PLAY 「ベッジ・パードン」 世田谷パブリックシアター
少し前に、三谷幸喜さん脚本・演出の舞台「ベッジ・パードン」を見てきた。
※以下内容に触れていますので、未見の方はご注意ください。
ストーリーとしては、夏目漱石となる前の金之助がイギリスに国費留学した、その下宿屋で様々に起きる人間模様を「ことば」モチーフに描いたもの。主役の金之助は野村萬斎さん。三谷さんの舞台は初めてとのこと。考えてみたら、黄色い足袋を履いていない、現代劇の萬斎さんを見るのは私は初めて。狂言のお舞台に立っているあの人とは随分違う「普通の俳優さん」のように見えた。「ベッジ」というあだ名をつけられ、金之助と恋仲になる女中・アンを深津絵里さん。彼女も野田さんの舞台ではよく見たけれど三谷さんの舞台は初めてとのこと。とは言え舞台女優としては経験豊富で豊かな表現力とキュートな存在感で舞台をいっぱいにしていた。そして一人11役という歌舞伎も真っ青の早変わりを演じたのが浅野和之さん。
と言いつつ、この作品は、とにもかくにも大泉洋さんが初めて三谷さんの舞台に出る、という、私にとっては大きなエポックメイキングの作品。
大河ドラマに出ても、多くの映画に出ても、俳優としての大泉さんには正直いまひとつ満足しきれなかった。それもそのはず、TEAM NACSの舞台しか出演していなかったのだ。
だから今回のキャスティングは「ああ、とうとうここまで来たか」と感慨深くなると同時に、本当に大丈夫かなあと母の気持ちに。なにせ共演者は野村萬斎さん、深津絵里さん、浅野和之さん、浦井健治さんという芸達者な舞台のベテランたちばかり。ちゃんと対等に渡り合えるのか、迫力負けしないのか。
で、実際に舞台を見てみたら。
大したものだ、大泉さん。
三谷さんのハードな脚本と演出に食らいついて、むしろ役をモノにしていた。一見単純で軽薄、でも実は複雑な思いを抱えた、日本人の異邦人を演じきっていた。その見事などんでん返しに息を呑んだ。
役者として一皮むけたことを実感させる一幕だった。
この間、NACSの仲間たち、音尾さん、安田さん、戸次さんらが次々と他流試合で腕を磨き、俳優としての存在感を増している。
さてこれから大泉さんは、NACSはどういう方向に行くのか。
※萬斎さん側から見た詳細の感想を、かのこさんがアップしていらっしゃるので、リンクをご紹介。
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