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2010/05/23

第3回煌ノ会@宝生能楽堂(「道成寺」「通盛」他)

銕仙会の谷本健吾さんが主宰する「煌ノ会」にお伺いしてきました。
今回は「道成寺」を披かれるということで、こちらも何だかドキドキしながらの観能です。

番組内容と配役は以下の通り。

<舞囃子 三笑 SANSYO>

シテ 慧遠禅師  谷村一太郎
ツレ  陶淵明  高橋  弘
〃   陸修静  寺井  栄
      
笛  八反田智子
小鼓  亀井 俊一
大鼓  亀井 忠雄
太鼓  観世 元伯
      
地謡
 若松 健史
 阿部 信之
 馬野 正基
 長山 桂三
 鵜澤  光

<仕舞 老松  OIMATSU>

シテ  谷本悠太朗
 
地謡
 谷本 健吾
 橋本 忠樹
 松山 隆之
 鵜澤  光

能 通盛 MICHIMORI

前シテ  漁翁
後シテ 平通盛  観世銕之丞
ツレ 小宰相局  鵜澤  久
ワキ   旅僧  森  常好
ワキツレ 従僧  舘田 善博
アイ   浦人  山本 則孝
      
笛  八反田智子
小鼓  大倉源次郎
大鼓  國川  純
太鼓  観世 元伯
      
地謡
 梅若 玄祥
 山本 順之
 梅若 晋矢
 柴田  稔
 泉 雅一郎
 山中 が晶
 松山 隆之
 川口 晃平
 
後見
 野村 四郎
 北浪 昭雄

仕舞 玉之段  TAMANODAN     浅見 真州
   松 風   MATSUKAZE     山本 順之
   善 界  ZEGAI           浅井 文義

地謡
 清水 寛二
 浅見 慈一
 坂 真太郎
 橋本 忠樹

<狂言 二千石 JISENSEKI>

シテ   主人  山本東次郎
アド 太郎冠者  山本 則俊

仕舞 阿 漕   AKOGI          野村 四郎
   弱法師   YOROBOSHI      梅若 玄祥
   春日龍神  KASUGARYUJIN   片山 清司

地謡
 西村 高夫
 小早川 修
 山中 が晶
 長山 桂三

<能 道成寺 DOJOJI>

前シテ  白拍子
後シテ   蛇体  谷本 健吾
ワキ 道成寺住僧  宝生 欣哉
ワキツレ  従僧  則久 英志
〃    〃   梅村 昌功
アイ    能力  山本 則重
〃     〃   山本 則秀
      
笛  松田 弘之
小鼓  観世新九郎
大鼓  亀井 広忠
太鼓  助川  治
      
地謡
 浅井 文義
 片山 清司
 西村 高夫
 小早川 修
 坂 真太郎
 橋本 忠樹
 川口 晃平
 観世 淳夫
 
後見
 浅見 真州
 清水 寛二
 松山 隆之
 
鐘後見
 観世銕之丞
 柴田  稔
 馬野 正基
 浅見 慈一
 安藤 貴康
 
狂言鐘後見
 山本東次郎
 山本 則俊
 山本 則孝
 若松  隆


「道成寺」ではうちの柴田先生が「鐘後見」をつとめており、そのせいか鐘が気になって気になって(笑)。
先生がその時の様子をブログでこんな風に書かれていました。

煌ノ会 「道成寺」(能楽師・柴田稔blog)

「道成寺」の見どころの一つにシテの鐘入りの場面があります。観世流の場合だと、鐘の下で拍子を踏み、そのまま飛び上がって、鐘を引きずり下ろすかのように鐘のなかに消えていきます。

鐘後見はシテが飛び上がるタイミングを見計らい、鐘を落とします。この鐘は大変重く、落とすタイミングを間違うと大けがをする恐れがあり、まさにシテは命がけの飛び込みですし、鐘後見はシテの命を預かった大切な役目なのです。

先ほど”「道成寺」は無事に終わり”、と書いたのは、「道成寺」はこのように危険を含んだ舞台なので、怪我もなく無事にということだったのです。


(中略)
“鐘入り”はシテが飛び上がって、鐘に頭を打つと綺麗な鐘入りができると言われています。

あとで谷本君にどうだったと聞くと、

「頭をしこたま打ちました!」 と。

どうやら鐘入りは成功したようです。


「道成寺」、おめでとう!


鐘後見が鐘を吊るすところから始まるこの舞台は数あるお能の舞台の中でもかなり異色だと思います。ましてや披キ(重要な曲を、許しを得て初めて披露すること)となると緊張感もひとしお。張りつめた空気の中で白拍子が登場し、女人禁制の鐘の元で舞を奉納しようとする。その瞬間狂ったような囃子が鳴り響き鐘の下に急ぎ来たあと、見せ場のひとつである「乱拍子」が始まります。

これは言わば小鼓とシテの一騎討ち(時折笛も入りますが)。
爪先の上げ下げとじわりじわりとした動きが、小鼓の音とともにただ進められる20数分間。この間合いは、急ぐことに慣れた現代人には気の遠くなるような長いものに感じられるかもしれません。でも、ただ呼吸を合わせてじっと佇むと、それが一定のリズムに則って演じられていることがわかります。そして何度か鐘を見やりながら、じわじわと鐘に近づいていくそのにじり寄りぶりが、鐘への恐ろしい執着を感じさせ、この後起こる出来事への期待を高めます。

とうとう鐘を射程距離に入れると、激しい囃子とともに舞台は急転し、鐘に飛び入る白拍子。まさにクライマックスです。わかっていても「うわあ!」とのけぞってしまいました。

「道成寺」は一度しか見たことがありませんが、その時に比べてストレートながむしゃらさを持ったシテだったと感じました。披キならではでしょうか。

また印象的だったのは舞囃子「三笑」。なんと三人での相舞です。なんと珍しい。しかも終盤、結界を破りそうになったシテをおっとっとと引き戻す、という何ともユーモラスな一場面も。賑々しく祝言性に満ちた舞囃子でした。

あと、仕舞「老松」は健吾さんの2才11カ月のご長男・谷本悠太朗くんの舞台デビュー。小さい体で舞台に登場するだけで、見所全体が応援ムード。舞台が広くて目付柱のところまで行くのも一生懸命急いで行く姿に胸キュンです。子方さんが舞台に上がると華やかになりますね。

参考リンク:
能の世界:作り物(the 能ドットコム)

「道成寺」の鐘は、作り物の中では例外です。ほかの手軽なものとは違い、下部に鉛が入っていて、重さが80kg くらいあります。このように重くしてある理由は、クライマックスの鐘入りの場面で、主役の白拍子が舞台の上方に吊ってある鐘の下に飛び込むときに、鐘の落下速度を安定させ、白拍子の動作とのバランスをよくするためです。

鐘の竹枠は、複雑な構造をしているので、内弟子が当日作れるものではありません。鐘の骨組みは、出来上がった状態で能楽堂に常備されています。内弟子は、その竹の骨組みの外側を絹の幕で覆って鐘を完成させることが仕事になります。これは、1日がかりの大仕事です。

鐘の内部は、主役を務めるものが作ることになっています。これは、「道成寺」が習物でも「奥伝」に属する秘曲で、鐘の内部も秘密になっているからで、限られた人しか内部には入れません。

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