MOVIE 「探偵はBARにいる」
大泉洋さん主演作の「探偵はBARにいる」をようやく見てきた。
※以下内容に触れているため、未見の方はご留意を。
見たあとの最初の感想としては、「これでやっと大泉さんの代表作ができたなあ」ということ。
これまで大泉さんは数多くの映画にも出演してきて、「アフタースクール 」という主演作もあるが、なにせこれは佐々木蔵之介さんや堺雅人さんといった超豪華共演者のおかげ(?)で、主演という存在感があまりなかったもので。でも今回は、堂々の「主演作」と言える。
私は原作をまったく読んでいないのだが、ファンの多い作品らしく、この作品について上映前に少しツイートしたら原作をお好きと思われる方々から「イメージが違う!」とお怒りのリプライがいくつも来て、うわ洋ちゃんそんな人気作をやっちゃってどうしよう、と正直びびっていた。
でも、見終わった後、「いやあ、面白かった!」と素直に口から出てきた。
適度に伏線を張りつつテンポよく進むストーリー、主演の大泉さんはもちろん相棒役の松田龍平くん、ヒロイン小雪さんなどあて書きしたのか、と思うくらいそれぞれ合った魅力的なキャラクターたち、そしてもうひとつの主役・札幌すすきのを始めとする北海道の雪の風景の味わい深さ。これは大画面で見てよかった、と思うものだった。
原作ファンの方が持ってる「探偵」のイメージとはおそらく違ったのだろうと思う。そのあたり原作ものの難しさなのだが、映画としていい作品になっているということで何とかご容赦願いたい。
大泉さんは舞台「ベッジ・パードン」で舞台俳優として一皮剥けたなあ、と思っていたが、今回の探偵役で映像での俳優としても存在感を得たと言える。単純にいじられ上手の、反応のいい面白いお兄ちゃんではなく、飄々とした、ちょっと小ずるい感じはそのままに、清濁併せ呑む男の腹を決めた強さと悲しみがクライマックスを覆う。正直かっこよかった。
そして松田龍平くんの高田。いやあ、こういうキャラには滅法弱い。ふだんはぼーっとしていて何を考えているのかよくわからない、でもいざとなると滅法強い。おいしい役どころ。大泉さんとの凸凹コンビ振りも自然で、いい味出していた。
小雪さんの役どころも「おいしい」と言えるだろう。まさかこう展開するとは。静かな哀しみをたたえた彼女の表情あっての本作だったと思う。
あと特筆すべきは、狂気の悪役を演じた高嶋政伸。実は最後までまったく気づかず、クレジットを見て「え、高嶋政伸なんて出てたっけ?」と思う始末。パンフレットを見てやっと知り、「えええっあいつが!」と驚いた。いい人イメージがついてる人が悪役やると、壊れっぷりが引き立ってすごい。
パンフレットを見ていたら、監督や脚本、音楽などのスタッフがTVドラマ「相棒」のスタッフだったと知り、ああだからこんなにきっちり「職人芸」な作品だったのか、と納得。どこか悲しさがトーンとして流れる雰囲気も「相棒」に似ていた。また、店や住居や風景の何気ない絵の中の様々な小道具を使った作り込み方に、丁寧な仕事を感じられた。
好評により、既にシリーズ化が決まり、第二弾の制作がされると言う。これからも楽しみだ。
パンフレットが少し凝った作りになっていたので、少しご紹介。
買うとこんな外観のものを渡される。裏も表も「BAR KELLER OHATA」の文字だけ。
これを開くとちょっとした仕掛けがあって(これはお楽しみにしておきたいので写真は載せません)、中にこんな風にパンフレット本体がある、という趣向。鑑賞後にぜひどうぞ。
あ、あと、劇中出てくる北菓楼の「開拓おかき」は最近の札幌みやげとして人気急上昇のヒット作。これはやめられない止まらないおいしさなのだそうだ。何種類かあるが、たぶん動物園のシーンで出てきたのは「甘エビ味」かと。北海道に行かれる方、よろしかったらお試しを。
参考リンク:
特集番外編 大泉洋は北海道にいる! ~札幌取材旅行記~(WEB ダ・ヴィンチ NEWS)
『探偵はBARにいる』あの大泉洋がとんでもなくカッコいい理由とは!?(cinemacafe.net)
大泉洋&松田龍平インタビュー 白銀の撮影現場で語った信頼とゆるさが生んだ手応え(cinemacafe.net)
探偵はBARにいる :大ヒットで第2弾製作決定! 主演の大泉洋も「華々しい!」(まんたんウェブ)
正しい東映印の高品質「探偵はBARにいる」(深町秋生のベテラン日記)
メディアファクトリー
売り上げランキング: 4350
エンターブレイン (2011-09-07)
売り上げランキング: 1055
#TEAM NACSの仲間である音尾くん出演のシーズン4第7話収録DVD
売り上げランキング: 25207
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- MOVIE「ドライブ・マイ・カー」(2022.01.10)
- 「神田日勝回顧展 大地への筆触」at 東京ステーションギャラリー(2020.06.27)
- MOVIE 「万引き家族」(2018.06.06)
「OFFICE CUE」カテゴリの記事
- MOVIE 「駆込み女と駆出し男」(2015.06.18)
- 大泉洋さんのダメ父ぶりが快調な新朝ドラ「まれ」(2015.04.16)
- ミスターこと鈴井貴之さんが初連ドラに挑戦・「不便な便利屋」4月より放送(2015.02.11)
- なんとテレ朝で2/15に全国放送予定 「ハナタレナックスEX(特別編)大泉洋が!安田顕も!ふるさと北海道で素顔全開!?自由気ままなドライブ旅☆ちょいのり!in函館」(2015.02.08)
- MOVIE 「ぶどうのなみだ」(2014.10.15)
「北海道」カテゴリの記事
- 「神田日勝回顧展 大地への筆触」at 東京ステーションギャラリー(2020.06.27)
- 六花亭さん「おやつ屋さん」2017年11月版・例年通りアップルパイ「君が家」入り(2017.10.25)
- 六花亭さん「おやつ屋さん」2017年9・10月版(2017.08.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
私は原作を読んでから観に行きました。洋ちゃんが演じてくれてよかったーと思いました。(個人的には、ゲゲゲのねずみ男が超はまり役だと思っていますが^_^;、それに次ぐ素晴らしさ)
最初の方でススキノの全景が出てきたとき、「洋ちゃん、この映画に出られてよかったね」と、何かこみ上げてくるものを感じました。それと、小雪さんの演技が素晴らしい!ラストシーンの微笑み、鮮やか。切ないけど、なぜか彼女が羨ましく思えたりして。
第二弾はいつになるのか、原作はどれになるのか(もし原作4作目だったら濃厚なベッドシーンもあるのでちょっと複雑(-_-;))とても楽しみです。
投稿: Hiro | 2011/11/28 23:28