MUSIC 「願い」 Perfume

タイトルにしたのは、Perfumeの11月発売の新曲「Dream Fighter」のカップリング曲。
これが、今日のような湿った冷える空気感をはらんで、実にいい雰囲気の曲になっているのだ。
吐く息が白くなり、手袋や帽子に身を包んで街を歩く、そんな空気を思い出させる。

その雰囲気を、シケさんは「まるでウイスキーのように、Perfumeには物語がつまっている」というエントリの中で

ものの見事に荒井由美へのオマージュが込められていて、聞けば聞くほどに味わい深い。

と表現されていた。ああ、この何とも言えない懐かしさはそこだったのか、と納得。

コード進行は「翳りゆく部屋」に近く、詞の世界は「雨のステイション」を思い出す。
そんな懐かしいメロディラインに乗せて、少し遠くなった恋への感傷を、しっとりと、ただしっとりと歌っている。

そんな曲に呼び起こされる記憶は間違いなく高校時代の気持ち。不器用で、臆病で、人との距離の取り方を知らない少女だった自分。そんな自分が過ごした港町の潮の香り。湿り気を持った、重く冷たいひんやりとした冬の入り口の空気。曇り空は薄い鉛色で、冷たい雨の降る風景も色彩に乏しいけれど、エネルギーだけはものすごくあって、むやみに元気だったあの頃。
二度と戻らないあの頃にタイムスリップするようなこの曲が、私はとても好きだ。

どこまでも元気で前向きなエール曲「Dream Fighter」のカップリングがこの曲というのはなかなか興味深い。女性ファンを増やしそうな1枚だと思う。

Super Best Of Yumi Arai

posted with amazlet at 08.12.14

荒井由実
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