さだまさしさんの「償い」そして「夢の轍」
「日常/非日常Blog」のさいもんさんのエントリ「さだまさしについて驚いた二つ」を見つけ、「あー、やっぱり「新春いきなり生放送!!「年の初めはさだまさし」」見ればよかったよー」と悔やみつつ読み進めていくと、あの名曲「償い」のAA(アスキーアート)アニメがYouTubeにアップされていることを知りました。
YouTube-tugunai
※リンク切れの場合はご容赦下さい
シンプルなAAだからこそこの曲の重さ、苦しさを表現できるんだなあと感心。もちろん見終わった時は涙が。
これをたまたま某所でご案内したら、あひるさんが「さだまさし『償い』AA」というエントリでブログで紹介してくれて、なんだかとてもうれしくなって自分のところでも記事にしよう、と思った次第です。
この曲「償い」は、2001年に起きた三軒茶屋駅での事件で判決公判時に裁判長が「さだまさしの『償い』という歌を聴いたことはありますか」と切り出したことで話題になりました。
ご記憶の方も多いかと思いますが、念のため「償い (さだまさし) - Wikipedia.」より引用すると。
2001年4月19日、東京・世田谷区の東急田園都市線において、2人の少年が銀行員の男性に対し車内で足が当ったと口論の末、三軒茶屋駅のホームで2人がかりで殴り、のちにくも膜下出血で死亡させるという事件が起きた。傷害致死罪に問われた少年の判決公判が2002年2月19日、東京地裁で行われた際、2人は言葉では謝罪し、「自分という人間を根本から変えてゆきたい」などと述べたものの、事件自体は酔った被害者がからんできたことによる過剰防衛であると主張していた。
判決公判の閉廷直前、山室恵裁判長が被告人2人に対し、「さだまさしの『償い』という歌を聴いたことはありますか」と切り出し、「この歌のせめて歌詞だけでも読めば、なぜ君らの反省の弁が人の心を打たないか分かるでしょう」と異例の説諭を行い、反響を呼んだ。
さだまさしさんは新聞社の取材に対して、「法律で心を裁くには限界がある。今回、実刑判決で決着がついたのではなく、心の部分の反省を促したのではないでしょうか」とコメントしたうえで、「この歌の若者は命がけで謝罪したんです。人の命を奪ったことに対する誠実な謝罪こそ大切。裁判長はそのことを2 人に訴えたかったのでは」と述べた。
このエントリを書くのに当たって、改めて「償い」が収録されているアルバム「夢の轍」を久し振りに聴き直してみました。
「夢の轍」は1982年発表の作品です。
当時私は「まさしんぐWorld」という公式ファンクラブに入っていた筋金入りの「まっさん」ファン。で、この会報で妙にかしこまった表情の写真の表紙の時がありました。何だか胸騒ぎがしてページを開くと、「婚約しました」の文字。まっさんLOVEのファン女子には天地もひっくり返る衝撃の婚約発表後初めてリリースされたのが、この「夢の轍」だったんですね。
一曲目の「微熱」なんか心臓の鼓動を想像させるドラムの音で始まるものだから、妙に生々しくて困ってしまったことを今でも覚えています。
曲目リストは下記の通り。(Amazonより)
1. 微熱
2. 極光(オーロラ)
3. 虫くだしのララバイ
4. 人買
5. 前夜(桃花鳥(ニッポニア・ニッポン))
6. 退職の日
7. まりこさん
8. Home(Now I Know I’m Home)
9. 償い
10. 片おしどり
で、改めて聴いてみると、このアルバムって実は「終わり」「別れ」「孤独」「思い出」の歌オンパレードでした。シンプルに幸せなラブソングは「微熱」だけで。そんな悲しかったり痛ましかったり苦しかったり切なかったりやりきれなかったりする歌詞の数々を美しいメロディで歌いあげるので、耳にはやさしく心にはどかんと響く、そんなアルバムです。「極光(オーロラ)」「前夜(桃花鳥-ニッポニア・ニッポン)」「退職の日」「片おしどり」どれもこれも名曲。
いつのまにか「まりこさん」のつぶやきがわかる年齢になってしまいましたよ。
そして「前夜(桃花鳥-ニッポニア・ニッポン)」で「朱鷺は七羽に減ってしまった」と歌ってますが、もうすでに純日本産の朱鷺は一羽もいなくなってしまいました。代わりに中国から来た朱鷺がもうすぐ自然に返せるかというくらいに増えてくれています。
話を「償い」に戻すと、この曲のテーマは「償いと赦し」。
「償い (さだまさし) - Wikipedia.」には「運転免許更新の際の放映ビデオ内で使われているほか、交通キャンペーンにも使用されている」とも書かれています。
あひるさんもエントリ内で「昨年は飲酒運転の事故に注目が集まることも多かったし」と書かれているように、車の運転で言えば飲酒運転やひき逃げ事件、そしていじめや虐待など人が人を傷つける事件が数多く取り沙汰される昨今、ぜひ多くの方にこの曲を知ってほしいと、心から思います。
参考リンク:
朱鷺のページ(新潟日報社)
フォア・レコード (2004/06/30)
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コメント
素晴らしいAAを教えて下さってありがとうございます。
婚約発表直後のアルバムだったのですね、それにしては固い内容の曲ばかり...。それを知ってから聴くと『償い』にまた重みが増します。
この中で聴いたことがあるのは、他には実は朱鷺の歌だけなんです。TVで歌っているのを一度聴いただけですが、とても強く印象に残っています(さださんの歌はそういうものが多い)。
>いじめや虐待など人が人を傷つける事件が
>数多く取り沙汰される昨今、ぜひ多くの方に
>この曲を知ってほしいと、心から思います。
本当に...。言葉にすると何とも軽くて虚しいばかりですが、相手の気持ちや痛みを思いやれない人の起こす事件がどんどん増えているようで、不安を覚えずにはおれません。
投稿: あひる | 2007/01/07 00:09
「年の初めはさだまさし」見ましたよ。今年は早寝早起きを目指しているので、ビデオにとって。
いい話あり、おふざけVTRありで楽しかったですよ。歌は「北の国からメドレー」と「道化師のソネット」。お正月らしくほのぼのしてました。視聴者からのはがきが「いい人っているんだな、日本も捨てたもんじゃないな」と思わせてくれるのが多いんですよね。この番組、去年は3回ぐらいあったんだけど、今年も何回かやってくれるのか、楽しみです。
「夢の轍」、懐かしいです。私もこのアルバム持ってましたが、レコードだからもうかなりの年数聴いてませんが、「微熱」「極光」「前夜」「まりこさん」など、よく覚えています。
「償い」は何度聞いても泣いてしまいますね。やってしまったことは元に戻せない。償うこと、赦すことを考えさせられます。どちらも、人の痛みがわからないとできないことですよね。
投稿: ひなた | 2007/01/08 12:49
>あひるさん
こちらこそ、エントリに取り上げてくださってありがとうございました。
おっしゃる通り、婚約発表直後の発売にしては硬い作品が多いかもしれませんね。逆に、家庭を持つという決意が意識を社会の方に向けさせたのかもしれないなあ、なんて勝手に推測したりもしています。
>ひなたさん
私も録画すればよかった・・・。最近は大晦日は除夜の鐘も聞けずに眠ってしまうことが多いもので。
初めて買った時はもちろんレコードでした。東京に来てからCDで買い直しましたが、今のリイシュー版はジャケットが発売当時と違うので、早く買っておいてよかった、と思っています。
投稿: くりおね | 2007/01/09 00:26