短期能楽教室発表会(合同) 無事終了
前日はネイルカラーを落として入院以来の素爪にし、当日は和服を購入したくるりさんで着付けをしていただき、そのまま原宿表参道スーパーよさこい2007で賑わう表参道を歩いて能楽堂に到着した時には汗びっしょりでした。いや暑かった。
携帯を見ると、ブログ仲間であり、成田美名子さんファンのあひるさんからメールが。「見に行きます」とのこと。わあ、うれしいやら恥ずかしいやら。
あひるさんは最後までおつきあいいただいて、写真もたくさん撮ってくださいました。おまけに感想のエントリまであげていただき、感謝感激です。本当にありがとうございました。
私の出番は素謡「吉野天人」のワキから始まります。みんなで輪になって手をつき、「よろしくお願いします」とご挨拶してから、切戸口をくぐり、いざ出陣。
謡本でいうと始まりから約5ページ分、ずっとワキの謡です。最初は緊張して少々声がうわずりましたが、何とかシテの「なうなう~」につながり、あとは地謡も入っていつも通りの感じで謡えたような気が(本人的には)しました。
終了後また全員で丸くなって手をつき「ありがとうございました。」とご挨拶。先生からは「ちょっと違うところもあったけど、全体的には声がよく出ていてよかった」との講評をいただきました。自分としてもほぼ練習通りできたと思っているので、まずまず満足です。
そのあと他の二期生さんの仕舞「鶴亀」の地謡をやり、自分の仕舞「鶴亀」へ。
この写真は仕舞の終盤に扇をかざしながら舞台を回っているところです。(あひるさん撮影)
とにかくお稽古でずっとダメ出しされ続けていて、一番不安で緊張していたのが仕舞。終盤は出張先のホテルの部屋でiPodに入れた謡を聞きながら踊ったり、「Shall we ダンス?」の役所広司のように駅のホームで足の運びの練習をしてしまったりしてました。当日も直前まで楽屋で他の方の仕舞の謡に合わせて動いておさらいしたり。そんな風に落ち着かずに過ごしているうちに自分の出番が来ました。
「月宮殿の~ 白衣の袂~」と謡いはじめれば、あとはひたすら舞うのみ。ところどころ「あ、ここは足と手のタイミングがずれた」とか「あ、また遠いところに足をカケちゃった」といった間違いはありましたが、気にせず先に先にと意識を進め、あっと言う間に「還御なるこそ~ めでたけれ~」で終わり。多少のミスは残りつつ、注意されたところは一通り直して舞えたのではないかと思います(先生から見たらまだまだ足りないとは思いますが)。真っ白になって止まってしまったりすることなく終えられて、がんばって練習した甲斐があったなあ、ああよかったと感無量でした。
自分のメインの出番が終わればあとは気が楽です。つつがなく全体が回るように、地謡や切戸口の開け閉めなど与えられた役割を果たしつつ、二期生の「橋弁慶」「土蜘蛛」を拝見し、最後は柴田先生の番外仕舞「人間五十年」。それまで浴衣に袴で運営に立ち動いていらした先生が、いつの間にか白い上着とぱりっとした袴に着替えての登場です。
織田信長が桶狭間の戦いに出陣する前、辞世の句を読み、自ら謡いながら舞ったとされる有名なもので、
「人間五十年、化転(げてん)の中を比ぶれば、夢幻の如くなり。
一度生をえて、滅せぬもののあるべきか」
という歌詞に、故・観世栄夫先生がつけられた節があるとのことで、柴田先生がご自分でつけられた振りで謡いながら舞われました。(幸若舞の「敦盛」を元にしているそうです)
あっと言う間でしたが、声の響きといい、舞の動きの迫力といい、やっぱり玄人は違います。空間を切り取る動きにうっとり見入ってしまいました。
すべて終了後、あひるさんが撮ってくれた集合写真撮影の様子を。こんな雰囲気で、ほぼ全員和装で執り行いました。和服姿ってやっぱりいいですね。(と自分も着ておいて何ですが)
浴衣あり自分で誂えられた袴あり、それぞれ様々でしたがみなさんとてもお似合いでした。
先生のご報告エントリ「第2回 短期能楽教室発表会(合同) ー更新ー」では、
午後1時から初めて5時までかかりましたが、最後まで緊張感が持続した気持ちのいい発表会だったと思います。皆さんもそれなりに頑張っておられました!
自分の舞台のときにも言えることですが、
舞台の結果はいかに稽古してきたか、それにつきます。ファインプレーなど起こるものではありません(笑)
舞台は正直です!!! \(^o^)/
とのご講評。
おっしゃる通り、お稽古の積み重ねがそのまま現れるものだとしみじみ実感。練習でできないことが本番でできる訳ないんですよね。不安なら、不安が消えるまでお稽古するしかないのだという当たり前のことを体感した次第です。
でも終わってみればとても楽しかったです。声をずっと出していたためか、打ち上げのビールが妙に美味しくて・・・。
これからもお稽古頑張りますので、短期能楽教室のみなさま引き続きよろしくお願いいたします。
ちなみに当日の演目で「花よりも花の如く」に登場したものをまとめてご紹介。
「鶴亀」
花よりも花の如く 第二巻の「とうとうたらり たらりら」で、素人のお弟子さんの発表会で楽ちゃんが番外仕舞で舞っているのが「鶴亀」です。私たちがやったのと同様に「月宮殿の 白衣の袂」で始まり、「雲の上人の舞楽の聲々に」「山河草木 国土豊かに」といった部分の謡や振りも出ています。
また、同じく第二巻の「風天」で憲人が「なんと今日の私は先生です」と素人のお弟子さんにお稽古をつけている時の謡もこの「鶴亀」。出だしの「それ青陽の春になれば 四季の節会の事始め」の詞章が載っています。
「紅葉狩」
花よりも花の如く 第一巻の「鬼の栖」で、憲人が「美女で鬼」のツレをやっています。
「経正」
同じく花よりも花の如く 第一巻の「鬼の栖」で、憲人が役者生命の危機の中シテをつとめる曲です。
「土蜘蛛」
花よりも花の如く 第二巻の「遊びをせんとや 生まれけむ」で、憲人のシテ、ひろくんのワキで演じられた曲。「その時独武者~ すすみいで~」の謡もありますね。
「橋弁慶」
花よりも花の如く 第一巻の「大人は何かをかくしてる」で憲人の牛若にじっちゃんの弁慶で演じられています。
参考リンク:
どうにかこうにか・・・(Voice from Heart:2007/08/26)
#一期生の飯島さんのご感想です。お仕事終了されてからのご参加、お疲れさまでした。
第2期短期能楽教室 発表会(迷宮探索:2007/08/26)
#同じく一期生の挿頭花さんのご感想。
お能の発表会を見に、『花よりも花の如く』の世界へ(あひるちゃんがゆく:2007/08/27)
#着物姿をおほめいただきとてもうれしいです。同じ曲を何回もやったので、あひるさんは「鶴亀」と「吉野天人」は覚えられてしまったのでは。
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コメント
初舞台おめでとうございました。
半年前には、無事発表会を迎えられるんだろうかと不安に思っていても、何とか出来ちゃうものでしょう?
そして、病み付きに・・・。
くりおねさん、お着物姿キリリとしていて、素敵でした!
日本人て、やっぱり和服が似合うんだなぁ~と、皆さんを見ながら思いました。
見違えてしまって、一瞬誰だかわからなかったりしましたが。(苦笑)
これからもお稽古頑張ってください。
投稿: 挿頭花 | 2007/08/30 12:17
>挿頭花さん
ありがとうございます。
挿頭花さんも無事お舞台つとめられ、お疲れさまでした。
おっしゃる通り、半年前は「いや、私に発表会なんて、無理ですから!」と思ってましたが、何とかできてしまいました。そして本当にやみつきになりそうです(笑)。
お着物好評でとてもうれしいです。挿頭花さんの袴姿もりりしくて素敵でした。ほぼ全員が和装というああいう場にいると、おっしゃるように「やっぱり日本人は和服よね~」なんて思いますね。
これからもお稽古励みます。よろしくお願いいたします。
投稿: くりおね | 2007/08/31 06:58