すごすぎるNHKドラマ「TAROの塔」(第一回)
NHKドラマ「TAROの塔」、松尾スズキさんが迫真の演技で岡本太郎を演じるという前評判で少々期待しながら見たが、期待を遥かに上回るすばらしいドラマだった。
俳優陣も脚本もめちゃくちゃ力が入っていて、とにかく素晴らしい。特に松尾スズキの太郎、寺島しのぶの岡本かの子があまりに迫真すぎて、エンドロールで岡本太郎本人の写真が出てきても松尾さんに見えてしまうくらい。表情、話し方、しぐさがぶっ飛んだセリフと相まって「岡本太郎が目の前に!」と本人をあまり覚えていない私にも思わせてしまう。そう、目の前で太郎が生きているのだ。あの時代の中で。
そして、かの子。母であるより女、文筆家であろうとするあのかの子を演れるのは、寺島しのぶ以外には大竹しのぶだけだろうなあ。と考えてから、昔大竹しのぶのアニー・サリバンに寺島しのぶのヘレンという組み合わせの「奇跡の人」を見たことを思い出した。さらに大竹しのぶのブランチに寺島しのぶのステラという「欲望という名の電車」。
ところで、「欲望という名の電車」、寺島しのぶのステラはとても可憐で愛らしくて、彼女の違う一面を見たような気がして好きだった。大竹しのぶのブランチはまあいい意味で予想通りのギリギリっぷりで、いかにも彼女らしい憑依系。
という脇道の話はここまでにしておいて。
東京オリンピックから万博までの間の日本の、一流国家に「成り上がろう」とする荒々しい雰囲気、そこにかぶさる太郎の強烈な個性。プロデューサーを引き受けた時の記者会見のセリフは特筆もの。こういう毒が今の時代にはとんと見られなくなったのだなあ、と改めて感じる。
全4回ということで、残り3回がとても楽しみなドラマだ。こんな興奮は久しぶり。
エンディングテーマ曲はエディット・ピアフの「NON, JE NE REGRETTE RIEN」(水に流して)。フランス語の原詞で歌うのは三輪明宏。これまた何とも強烈な組み合わせ。
直前で父・一平が太郎に「芸術家とは『Non』が言える人だ」と伝え、以降太郎は納得できないことに「Non」を連発しては学校などの共同体からはみ出していく。その描写の後で聞く「Non, rien de rien」は大きなインパクトを残す。原題の「NON, JE NE REGRETTE RIEN」は「いいえ、私はこれっぽっちも後悔しない」という意味なので、これまた太郎という人物を表現しているように感じる。
尚、岡本太郎に関する展示館は現在2箇所ある。東京都港区の岡本太郎記念館と、川崎市の川崎市岡本太郎美術館だ。
岡本太郎記念館の方は、岡本太郎のアトリエ兼住居だった場所を使っている。現在は企画展として、「太陽の塔」の内部にあったとされる「生命の樹」をフィギュアの雄・海洋堂が再現したものを展示している。
また、川崎市岡本太郎美術館には様々なグッズが販売されており、「太陽の塔 携帯ストラップ」630円なんてものも。これはほしい・・・。
井の頭線渋谷駅の壁画「明日の神話」くらいしか、岡本太郎の作品に接することはなかったので、これを機会にいろいろ体験してみたいと思う。ドラマも楽しみながら。
参考リンク:
[注目ドラマ紹介]「TAROの塔」 松尾スズキ主演で岡本太郎の生涯を初映像化(マイコミジャーナル)
ドラマは、太郎の生誕100周年企画の一環で、67~70年の「太陽の塔」誕生秘話を軸に岡本太郎の誕生から死までを描く。関係者の全面協力を得て、太郎の実像を取材し、人気マンガ家だった父・一平、芸術面での影響を強く受けた歌人で小説家の母・かの子、秘書を経てパートナーとなった敏子との人間模様や心象風景を、太陽の塔の完成と重ね合わせ、現在と過去が交錯しながら展開する。「クライマーズ・ハイ」などを手がけた大森寿美男さんのオリジナル脚本で、主題歌は仏歌手エディット・ピアフの「水に流して」を美輪明宏さんが仏語で歌い上げる。
ただなら過ぎる「TAROの塔」(笑)(かのこの劇場メモ~半券の余白)
映画かと思うくらいのただならぬ雰囲気が漂うこれがNHKの連続ドラマとは!
録画しながら結局リアルタイムで見てしまいました。
(直後の「江」の次回予告、生ぬるさが尚更でした)
何と言っても松尾スズキさんの岡本太郎が激似(笑)
更に母親役・かの子が寺島しのぶさんで、これまた濃厚さ倍増。
小松右京がカンニング竹山さん、太郎の父親が田辺誠一さん、かの子の愛人が
成宮くんで、かの子の両親が平田満さんと余貴美子さん、丹下健三役に小日向
さん、ついでに山崎一さんやらと、これでもか、な配役。
(青年時代の太郎は濱田岳さんだし)
関連記事:
万博公園「太陽の塔」に初遭遇
この塔が目に入ってきた瞬間は「おおおっっっ!」と驚き、そのスケールの大きさと今も衰えないパワーに何とも言えない感動が。すごいです岡本太郎。さすが天才。
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