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2012/01/07

MOVIE 「エル・ブリの秘密 世界一予約の取れないレストラン」

話題の映画「エル・ブリの秘密 世界一予約の取れないレストラン」をシネスイッチ銀座で見てきた。
知らないで来たのだが、金曜日はここの館独自のレディースデイでなんと半額だった。新年早々縁起がいい。

※以下内容に触れているため、未見の方はご注意を。

エル・ブリというレストランがどんな所なのかについては、映画公式サイトのIntroductionがわかりやすいので、少々長くなるがそちらをご紹介。

「エル・ブリ」をご存知だろうか。美食家や食に興味を持っている人ならともかく、詳しく知らない人は多いだろう。エル・ブリは、スペイン・バルセロナから高速で約2時間ほど離れたカタルーニャ地方にある三つ星レストラン。45席しかないシートに世界中から年間200万件もの予約希望が殺到する<世界一予約のとれないレストラン>である。

カラ・モンジョイという美しく小さな入り江に面したこのレストランの厨房を仕切るのは、オーナーシェフのフェラン・アドリア。<世界でもっとも革新的なシェフ>と称され、食の世界に旋風を巻き起こし続けるカリスマだ。たとえば、亜酸化窒素ガスを使いあらゆる食材を泡状にする調理法、エスプーマの開発や、ミキサーにかけた様々な食材をカラフルな球体にすることなど様々な調理法や器具も考案している。また日本古来の食材、ゆずの魅力を世界中に広めた功績はつとに有名だ。

「常に客に驚きを提供する」という強いこだわりを持つ彼は、先進的な手法を模索しながらときに科学との融合も試み、斬新なアイディアを用いて食の固定観念を打ち破ってきた。
しかし、'11年1月、突然、同年7月30日をもってレストラン業務を終了することが発表された。このニュースは世界中を駆け巡り、食の世界ばかりか食に関係のない業界にも大きな衝撃を与えることに。とはいえ、食の研鑽に憑かれた彼の闘いに終止符が打たれたわけではない。今後はエル・ブリを“料理研究財団”に変え、コンテンポラリー料理のさらなる進展のために心血を注ぐという。ハリウッドでの映画制作も進行中だ。
本作は伝説のレストラン、エル・ブリの裏側にカメラが密着した貴重なドキュメンタリーだ。通常は4月初めから秋までのオープン期間を変更し、初めて7月から冬まで営業をするという新しい試みの準備過程を記録したものである。


というわけで、映画前半は「準備」、後半は「開業中」の様子を映している。余計なナレーションや音楽はなく、淡々とそこで起こっていること、なされていること、交わされている会話や人々の表情を撮り続けているのだが、そこでなされていることが「普通でない」ため、ただただ驚きながら見続けていくことになる。

準備期間は一言で言うと、シェフの食材の「研究」の期間だ。サツマイモ、キノコといった食材を煮る、蒸す、つぶす、焼く、揚げるのみならず、オイル漬けにする、凍らせる、真空パックにする等の通常の料理ではあまり使わない手法も含めて、あらゆるやり方で加工を試み、どんな変化が生まれるかを克明にひとつひとつ写真と文字でパソコンに記録する。

分ける→加工する→試食する→記録

このルーティンを延々と繰り返す毎日。この中で、彼らは食材の特徴を分析し尽くし、既成概念を超えた組合せでメニューとして作り上げる、その準備を積み重ねていくのだ。

また素材の合わせ方も驚く。ハチミツと水、オイルと水を一緒に入れてカクテルとして出すなんて考えたこともなかった。オブラートをラビオリの皮に使う、それも食べる直前に水にしゃぶしゃぶのように浸し、溶ける直前を提供するなんて、どこから思いつくのか。ソムリエのアイデアで柚子とフェンネルを組み合わせる、それは柑橘類の香りという科学的な特徴からの発想。見た目ではなく食材の持つ本質的な特徴を最大限に活かし、新しい味を追求していく。

その中では日本の食材や調理法にもかなりインスパイアされたらしく、日本の食材をフェランに紹介した結城摂子さんへのインタビューによると、

日本料理の店をまるごとブリへつれて食事会をしたり、日本の食材を持っていったり、日本に来た時にいろいろ食べてもらったり。ゆず、冷凍みかん、くず、かんてん。最近では黒にんにく。人形焼に触発されて、メニューに<にんぎょうやき>が誕生したり。カステラはスペインから渡ってきたのに、日本のようにしっとりした口当たりの物はないんですね。だから、感激して。映画に登場するオブラートも、紹介しました。本来はドイツからのものですが日本風に変化していて。日本の薄いオブラートは、フェランを通じてヨーロッパのシェフに広がり、今では、成田空港の薬局には必ず置いてあります。海外のシェフが帰国の時に必ず買っていくのだそうです。

とのこと。
また、パンフレットに掲載されている、2002年・2003年と「エル・ブリ」で働いた日本人シェフである山田チカラさんへのインタビューでは、幕張で開催されているフーデックスに彼らは必ず来ているということも言われていた。曰く、「彼らのコースは、フーデックス、東急ハンズ、あとは合羽橋(笑)。これはもう絶対ですね。日本に着いたと同時に食材探しですよ」なんて話も。

それらの創造性の集大成がこちらのメニュー。映画の中で、店で実際に提供されていたものだ。名前だけを見てそれがどういうものかすぐにわかるものはほとんどないだろう。エル・ブリの料理は、私たちが普段食べてる「料理」とはあまりに違っていて驚くばかり。調理法も、提供のされ方も、見たことのないものが続く。味覚のみならず、視覚、触覚、嗅覚、聴覚すべての官能に訴える品々。これは全く新しい食の「体験」であり、この映画を見ると、日本で出されてる「創作料理」なんか全然生ぬるいとさえ感じてしまう。

あと印象的だったのは、オーナーシェフのフェランが味見をする時、試作したシェフたちがダメ出しされつつ粘っていろんな改善案を出し続けるところ。高いハードルの目指す味に向かって決して諦めないのが凄い。

創造するということがどういうことなのかをまざまざと見せつけてくれる衝撃的な作品。何かを創り出すことに携わっている方にはぜひ見てほしいと思う。

予告編

参考リンク:
「エル・ブリ - 世界一予約のとれないレストラン」を見た!:ここは料理の「実験室」!(NAKAHARA-LAB.NET)

伝説になったレストラン、エル・ブリ 料理の世界に新しい潮流を生み出したフェラン・アドリアが次に目指すもの(HOTERES WEB)

エルブリ,1歩目(Sept Filles from London)
#エル・ブリで実際に食事をされた方のレポート記事。10本に分けて書かれています。

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