STAGE 能「三輪」「石橋」他(国立能楽堂)
秋晴れの日曜日、国立能楽堂で行われた第82回 粟谷能の会 粟谷菊生一周忌追善にお伺いしてきた。
番組は以下の通り。
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・能 「三輪」(みわ) 神遊
シテ 三輪明神 里女 粟谷明生
ワキ 玄賓僧都 宝生欣哉
アイ 三輪の里人 野村萬
笛 槻宅 聡
小鼓 大倉源次郎
大鼓 柿原弘和
大鼓 観世元伯
地謡 友枝昭世 ほか
・狂言 「見物左衛門」
シテ 見物左衛門 野村萬
・能 「石橋」(しゃっきょう)
シテ 童子 獅子 粟谷能生
ワキ 寂昭法師 森常好
アイ 仙人 野村万蔵 ほか
笛 一増幸弘
小鼓 鵜沢洋太郎
大鼓 亀井広忠
太鼓 金春国和
地謡 友枝雄人 ほか
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「三輪」「石橋」ともに初観能。
粟谷能の会サイトにあった記事「ニュース : 毎日新聞に 第82回粟谷能の会の記事が掲載されました。」によると、喜多流独特の小書「神遊」がつくと流儀内でも重い曲で、チャンスがないとなかなかできないものなのだそうだ。「石橋」も大曲であり、菊生さん生前から決まっていたとはいえ追善能にふさわしい曲目が並んだことになる。
だのに今日の私はウイークデーの疲労がまったく取れず、観能としてはコンディション最悪のまま観ることに。
隙あらば瞼が閉じ、また目を開けての繰り返し。
とは言え明生さんの前シテの装束は実に美しく、可憐で優雅な里女であることよ、と目の保養。後シテの面は妙に印象的な表情だなあと思っていたら、明生さんのブログ記事「粟谷能の会無事盛会に終わりました」によると、生前菊生さんだけが専用面として使っていた「堰」の小面とのこと。
狂言「見物左衛門」では萬さんの芸達者ぶりを見せつけられる。狂言の見本のような所作と発声、一人なのに相手が見えて来る名人芸にしばし見とれた。
そして囃子方スパーク!の「石橋」。
ワキの森さんはご自身のブログ記事で「中入りの間狂言ですっかり穴が空いてしまった気分になった」と書かれているが、実は私はここで休憩できて後シテの登場以降をきっちり集中して観る事ができ、申し訳ないが有り難かった。ということはやはり、普通のコンディションの方にとっては森さんの言うような時間になっていたということなのかもしれない。
後シテの獅子の頭がウェービーだったのは、森さんの掲記記事によると喜多流独特とのことで、気迫充分な囃子方とのセッション具合といい、なんだかやたらパンクでロックに感じてしまう。紅白の牡丹の作り物を両端に置いた一畳台に乗りつ降りつつ激しく踊る獅子は迫力があり、美しかった。「花よりも花の如く」5巻で民宿のお母さんがあの頭の降り方の真似をするというのがようやく実感できた気がする。
全国の店頭に並ぶのは10月19日以降の粟谷明生さん著の書籍「粟谷菊生 能語り」が早々にロビーの能楽書林のブースで販売されていた。(10/17追記:Amazonで予約受け付け中となっていたので、リンクを追加)
ちなみにロビーに「囃子方が退場するまで拍手はご遠慮ください」との案内があり、その通り囃子方退場で拍手がされていた。やはりこういうタイミングの方が余韻を感じられていいと感じるので、ぜひ能楽の公演を行う際はこういった案内を出してほしいと個人的には思う。
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