COMIC 「花よりも花の如く」第五巻 成田美名子
成田美名子さんの「花よりも花の如く」、待望の最新作第五巻を読んだ。
※以下内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
収録されているのは「贈る言葉(ことのは)」(曲:「望月」)「記憶再生」(曲:「羽衣」「石橋」)「仄暗き夢の底より」(曲:「猩々乱」)プラス巻末マンガ「三聲会GO!」。
新キャラクター・お狂言方の宮本芳年(ほうねん)さんがインパクトの強い一冊である。
「贈る言葉(ことのは)」でお舞台をやめるかどうか悩む海くん(左右十郎の孫・憲人のいとこ)に憲人が言う言葉
海くんはただ 自分が一番「心をこめて真剣に」できることをすればいいんだよ
おれも ただそうする
がとても印象的。一瞬一瞬に心をこめて真剣に自分の「舞台」に臨むことが大切なんだ、と改めて励まされたような気がした。
そしてそんな「心をこめて真剣」な姿が、文化的背景の違いを超えて「美しさ」として伝わる話が「記憶再生」。日本文化公開がまだ進んでいない99年の韓国で能楽公演を行うというチャレンジをした創風会のメンバー。舞台を無事実現するための現地コーディネーターの奮闘ぶり、観客の反応などかなりリアルに描かれているように感じる(もしかして成田さんは現地に帯同して取材されたのだろうか)。しかし「羽衣」で踊るというのは、なかなかすごい。あのリズムはアジアのリズムでノリやすいのかもしれない。
また、第二巻収録の「とうとうたらり たらりら」で登場した少年時代の在日の友人も話にからんでくる。まさかここにこうつながってくるとは。
「仄暗き夢の底より」は複数回掲載のうちの1回分のみを収録。続きは次巻となるわけだが、実はこの話は「メロディ」本誌で全部読んだ。憲人と西門の運命を分けた「養子」話がフィーチャーされ、読み進むにつれずっしりと重くなる話なのだが、こういうきれいごとだけでない複雑な人の感情に逃げずに取り組む成田さんの姿勢が好きだ。
気が早いが、次巻の展開がとても楽しみである。憲人にとって大きな運命の転機を迎えそうな雰囲気。
参考リンク:
能と漫画、進むコラボ 能、「ガラスの仮面」から新作(Sankei Web:2007/08/20)
産経新聞の記事と成田美名子さん30周年記念イベント(かのこの劇場メモ:2007/08/20)
#かのこさん、ご紹介ありがとうございます。
成田美名子デビュー30周年記念 原画展&サイン会開催!(白泉社)
#9月1日・2日開催。サイン会の申込も受け付け中。(第五巻に応募券付き)
白泉社 (2007/08/17)
#「贈る言葉」で陽一さんの披露宴で皆が謡う「四海波」収録
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