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2011/06/12

BOOK 「教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち」 佐藤達郎著

教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち (アスキー新書)著者の佐藤達郎さんから昨年ご恵投いただいていた初の単著「教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち (アスキー新書)」をようやく読了しました。

佐藤さんは昨年まで広告代理店に勤務し、今年から多摩美術大学の教授に就任。2004年にカンヌ国際広告祭の審査員をつとめられた時の経験を中心に、様々な広告、世界の広告、これからの広告について書かれたのが
この「教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち (アスキー新書)」です。

広告祭の審査がこんなにハードなものだったとは、とか、日本はフィルム部門ではなかなか受賞できないのか、とか、感性に重点を置いているように思っていた広告というものが、実はこんなに緻密にロジカルに作られているのか、といった様々な驚きに満ちた一冊でした。特に審査の過程で、審査員同志の人間関係作りが重要というのには驚いた。短い期間の中での様々なかけひきや主張、人間観察などがうごめいている様子はなかなかスリリング。

様々な受賞作が紹介されていましたが、一番印象的だったのがCadbury社の「Gollira」。
Cadburyはチョコレート「Daily Milk」で有名な会社ですが、その代表的商品のCMを、「ただゴリラがドラムを叩いてるだけ」のものにしたのです。
実際の映像はこちら↓。

「広告の作法を無視している」このCMを、佐藤さんは「アド・アボイダンス(Ad Avoidance)」と「トーカビリティ(Talkability)」の二つのキーワードで読み解いています。詳細はぜひ本誌でお読みいただければ。

普段触れることのない広告制作の視点や今後の動向など、興味深い内容が数多く、でもわかりやすく軽妙な語り口(一人称の「ボク」が効果的)で書かれています。あっと言う間に読めてしまうので、ぜひどうぞ。

ところで、佐藤さんとはツイッターで知り合いました。「ガ島通信」の藤代さんと佐藤さんがやりとりしているところにちょっと横入りしたら、あっと言う間にあって食事する話がまとまり、お会いしたのが始まり。彼のそんなフットワークの軽さと行動力を裏打ちしている深い経験と専門知識をこの本から感じました。感謝!

参考リンク:

カンヌ国際広告祭とは?(カンヌ国際広告祭日本オフィシャルサイト)

教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち (アスキー新書)
佐藤達郎
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#「Gorilla」で使われているフィル・コリンズの「In The Air Tonight」収録アルバム。
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