京都・御所前「くずし懐石 縁」さん
以前姉小路にあった縁さんにまた行ってみようかと何気なく検索したら、今年の2月に移転したとのこと。新しい場所は京都御苑の前、金剛能楽堂さんのお隣でした。
夜は一杯とのことだったのでお昼を予約。三千円のコースでお願いしました。
お店はカウンター7席のみ。以前のお店よりかなり席数を減らしているようです。
夜もお客さまがお帰りになるとすぐに閉めてしまうとのこと。ご主人が「体もちまへんがな」と冗談まじりにおっしゃってましたが、そのあたりお店を移転した理由なのかも、と勝手に推測。
お造りから始まった食事は変わらず丁寧で、体にじんわりしみて来るようなおいしさです。ここに来るといつも知らず知らずのうちに味と正面から向き合おうとすると言うか、これは何を使っていてどういう味なのか、どういう調理をしているのかということをありったけの官能を使って知ろうとするような、そういう真剣勝負な気持ちになってしまいます。
お造りの鯛はこりこり、イカはぷりっと甘く、焼き物の鴨は添えられたマスタードをつけてあっさりした脂を楽しみます。
可愛らしい器に入れられて出てきた蒸し物は湯葉、海老、里芋、筍にさやえんどうを添えて。蓋を開けた瞬間のだしの香りが鼻を心地よく襲います。素材の自然な甘味をだしがふうわり包み込むような味わいで、じんわりきます。
次の鉢はほたてとタコの酒蒸しの梅味噌和え。梅雨の季節の蒸し暑さに甘酸っぱさがすっきりします。とご主人にお伝えすると、「いや、実は私は酸っぱいのは苦手なんですよ。男性はそういう人が多いですね。女性はお好きなようなんですが」あらまあ何だかもったいないような。
さくさくと食事が進んで、あっという間にご飯と汁物、香の物。ご飯は土鍋でひとつひとつ炊きたてをよそってくれます。これは以前のお店とは違うところ。以前はジャーからでした。お隣の先客とお話しされているのを聞くともなしに聞いていた時に「これだけのお客さまですから、せっかくだから炊きたてをお出ししたいと思ったんですよね。15分から20分で炊けて、それを15分蒸らします」とご主人がお話しされていました。しっとりとやわらかく、ふんわり甘く、おかゆを口にした時のようなお米の味わいなのにご飯、という不思議な感じでした。
お漬物のひとつを口にするとなんだかチーズのような不思議な味わい。聞いてみると、蕪の古漬けとのこと。もちろん自家製だそうです。
汁物は白身魚(鱧でしょうか)を寄せたものにゴボウの「管」をそえて。こちらも蓋を開けた時のお出汁の香りが鼻孔をノックアウト。「管」とは中身をくりぬいたものらしく、不思議そうな顔をして「知りませんでした」と言う私の無知さ加減に、ご主人もしかしてあきれられたかもしれません。お客も私一人でしたので、何か用事がおありだったのか、そのままお店の奥かどこかに行かれてしまい、帰りにもご挨拶できないままになってしまいました。
水物はほうじ茶のアイスクリームに黒蜜をかけて。言われないとほうじ茶とは気づきません。一緒に働く若い男性が出してくれました。
これだけ食べられるなら5000円のコースにしておけばよかった、なんて後悔もしつつ。
今度は早めに夜の予約を入れて、また来ます。とリベンジを胸に誓って。
#麻生圭子さんの「小さな食京都案内」によると、縁さんのご主人は瓢亭ご出身とのこと
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