたら、年の瀬も押し迫ってきた頃ようやく「GMTとアメ女とアキちゃんが一緒に『暦の上ではディセンバー』を歌うらしい」なんて情報が出始めてきました。
そうこうしているうちに、クリスマスイブにようやくNHKからの公式情報としてアナウンスがありました。
企画コーナー決定のお知らせ 連続テレビ小説「あまちゃん」“特別編”を紅白の中で生放送!!(第64回紅白歌合戦)
“じぇじぇじぇ!連続テレビ小説「あまちゃん」が帰ってくる!?”「第64回NHK紅白歌合戦」のスペシャル企画として、「あまちゃん」出演者による企画コーナーを実施することが決定した。
今年9月に、第156回で終了した「あまちゃん」が、“特別編”として第64回NHK紅白歌合戦をジャック!する。
内容は「あまちゃん」らしく、歌あり、ダンスあり、笑いありのステージショーを予定。
天野アキを中心としたピックアップメンバーによって、「暦の上ではディセンバー」が紅白のステージでパフォーマンスされるなど、どんなステージになるのかお楽しみに!
また今回、紅白では、天野春子、鈴鹿ひろ美、足立ユイの皆さんにも、出演をオファー。
天野アキを応援すべく出演していただけることとなった。企画コーナーの脚本は宮藤官九郎さん特別書き下ろし、音楽は大友良英さんが担当。「あまちゃん」スタッフが集まり、紅白のステージを楽しく盛り上げてくれる。
12月31日、紅白歌合戦の進行の中、どのタイミングで「あまちゃん」“特別編”があるのか、今年の紅白は最初から最後まで目が離せません!!
クドカンが書き下ろすなら、中途半端なお茶濁しにはならない、あまちゃんワールドが帰ってきてくれるんだなあ、と一安心し、前日のあまちゃん10時間総集編の余韻に浸りつつ大晦日を迎えたら。
どこかで聞いたことのあるメロディーが流れながら紅白スタート。NHKホール内には絣半纏姿の能年ちゃんがドラの前に安定の挙動不審ぶりで立ってます。紅白上下の大友良英さんたちが通路で演奏しながらオープニング。ラストは能年ちゃんがドラを叩いて開幕。いや、天野アキとあまちゃんスペシャルビッグバンドの演奏なので、すでに能年ちゃんではなく「アキちゃん」ですね。
しばしの歌合戦のあと、北三陸駅前に吉田副駅長が「中継」するため、アキちゃん以上の挙動不審ぶりで立ってます。会場からの呼びかけにも緊張のためか応じず、マイペースでまめぶを紹介するため駅舎に入るとそこにはまめぶ大使のあんべちゃん。スナック梨明日に入ってさあまめぶのことを話すぞ、と思ったらそこには勉さんを始めとする常連さんたちの忘年会会場になっている、という展開。大吉さんのゴーストバスターズを弥生さんが邪魔して愛の讃歌を歌おうとしたり、紅白の中継が入ってることを知って春子さんが慌ててサングラスをかけたり、勉さんが琥珀を熱弁するのを組合長と吉田君が中断させたり、画面に移るストーブさんにアキちゃんが「ストーブさん邪魔!」と相変わらず邪険にしたりしてるとミス北鉄のユイちゃん登場。紅白で歌うアキちゃんにエールを送ってる最中になぜかキャリーバッグを転がして鈴鹿ひろ美が登場、「天野さあああん、リモコンどこお?」と付き人時代と同じ頼りっぷりを見せ、そんな鈴鹿さんを押し退けて春子が「アキ、ちゃんと歌いなさいよぉ。歌詞なんか間違ったら承知しないわよ!」と恫喝…。そこで一旦「中継」は中断。
その後またしばらく歌合戦が続いたあと、鉄拳のパラパラマンガ「こんな紅白はいやだ」がニュースで中断されるというネタをはさみ、何組かの歌のあとでいよいよ天野アキとGMT、アメ横女学園の登場です。
懐かしい顔ぶれが並んで、生バンドで、アキちゃんが「暦の上ではディセンバー♪」と歌い始めると、なんだかもうそれだけでうるうると来てしまいます。あなたたち本当によかったねぇ、むくわれたねぇ、と、まるで実在のアイドルグループに対するように感じてしまって。(大友良英さんのぎゅんぎゅんうなるギターもかっこ良かった!)
「暦の上ではディセンバー」が終わると、アキちゃんが画面の向こうのユイちゃんに「こっちにおいでよ!」と呼びかけ、ユイちゃんが「アキちゃん、すぐ行くから、待ってて!」と答えてスナック梨明日を飛び出します。ここでおなじみのオープニングテーマが生演奏で鳴り、バックのスクリーンに「第157回『おら、紅白でるど』」と移った瞬間「そうきたか!」と。ユイちゃんはきたてつで宮古に出た後タクシーに乗り、そのタクシーが空を飛んでNHK裏へ。ステージに駆け込むユイちゃんと、一緒に入ろうとするタクシーを運転していた正宗さんが警備員に止められる、というお約束もかましたあと、いよいよアキちゃんユイちゃん揃っての「潮騒のメモリー」。
ここからは涙がノンストップの号泣タイムで、二人が歌ったあとの二番は「オラの大好きなママが歌います」と繋いで「天野春子」名義で小泉今日子が。そして「三途の川のマーメイド、友達少ないマーメイド」と歌った後は、鈴鹿ひろ美が奈落から登場し第一声の「アイ・ミス・ユー」で涙腺決壊。
最後はキャスト全員登場して「地元へ帰ろう」を合唱。しみじみと胸にしみました。
最後の最後に春子さんが「ヒビキ!」と叫ぶと審査員席のクドカンの後ろにヒビキ一郎が「やべっ」と。弥生さんたち海女軍団は嵐の松本潤にきゃあきゃあと舞い上がって触ろうとしたり、と涙だけで終わらせないいかにもクドカンらしい大団円でした。
ユイちゃんの上京、春子さんが影武者でなく自分の名前で歌うという、ドラマでは叶えられなかった夢がめでたくかない、主要メンバーの変わらなさっぷりも見せてもらえて、さすがにクドカンも続編を言われることはなくなるでしょう。何よりこれでやっと私たちがあまちゃんから卒業できる、満足できる企画でした。しかもドラマと同じ15分という長さで。奇跡のような時間でした。
※「あまちゃん」をご覧になってなかった方やあまりお好きでなかった方には、歌合戦を見るはずなのになぜこんな茶番を延々と見せられるのだ、と耐えがたい悪夢のような時間だったかもしれませんが、どうか平にご容赦くださいませ。
そんなわけで大変嬉しく紅白を見終わったのですが、ひとつだけ心残りがあります。
それは、劇中観光協会の菅原さんが言ってた「(このあとは)さだまさしがだらだらやってる番組を見て」というセリフを、「ゆく年くる年」のあとの「生さだ」の中でさださんご本人がとても気にしていらっしゃって、何度も「だらだらやってるって思われてるんだからね」と口にしていらしたこと。明らかに気に障ったご様子に私には見えました。
どういう経緯であの流れになったのかはわかりませんが、さださんも好きな私としては、このまま気まずい感じで終わってほしくないなあと勝手ながら思っております。せっかくの「奇跡の最終回」なのですから…。
あとはDVDで楽しませていただきます。本当に、本当に、素敵なドラマを届けていただきありがとうございました>あまちゃんスタッフの皆様
おまけ:
紅白終了後の春子ママ(キョンキョン)のつぶやき。
あけましておめでとうございます‼︎
紅白でめちゃくちゃ緊張して、あまちゃんメンバーみんなでカウントダウン乾杯して、新しい年を迎えました。
今年も普通に頑張ります‼︎
よろしくお願いします。
★小泉本人★
— 小泉今日子&STAFF (@KOIZUMI_STAFF) 2014, 1月 6
終了後春子ママたちはこんな風に目撃されていました。
@carnaval1987
紅白の後に小泉さんは新宿リキッドルームで卓球等が出ている年越しのイベント会場に突然現れ、『潮騒のメモリー』を生歌で歌ったそうです。
紅白〜新宿リキッド〜のギャップが素敵!
さすが小泉さん( ^ω^ ) pic.twitter.com/nHIoTXWANH
— ブルート (@bluto_0930) 2013, 12月 31
どひゃー!!!! @LIQUIDROOM のバックステージが「スナック梨明日」へと変貌!!!! 戯れのメタフィクション!!!! http://t.co/DiToXhEiDD #DOMMUNE pic.twitter.com/Nu7q4uoJtK
— UKAWA NAOHIRO™ (@DOMMUNE) 2013, 12月 31
関連リンク:出演者の皆様の回想
おはようございます。(橋本愛オフィシャルブログ)
ファンタジーでいたかったのに、
どうしてもどうしても伝えたいことができてしまったなと思って、
昨夜のことを書きます。手短にNHK紅白歌合戦に足立ユイとして出演させていただいて
作品自体が奇跡の塊みたいなのに
目の前で(舞台袖で)春子さんと鈴鹿さんが歌う姿を拝見できること、
「あまちゃん」を大切に思ってくれている方々が
この機会を間違いなく”待って”くれていて、迎えてくれたこと
会場の皆さんのお顔と、宮藤さんや宮本さんのお顔を見て本当に安心できました。
どれだけ奇跡を目の当たりにさせてくれるの!と
この作品に寄せられた愛の大きさを
多分初めて体感できた一夜でした。
自分がその一部であることを強く、嬉しく思いました。
それ以上に強く強く、作品を愛してくれている皆様に感謝の気持ちがあります
何度も言うから、伝わらないようで怖いのですが
心を込めて
本当に、ありがとうございます。
ドラゴン(能年玲奈オフィシャルブログ)
昨日は大興奮でした。
こんな事、この先ないんだろうと思って力いっぱい楽しませていただきました。
紅白歌合戦(渡辺えりオフィシャルブログ「夢見る力」)
私たちは出演者は30日に何度もリハーサルをして本番に備えました。 2分半という時間にきちんと収まるよう、演技を全員で繰り返しチェックしたのです。NHKの隣のふれあいホールにリアスと同じセットを作り、
スタッフもみんなでリハーサルしました。
懐かしいメンバーがスタッフ、キャストともに揃いました。
リハーサル風景を放送した方が笑えるのでは?と思うほどのにぎやかさでした。
みんなにまた会えて嬉しかったです。終わった後、みんなで打ち上げしました。
場所をさがしていたのですが、プロデューサーが
気遣って下さいました。
みんなでカウントダウン!新年に「あまちゃん」の仲間といることができました。
私は琥珀のネックレスを付けていたんです。紅白の出演場面を録画したビデオをお店で流して下さり、それを観て
みんなで大いに盛り上がりました。
小泉さんの出演シーンで会場が「おー」とどよめきましたね。
2014-01-02 紅白「あまちゃん 第157話」(大友良英のJAMJAM日記)
脚本は宮藤官九郎、演出は吉田照幸と井上剛、プロデューサーの訓覇圭や菓子浩をはじめ、出演者、スタッフ、音楽もみなドラマ「あまちゃん」のメンバー達です。いつもは録音と編集でしか出会うことのなかった僕らあまちゃんスペシャルビッグバンドも、やっと生のステージでみなさんとご一緒することができました。
これで、本当に「あまちゃん」にピリオドを打てました。
ドラマがシャドーの話なのに、現実の録音ではベイビーレイズや水瀬いのりさんにシャドーをやってもらったこと、ずっと心にひっかかってました。それだけに紅白一緒に出れて嬉しかったです。(小野寺ちゃんやベロニカ、ベイビーレイズの渡邊璃生さんが年齢の関係で出れなかったのは残念ですが)なんの音程修正もされていない彼女達の生の声が重なりあって
「暦の上ではディセンバー、でもハートはサバイバー~~」
と力強く歌が始まった瞬間に、これでいい、これがいいんだよな~って思いながら演奏してました。
審査員でしたが、夏ばっぱこと宮本信子さんも。紅白で着ていらしたのはアルマーニだったんだ!
「・・・紅白歌合戦・ゆく年くる年(ラジオ)・・・」 (タンポポだより)
「紅白歌合戦」・「ゆく年くる年(ラジオ)」つつがなく終えました。
大晦日の大きな二つの仕事は、私にとって光栄なことでした。まさか私の人生でこういう事が起きるとは思ってもみませんでしたから、本当に驚きました。本当に~~そして、嬉しかった~~(笑)
「あまちゃん」が全国の皆さまに好かれ、愛された結果です。ありがとうございました!
・・・
特別企画「あまちゃん」コーナーは楽しかった~~(笑)
アキは相変わらず可愛いし、舞台に上がっている皆さんを久し振りに見て、とっても懐かしい!
さすが宮藤さんの台本、オモシロカッタ!
「潮騒のメモリー」の歌も素敵でした。
「地元に帰ろう」GMTのメンバーの皆さんの晴れ姿と、少し緊張していた笑顔が初々しくてヨカッタです!
関連リンク:秀逸な考察
あまちゃん 第157回「おら、紅白でるど」(成馬零一が考えていること。)
クドカンドラマには作品内フィクションが登場し、物語の力を使って、自分たちの現実を変えていく姿がいつも描かれていたのだが、今回の『あまちゃん』第157話が面白いのは本編(フィクション)では実現できなかったアキとGMT5+アメ女(マメりん)の共演、ユイの上京、表舞台で春子が歌うといったことが次々と実現されていったことだ。「潮騒のメモリー」の「来てよ その火を 飛び越えて」の歌詞のその火とは「その日(3月11日)」のことだと、確か放送終了後にディレクターかプロデューサーが語っていたと思うが、フィクションから現実に『あまちゃん』という作品がジャンプしたように思った。
元々、若い頃の春子の挫折が描かれた直後に天野春子名義で「潮騒のメモリー」のCDが発売されたりと、『あまちゃん』は本編を逸脱した部分での盛り上がり(岩手県久慈市の観光地化であったり、SNSやあま絵だったり)が話題となるといった現実でのメディア戦略が相互補完的な作用を持っていたのだが、今回の紅白は、「夢オチ」ならぬ「現実オチ」とでも言うような結末だ。
あまちゃん・真の最終回~あの人はいずこ~(フモフモコラムプレミアム)
●水口琢磨・荒巻太一…この二人がいないのって、ヘンなようでヘンじゃないんです。だって、ステージに潮騒のメモリーズとGMT5とアメ横女学園が出ているんですから。当然プロデューサーとマネージャーは舞台袖で彼女たちの活躍を見守っています(河島耕作も)。いないんじゃなくて、映ってないだけ。何か、この紅白を紅白内で見るのではなく、あまちゃん内で見たくなりますね。そしたら水口にももう一回会えたのに!
関連リンク:ニュースサイトより
紅白歌合戦 当初消極的だった小泉・薬師丸が出演決めた理由(NEWSポストセブン)
「小泉さんと、薬師丸さんは歌手としての紅白出場には消極的だったそうですが、歌も含めて今回はドラマ仕立てだったということでOKしたそうです」(スポーツ紙記者)朝ドラと同じ15分ぴったりで行われた「あまちゃん」コーナーの準備は、ドラマさながらのドタバタだったという。
「スナック『梨明日(リアス)』との中継部分は2分半きっちりに収めなければならなかったため、NHKの隣のふれあいホールに造られた『梨明日』のセットで、前日の30日にはスタッフ総出で何度もリハーサルを行ったそうです。スケジュールの合わないキャストが出るほど、企画も脚本も急に決まったそうで、渡辺えりさんなんて合間の時間に年賀状を書いていましたよ」(芸能関係者)
小泉今日子 ピエール瀧の年越しクラブイベントで潮騒を熱唱(NEWSポストセブン)
25年前の紅白出場以来、大晦日にはいつも家族や親しい友人らと自宅で紅白を見て正月を迎えると決めている小泉。紅白出演で久々の外出年越しとなったわけだが、元日の朝をこのクラブで迎えたのには理由があった。劇中では『無頼鮨』の大将を演じていたピエール瀧(46才)が出演するイベントが行われていたのだ。「大将は大晦日から年明けの朝までの仕事でしたから、当然、紅白には出られなかったんです。小泉さんは一緒に新年を祝おうとメンバーで駆けつけたそうです」(別の芸能関係者)
小泉が入店してしばらくすると、それまで流れていたクラブミュージックが急に切り替わり、80年代感全開の『潮騒のメモリー』のイントロが。「何、これ?」──店内にいた20代を中心とする若者たち500人が騒然とする中、2階にあるDJブースの前に小泉がマイクを手に現れると、「キョンキョン~!」「かわいい!!」などと歓喜の声に包まれた。
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