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2007/12/01

MOVIE 「ブレードランナー ファイナル・カット」

SF映画は数々あれど、その題名を聞くだけで反射的に「見なきゃ」と思う作品はそう多くない。
そんな数少ない作品の一つが、リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」(1982年公開)だ。
その「ブレードランナー」の「ディレクターズ・カット」公開から15年、今度は「ファイナル・カット」が公開されると聞けば、これは行かないわけにはいかないだろう。

重く垂れ込める雲から絶え間なく降り注ぐ酸性雨。香港と難波とロサンゼルスが秩序なく渾然一体となったような、近未来の街の様子。その中を走るデッカードとレプリカント。

デジタル・リマスタリングされた映像は鮮明に陰鬱な風景を映し出し、サラウンドの音響に「あ、こんなところで通行人が日本語を」と気づいたり、飛び交う航空機の臨場感を増す。
そして、ややざらついた感触はそのままに、25年前に想定された、今から見ると少々レトロな未来の様子が、どこか懐かしい風景として感じられる。

ハリソン・フォードもショーン・ヤングも若くみずみずしいが、特筆すべきはルトガー・ハウアーの美しさだろう。
どこまでも澄んだ哀しみをたたえたブルー・アイに、極限まで追い込まれた者が見せる狂気すれすれの言動。観ている方は一体どちらが「悪」なのか、だんだん確信を持てなくなっていくのではないか。
単純な善悪二元論で割り切れない作りが、ファンをどこまでも惹きつけるのだろう。

今回の公開を期して、5枚組の「『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション」が発売されると言うが、間に合うなら映画館で体験してほしい。あの大画面と音響に包まれて、全身で「Los Angels,2019」をリアルに感じられる機会はもう二度とないかもしれない。
東京の上映館は新宿バルト9。11月30日までの限定上映予定だったが、好評につき12月7日まで延長しているとのこと。上映時間は19:10~21:15と23:30~25:35の二回。

eiga.comに今回のファイナル・カットについて、リドリー・スコット監督やルトガー・ハウアー、ダリル・ハンナなどのインタビューが載っているので、先に読まれておくのもいいだろう。

「ブレードランナー ファイナル・カット」リドリー・スコット監督&主要キャスト インタビュー

参考リンク:
DVD発売控えた「ブレードランナー ファイナル・カット」が特別上映-押井監督「過去の作品のリメイクを予定している」(AV Watch:2007/11/19)

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コメント

懐かしいです・・『ブレードランナー』。どちらかというとセット・照明・音楽など、映像美にこだわる監督さんですよね。
くりおねさんがお書きになっていた通り、役者さんたちがそれぞれに個性的で印象に残っています。あわせてヴァンゲリスの音楽もよく、とても印象に残っています。

投稿: 凛花 | 2007/12/05 02:07

>凛花さん
そうなんです、リドリー・スコット監督は映像がとにかく美しいんですよね。イギリス人らしくどこか必ず陰影が感じられる画が私はけっこう好きだったりします。
あと、おっしゃる通りヴァンゲリスの音楽もはまっていて、ノワールなSF映画としてまさに名作だと思います。

投稿: くりおね | 2007/12/06 22:58

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