« 生絞りショウガ汁のモスコミュールを飲んできた | トップページ | 9/3~14 西武池袋本店「北海道うまいもの会」にHTBグッズショップ登場 »

2009/08/15

8/14 MIAUシンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」に行ってきた

Miau_politics_opening8月14日に開催されたMIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)主催のシンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」に参加してきた。
30日に衆議院選挙を控え、議員さん達が相次いでTwitterを使ったコミュニケーションを行い始め、公職選挙法で現在制限されている選挙活動でのネットの利用について熱い視線が向けられている昨今、このタイミングで聞いておきたいと思い、秋葉原UDX GALLERYに行ってきた訳だ。

MIAUのサイトにある開催主旨は下記の通り。

1946年の衆議院選挙におけるラジオ政見放送開始以来、政治家はその時代ごとに影響力のあるメディアを活用して政策を国民に訴えてきました。選挙に比例代表制が導入された80年代以降は政治家個人から「政党」そのものに投票する国民も多くなり、年々政党がメディアを通じて政策をアピールする重要性が高まっています。

一方、日本の公職選挙法では国民が投票する議員を決める選挙期間のウェブサイトの更新が「文書図画の頒布」に当たるとして、禁止されています。1950年に制定されたこの法律が現在8000万人以上が利用する情報インフラである、インターネットを縛っているといういびつな状況があります。

先の米国大統領選では、バラク・オバマ氏がインターネットを駆使して大統領選挙を勝ち抜きました。日本でもブログやTwitterを活用して情報発信や有権者との対話を進めている議員が増えており、今後日本においてもネットと選挙・政治の関わりが深くなっていくことは疑いがありません。

本シンポジウムは「インターネットと選挙・政治」というものをテーマに、“情報発信プラットフォーム”としてのインターネット、“個人献金を集める仕組み”としてのインターネット、“世論を吸い上げるメディア”としてのインターネットといった視点から、多様なパネリストの方々をお迎えして議論を行います。


実は、つくばエクスプレス開通後JR秋葉原駅で降りるのは昨日が始めて。アキハバラデパートもなくなって、やたらきれいで大きいビルが立ち並び、知らない場所にきてしまったような不安感に一瞬襲われてしまったのはここだけの話。

シンポジウムの出演者は下記の通り。

【出演(50音順・敬称略)】
* 岸博幸(慶應義塾大学教授)
* 田中愼一(フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 代表取締役社長)
* 田村義保(統計数理研究所データ科学研究系教授、副所長)
* 堀江貴文(株式会社ライブドア元代表取締役CEO)
司会:津田大介(メディアジャーナリスト/MIAU代表理事)

会場では何人もの方がノートPCやiPhoneを使ってTwitterに実況を流しており、#MIAUで検索すると発言に前後はあるけれど進行や発言を辿ることができる。実況してくださった皆さまに感謝。

「政策表明手段と選挙の歴史」(86年に社会党が初めてTV-CMをやった、94年に新党さきがけが最初に党のウェブサイトを構築した、といったトリビアも)から始まって、新聞などの世論調査と正反対の自民優勢の結果が出た「ニコ割アンケート結果」について議論。

ニコ割アンケート結果をINTERNET Watchの記事「ニコ動で85万人が回答、「衆院選 ネット入口調査」結果発表」から一部ご紹介すると

比例代表区でどの政党に投票するかという質問では、「自民党」が38.7%、「民主党」が31.1%、「共産党」が6.0%、「公明党」が3.0%、「社民党」が1.5%、「国民新党」が1.2%、「新党日本」が1.0%、「改革クラブ」が0.9%、「その他の政党」が3.4%となった。「選挙に行かない」という回答は13.3%。

小選挙区でどの政党の候補者に投票するかという質問では、「自民党」が38.1%、「民主党」が31.3%、「共産党」が5.3%、「公明党」が 2.9%、「社民党」が1.2%、「新党日本」が1.0%、「国民新党」が0.9%、「改革クラブ」が0.7%、「その他政党・無所属」が4.7%。また、「選挙に行かない」という回答は14.0%。

となっている。すぐにでも政権交代が起きそうな「民主圧倒優勢」を伝えるマスメディアの報道内容とは温度差がかなりあるのがわかる。

世論調査のしくみについて専門家の田村氏が話し、電話調査とネット調査の長短について説明。津田さんがその場でニコニコ動画を見ている人達がクリック投票できるアンケートを実施。「この選挙で政権交代は起きると思うか?」結果は「政権交代起きる」50.7%、「起きない」30%。「マスコミの影響が感じられる」と田中氏コメント。
「新聞などの世論調査は回答者層がシニアで、実際の投票者も一番多い層なので、ある意味実態を反映していると言える」と岸氏。ここで田中氏が関わった調査の実例として麻薬の使用調査を挙げたことから、しばしそちらの話題に脱線するも、津田さんが何とか元の議論に戻すと言う一幕も。

その後は公職選挙法とネットの話になり、堀江氏が自身の立候補経験から「選挙活動より投票にネットを使えるようにしないと変わらない」と主張。アメリカでは実は個別訪問が可能なため日本よりずっとドブ板であることを田中氏から。ドブ板とネットを併用しているとのこと。
田中氏からオバマ大統領の選挙戦の事例。ネットは政策のオープンソース化を起こす。発信情報は99%誤解か曲解される。オバマ大統領は多様な有権者に対してまず共通認識作りを行った。そこでネットが貢献した。自分への共感を作り、そのあと具体的な政策を訴えた。
小泉は「劇場」、オバマは「祭り」。「チェンジ祭り」だった、なんて言葉も。

そのあと献金の話題になり、堀江氏が「なぜアメリカではあれだけ個人献金が集まったのか。日本ではありえない。無理」と何度も食い下がる。理由については誰も明確には言及はしなかったが、オバマ大統領の集めたお金は完全に個人献金だったことを田中氏から、日本でも若手では個人献金が集まっている代議士が存在することを岸氏から話される。
堀江氏から、前回出馬時の公明党との「業務提携」について生々しい体験談。演説時に「比例区では公明党を」と添えるという「提携」成立30分後の街頭演説で初めて約束のフレーズを言うと最前列で聞いていた女性グループから拍手喝采。終了後それは公明党支持者だったということが判明、その機動力に驚愕したという話。

最後にニコニコ生放送視聴者に「衆議院選挙は投票に行きますか?」とクリックアンケート。「行く」74.5%、「行かない」16.2%、「決めていない」9.2% という結果。これはこういうものを見ている時点でそもそも意識が高いのだろうと。

政治に影響力を持つならば政治団体化が必要。MIAUから候補者を出して議員を出すことで初めて政治にコミットできるんだからMIAU党作れば、と堀江氏。「そういうオチですか」と言う津田さんの締めでイベント終了。

90分と言う限られた時間の中で盛り沢山ではあったが、現状認識や問題意識などふだんはなかなか聞けない刺激的な話が多く聞けて、なかなか興味深かった。
残念ながらこういう話は若年層ほどふだんは敬遠しがちになってしまっていると思うが、mkamisakiさんのTwitterのつぶやきで、


いつの時代の若者も呆れたり、怒りを感じたりしてるんだけど、自分が1票投じたぐらいでは何も変わらないという諦めがあったんじゃないかなと。今日の話で、それがちょっと変わるかもって言う気がしてきた。

とあり、そう感じてもらえただけでも今回のイベントは大きな意義があったのではないかと思う。

参考リンク:
第45回衆議院総選挙 ネット入口調査(ニコニコ動画)
#各比例区、小選挙区の結果を見ることができるのと同時に、質問項目や解析方法について解説されている。必見。

MIAU主催シンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」(クランCREA -CREAプロジェクト開発ブログ-)

日本でも「オバマ現象」起きるか 「ネットと選挙」考えるシンポ開催(J-CAST)


岸氏も、

「ネット選挙はこれからどんどん解禁されると思うが、何も変わらないと思う。理由は、日本は若い人が政治に参加しない『シニア民主主義』だから。投票にくる60代や70代にいい思いをしてもらって、そのつけを若い人に回すのが当たり前になっている」

と、若者の政治不参加に問題があると述べた。その一方で

「ネットは便利なツールで、若い人が本当に怒れば政治を変えられる。まず、若い人が怒るのが最優先だ」

と、シンポジウムを中継したニコニコ動画の視聴者や会場の参加者に呼びかけた。

オバマ現象のカラクリ 共感の戦略コミュニケーション(アスキー新書)
田中 愼一 本田 哲也
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 20653

ルポ 米国発ブログ革命 (集英社新書)
池尾 伸一
集英社
売り上げランキング: 13368

|

« 生絞りショウガ汁のモスコミュールを飲んできた | トップページ | 9/3~14 西武池袋本店「北海道うまいもの会」にHTBグッズショップ登場 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 8/14 MIAUシンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」に行ってきた:

« 生絞りショウガ汁のモスコミュールを飲んできた | トップページ | 9/3~14 西武池袋本店「北海道うまいもの会」にHTBグッズショップ登場 »