心理学者が「どうでしょう」を分析~「結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ」9/13出版予定
知ったのは、著者ご本人である佐々木玲仁先生( @ReijiSasaki1 )のこんなツイートから。
@ryoichihiguchi こんばんは。はじめまして。佐々木と申します。さきごろ、「結局、どうして面白いのか —水曜どうでしょうのしくみ」という本を書きました。献本させていただきますので、よろしかったらお読みいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
— ReijiSasakiさん (@ReijiSasaki1) 9月 3, 2012
ツイートの宛て先は、シンガーソングライターの樋口了一さん。「水曜どうでしょう」ファンなら誰もが知る、エンディングテーマ「1/6の夢旅人2002」を歌っている方です。
佐々木先生を調べてみると、九州大学教育学部で描画法や箱庭療法といった心理療法を教えていらっしゃる先生のようです。2009年には「風景構成法研究の方法論について」「風景構成法に顕れる描き手の内的なテーマ」という論文で日本心理臨床学会の奨励賞を受賞されているとのこと。
そんな先生が、なぜ「水曜どうでしょう」の本を?
遅ればせながら公式サイトで「本日の日記」を見てみると、こんな風にうれしーこと嬉野ディレクターが解説していました。
今、Amazonさんのページをのぞくと、「結局、どうして面白いのか 水曜どうでしょうのしくみ」
という、ナイスなタイトルの本の予約が始まっています。
著者は、九州大学の臨床心理学の先生である佐々木玲仁さんです。
これは、
ご自身も水曜どうでしょうのヘビービューアーである佐々木先生が、2009年から、ぼくと藤村くんに対して行ったロングインタビューをもとに、二年以上の歳月をかけて書き上げられたもので、制作者サイドであるぼくら二人の自覚、無自覚、
意識、無意識の領域にまで分け入って、
結局、なりゆきと、ぐだぐださで展開しているだけと思わせがちな水曜どうでしょうという番組の中に、実は、結果的にどういった仕掛けが施されてれてしまっているのか。もう何度も見て、熟知していいるシーンなのに、
何度見返しても面白いと思えてしまうのは何故なのか、
その理由の底には、いったいなにが横たわっているのか。水曜どうでしょうという番組に、
無自覚に近い形で隠されていた、面白さの仕組み。
そこを解き明かしてみようという熱意ある試みの本なのであります。
どうでしょう大好きな心理臨床家が、心理臨床的な視点から「なぜ私たちはこんなにどうでしょうを面白く見てしまうのか」ということを分析してしまったのですね。いやあ、やってしまいましたね(もちろんいい意味で)。
考えてみれば、「水曜どうでしょう」って本当に不思議な番組なんですよ。
なぜ同じ再放送(クラシック)を何度も見てしまうのか。
なぜ展開がわかっているのにもかかわらず同じところで同じように笑って、それが楽しいのか。
何年空いても新作を待ち続けられるのか。
タレントのただの「ぼやき」や中途半端な物まね、ディレクター陣の笑い声、わけのわからないコスプレや甘いもの早食い競争など死ぬほどベタな企画がなぜこんなにも面白く感じられるのか。
果たしてこの謎を、気鋭の臨床心理学者が鋭く明かしてくれるのか。わくわくします。
また、藤村・嬉野両ディレクターに一体どんなインタビューをしたのでしょう。
発売がとても楽しみです。
ところで、東大の中原先生が、この本についてこんな風につぶやいていました。
フィルムアート社さんの本、キンキンに尖っていて面白いですね。最近、同社の本をよく読んでいます>佐々木怜仁「結局、どうして面白いのか - 水曜どうでしょうのしくみ」 ow.ly/drm9n
— 中原淳(なかはらじゅん)さん (@nakaharajun) 9月 4, 2012
ほお、と思ってフィルムアート社さんのサイトを見てみました。
「映像&アートの専門出版社」とあります。おお、これは芝居や映画好きの方にはけっこうそそられるタイトルが数多くありますね。じっくりチェックしてみます。
フィルムアート社
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#傑作のゴールデンコンビです。
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インディーズ・メーカー (2003-11-21)
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#「水曜どうでしょう」ビギナーの方は、まずはこの本を参考書にどうぞ。
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コメント
読みました読みました!心理学で説明すると「水曜どうでしょう」ってこんな構造をしていたんだーと目からウロコが落ちる思いでした。特に、藤村さんと嬉野さんの違いを説明するところで、全く性質(not性格)の違う人との出会いが水曜どうでしょうの面白さを作り出したという解説には、なるほど~!と唸ってしまいました。
これは大学での講義?みたいな形式で書かれているのですが、実際に行なった講義をまとめたのか、それとも効果を狙ってあえてそういう文章にしたのか?と思いながら読みました。「おわりに」を読むと、この形式を勧めたのは藤村さん嬉野さんだそうで、まさにこの本の中で書かれている「メタ物語」があることによる面白さを取り入れた本なわけで、さすがです。
どうでしょう好きの人にはもちろん、心理学やカウンセリングに興味がある人にオススメしたいです。
投稿: Hiro | 2012/09/13 19:40
>Hiroさん
コメントをありがとうございます。
紹介しておいて何ですが、ようやく読みました。おっしゃる通り、「どうでしょう好きの人にはもちろん、心理学やカウンセリングに興味がある人にオススメしたい」と私も強く思いました。普段からどうでしょうに関してうまく言葉にできないことを次々と言葉にされていて、なんだかとてもすっきりした気分です。
投稿: くりおね | 2012/10/02 00:29