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2011/10/16

MOVIE 「コクリコ坂から」

コクリコ坂から (ジス・イズ・アニメーション)ジブリの新作「コクリコ坂から」を、ようやく見てきた。

※以下内容に触れているため、未見の方はご留意を。

実はジブリ映画を映画館で見るのは「ハウルの動く城」以来だ。「ハウル」は大泉さんがかかしの声で出演、他のTEAM NACSメンバーも出ているということがあったので、これは必ず見なければ!という動機になったのだが、それ以降の作品は「映画館でどうしても見たい」という気持ちになぜかならなかった。

ではなぜ「コクリコ坂から」は観に行ったのか。理由は単純で、私の周囲で評判がとてもよかったからだ。「ゲド戦記」以降のジブリ作品には少なくとも私の周辺では厳しい評価が多かったが、今回は皆とてもよかった、と言う。特に年代の近い層にそういう声が多いので、これは大丈夫かもしれない、と思い、行ってみた次第。

ストーリーはあちこちで書かれている通り。昭和38年の横浜を舞台にし、船乗りの父を亡くし母の実家で下宿屋を手伝いながら暮らす高校生の海と、同じ高校の先輩で学校新聞を作る俊がふとしたことで知り合い恋心を感じるが、そこには思いがけない運命のいたずらが…。というもの。

見てまず感じたのは清々しさと懐かしさ。さすがにまだ自分の生まれていない昭和38年の暮らしは、写真で見たレベルのものではあるが、それでもマッチで火をつけるガスコンロや商店街の風景はまだ一部リアルに記憶のあるものだ(道路はさすがに舗装されていたが)。海が朝布団をたたむとその下に制服を入れてあるというのも、私たちが実際やっていたことで、そういうささいなところのリアル感は映画に引き込まれる重要な要素になる。

そう、引き込まれたのは、冒頭の朝の風景の魅力がとても大きい。布団をたたみ、髪を整え、台所におりて前の晩にといで水に浸しておいたお釜でご飯を炊く。包丁を使う音。味噌汁を作り、ハムエッグを焼き、お弁当を詰め、みんな揃って朝食を囲む。その合間に上げられる旗。普通の暮らしを丁寧に営んでいる様子がとても心地よく感じられたのだ。

高校生活の描写は、もちろん自分自身の高校生活よりかなり前の時代の話ではあるが、ノスタルジーを感じたのは、実は少女マンガでこういう高校生活が描かれていたからではないかと思う。もちろん原作も「なかよし」に連載された少女マンガではあるのだが、私はそれは読んでいない。でもこういう空気、例えば「海」だから「メル(La Mer)」なんて呼び名をつけたり、「学生自治」みたいな雰囲気、生徒発行の学校新聞、そんなちょっと大人びた自由な雰囲気の「学園生活」が描かれた作品をおそらくいくつも読んでいたのだろう。そういう「学園生活」に憧れたその頃の気持ちが蘇った気がした。

また、横浜が舞台というのも地方出身者には「憧れ」要素がさらに加わる。東京とは違う素敵な港町、というイメージで、坂の上の家から海と行き交う船が見え、汽笛が聞こえるというのはたまらなくロマンティックだ。

もちろんノスタルジーだけの作品ではない。海と俊、そして取り巻く人々の魅力的なキャラクター、時代の制約と困難にできることをしながら静かに対峙し、精一杯生きていこうとする姿勢は心打たれる。

本業のキャリア研修などの場でキャリアについて考えてもらう時、私は時折、「あなたがささやかだけど大切にしていることって何ですか」と尋ねる。「ささやかだけど」というのが大切なポイントで、大きな声で主張するようなものでなく、自分ではごく当たり前にしていることだけど、でもひっそりと欠かさず続けていること、大切にしていること、そういうことこそその人の生きる軸を表しているからだ。

「ささやかだけど大切にしていること」それを忘れずに、丁寧に暮らすこと、その大切さ貴重さを改めて感じさせられた作品だった。

そうそう、ジブリの映画はどれも食べものがとてもおいしそうなのだけど、今回はハムエッグにノックアウトされた。思わず翌朝目玉焼き(ハムがなかったので)を作ってしまうくらい。以前NHKでやっていた「千と千尋の神隠し」のメイキングで、食べものをとにかくおいしそうに描くことにものすごく情熱を傾けていたのを見て、とても納得したのであった。

参考リンク:
ブロダクションノーツ(公式サイト)
#映画を見たあとぜひどうぞ。あんなところでこんな人も声を当てていたんだ、なんてびっくり情報も。

「コクリコ坂から」見て来ました(ネタバレ、ローカルネタ注意)(isologue)
#横浜在住の磯崎さんならではの映画評エントリ。

コクリコ坂から - 横浜観光情報(横浜市)


#目玉焼きのおいしそうなジブリ映画2選。

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コメント

「あなたがささやかだけど大切にしていることって何ですか」ってとってもいいですね。

この映画を見て、「これは311前に作られた映画なんだ」って思いました。

色々窮屈になったり、成長が止まったりしている中で、こういう清々しさもあるよって提示されようとしていたのかなと思い、元気でました。

コクリコ坂からを見て、そうだ311前ってそういう生き方に焦点があたりつつある世界だったかも、って思ったんです。

投稿: ShinichiN | 2011/10/17 12:28

>ShinichiNさん

コメントをいただき、ありがとうございます。「ささやかだけど~」をおほめいただき嬉しいです。
確かに、脚本や絵コンテなどは311前に出来上がっていたようなので、そういう視点で見るとさらに元気づけられる気がします。

投稿: くりおね | 2011/10/18 00:04

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