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2006/12/24

COMIC 「蔵人 クロード」第一巻&第二巻 尾瀬あきら

夏子の酒」「奈津の蔵」に続く、尾瀬あきらさんの日本酒マンガが、この「蔵人 クロード」。
「ネタフル」さんのエントリ「蔵人」を読んで、以前ビッグコミックオリジナルを立ち読みした時にこのマンガがあったことを思い出し、単行本二冊を一気に購入しました。

お話は、松江の酒蔵の末裔である日系アメリカ人クロードが、祖母から託された「神在」(かみあり)という日本酒の瓶を手に来日するところから始まります。はじめは先祖の蔵を訪ねることが目的だった彼がその蔵元の終焉を知り、もういちど自分の手で「神在」を作ろうと日本酒を学んでいく姿と、彼を日本に呼ぶきっかけとなったもうひとつの蔵元の跡継ぎである宏、そして宏の元婚約者で母の居酒屋を手伝うせつが各々「本当の日本酒」を学び愛していく過程が描かれています。
実在の銘柄を使ってそのおいしさをふんだんに描かれ、「ネタフル」のコグレさんが書かれている通り「読むごとに日本酒が飲みたくなります」。

「夏子の酒」「奈津の蔵」の前作二作品では、酒づくりそのものに焦点を当てられていましたが、今回はさらに踏み込んで「どうやって飲むか」「何を飲めばいいのか」というところにまで視点が広げられているのが印象的です。
日本酒は本来食中酒であり、料理と併せてこそ料理とお酒が両方さらにおいしくなっていくという事実がいつの間にか伝えられずにいる今、この作品はとても重要な「日本酒を中心とした食文化」をもう一度伝える役割を担っているのだと感じました。

ちょうどあひるさんが「居酒屋『真菜板』、日本酒好きには至福の空間」というエントリで、まるでこの作品から抜け出して生きたようなすばらしい居酒屋さんに行ってこられた感想を書かれています。
その中で、店主の杉田さんのこんな言葉は、まさに日本酒が置かれている厳しい現実を率直に表していました。


日本酒の売れゆきというのがどんどん下がっており、蔵が次々潰れてしまっているんだそうですね。
それというのも、きちんと造られた本当においしい日本酒が、なかなか市場に出回らない。混ぜものしたり薄めたりしたような安価なものを飲んで、日本酒っておいしくない、悪酔いする、という印象を持ってしまってみんな飲まなくなる→売れなくなる→安く造ろうとして質を下げる→悪循環。

だから本物の、ちゃんとした日本酒を楽しんでもらいたい。日本酒は食間酒。料理とあわせて楽しめるのが旨い日本酒だと思う。
最近ではそうやってこだわりを持って提供する側もがんばっていて、こだわりを持って良いお酒を飲めるお店を探して来てくれるお客さんも増えていて、全体としても日本酒の売り上げは少しずつ、じりじりと上がってきている。


酒処と言われる新潟でも、一時の地酒ブームにあぐらをかいてその後いいお酒を創り続ける努力をしなかった蔵はどんどん廃業していると聞きました。でも、残りの蔵は生き残りを賭けてさまざまな努力をされているとも。本当に杉田さんのおっしゃる通りです。

今さらながら目ウロコだったのは、「蔵人」の中で紹介されていた「お燗」という技術の深淵さ。単に冬寒い日に温めて飲む、というものではなく、作中で「うんと熱くして花開く酒・・・、ぬるめでしっとりと落ち着く酒・・・」と書かれているように、温度によってその味わいをさらに広げることができる技術だったのです。何より驚いたのが、吟醸酒もお燗でさらに味わい深くすることができるなんて、恥ずかしながら初耳で。おいしく日本酒を飲むために、まだまだ知らなければいけないことがたくさんあることを思い知らされました。

まずは、「蔵人」で紹介されていた銘柄を足掛かりに、少しずつ試してみたいと思います。
特にキーワードは「純米」「生もと仕込み※」。福島の「大七」、鳥取の「日置桜」など、飲んでみたいお酒はたくさん。
あひるさんがご紹介くださった「真菜板」さんも、いつかきっと行ってみますね。

※生もと仕込(きもとしこみ)
酒母※(しゅぼ)を造る際に、蒸し米、麹、水を半切りという桶に入れ、米を櫂棒で摺りつぶす「山卸し」という作業を行い、天然の乳酸菌を増殖させる昔ながらの手法。(「日本酒用語集」より)

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コメント

素晴らしいトラックバックをありがとうございます!『真菜板』に行ってみて、誰よりもまずくりおねさんを連れてきたい!と思いました。(実は以前の飲み会の時、"くりおねさんと行きたいお店"候補の中に入っていたのですが人数の都合で断念したのでした)
ぜひぜひ行ってみて下さい。というかよかったらご一緒に。

『蔵人』、読んでみたくなりました。本当に私が聞いた話とまったく同じでびっくりです。お店では『夏子の酒』『奈津の蔵』の話も出ましたよ。

投稿: あひる | 2006/12/25 01:15

>あひるさん
こちらこそコメントをありがとうございます。
「蔵人」を読んで、エントリを書いたところであひるさんのエントリを発見し、なんといいタイミングなんだろう、とトラックバックさせていただきました。「真菜板」ぜひ連れて行ってくださいませ。

「夏子の酒」は私の日本酒の教科書です。よろしかったら読んでみてくださいね。

投稿: くりおね | 2006/12/25 23:48

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