STAGE 能「江口」 狂言「鐘の音」(幽の会)
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・ 狂言 「鐘の音」
シテ 太郎冠者 三宅 右近
アド 主 三宅 右矩
・能 「江口 」 干之掛
前シテ 里女
後シテ 江口ノ君 観世 榮夫
ツレ 遊女 西村 高夫
〃 〃 浅見 慈一
ワキ 旅僧 宝生 閑
アイ 里人 高澤 祐介
笛 一噌 仙幸
小鼓 横山 清明
大鼓 柿原 崇志
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「鐘の音」は、主人から「金の値」を確かめて来るように言われた太郎冠者が、行き先が鎌倉だったためかなぜか「鐘の音」と勘違いして寺を回り音を聴き比べてきて報告するが・・・というお話。
さまざまな鐘の音を「ごお~~~~~~~~んんんもあんもあんもあんもあんもあ~」といった風に口で再現するのが非常に上手く、何ともおかしい。
「江口」はシテが「ウルトラ尉」(( c)柴田稔さん)観世榮夫氏、ワキが人間国宝・宝生閑氏、そして地頭が観世銕之丞氏という超豪華メンバー。
このハイレベルな出演者のためか、脇正面席だったためか、はたまた青山の舞台は客席と舞台が近いせいか、とにかく謡が迫力満点。ストレートに響いて来て、場の特殊性が高まるように感じる。そこはまるで磁場のように思え、ここでならワキが過去の思いとふと出会い、成仏へ誘うことも不思議ではない、と思えるのだ。
後シテがツレ二人を従えて遊女の舟遊びを見せるところは、きらきらそしてはんなりした美しさに満ちていた。
観世榮夫氏の存在感が舞台をぐんぐんひっぱっていき、高みまで登って普賢菩薩となったところで不意に舞台は終わる。後に残るそこはかとない寂寥感は、晩秋の空気にむしろふさわしい。
シテが橋懸りを退場していく途中で拍手が起きたが、拍手でこの空気を破りたくない、と思ってしまった。
当日配られた資料には、すでに来年の「幽の会」の案内があった。
2007年9月28日(金) 18:30 国立能楽堂にて、演目は「卒塔婆小町」。来年8月に80歳となるその記念に舞うというのだ。作品の中では99歳の小町を80歳の観世氏が舞う。どんな世界が開けるのか、今から楽しみだ。
また、明治学院大学文学部芸術学科のシンポジウムで、「観世榮夫・伝統と現代」という催しがあるとのこと。
案内から概要を引用すると以下の通り。
日時:2006年11月25日(土)
時間:14:00~16:30(終了予定)
会場:明治学院大学白金校舎2号館2401教室<タイムスケジュール>
14:00~14:40 岡本章(本学教授)「観世榮夫の世界」
14:40~15:20 観世榮夫(能楽師)「能の本質と現代」
15:30~16:30 トーク「伝統と現代-横断する身体」
観世榮夫・岡本章
司会:四方田犬彦(本学教授)入場無料
「伝統と現代-横断する身体」とはかなりそそられるテーマ。興味をお持ちいただいた方、ぜひどうぞ。
さて今週末はいよいよ柴田稔さんの「青葉の会」。銕之丞氏の「相聞」、そして柴田さんの舞う「松風」、とても楽しみだ。
↓三島版「卒塔婆小町」収録の一冊。
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こんなにおもしろいなんて。
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コメント
こんにちは。
お久しぶりです、お元気ですか。
先日の「幽の会」、地謡からお顔を拝見し、
ブログの記事も楽しみにしていました。
TBありがとうございます。
青葉乃会もあさってです。
いい舞台にしたいです!
投稿: シバタ | 2006/11/16 20:46
>シバタさん
ごぶさたしております。何とか元気でやっております。
地謡から見られていましたか。とすると、夢と現を繰り返し行き来していたのもばれてましたね。申し訳ありません。
明日はいよいよ青葉の会。楽しみにしています。いい舞台になりますように。
投稿: くりおね | 2006/11/18 00:38