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2006/11/29

「エレンディラ」という曲と物語

11月15日に発売された樋口了一さんのベストアルバム「ベストコレクション~あの頃の僕がいるなら~」。レーベルの枠を超え、東芝EMIとインディーズレーベル両方のベスト曲を収録したお得な1枚となっています。
1/6の夢旅人2002」は新録音で入ってるし、「サイコロ3」で大泉さんが熱唱していたあの「Anniversary song」や、ミニライブ定番曲「今日もどこかでデビルマン」も収録。Amazonの商品説明で「樋口了一の「これまで」と「これから」が濃縮された、まさにコンプリートベスト!」と書かれているのも納得の一枚です。

さてこのアルバムで妙に耳に残って、何度も何度も聴いてしまうお気に入りになった一曲があります。それはタイトルの「エレンディラ」。

樋口さんの公式サイトに載っているMessageの「2006年10月06日(金) 銀座」で、「エレンディラ」について詳しく書かれていました。(3回ほどページの一番下の「次へ」をクリックして下さい)

これね、ベストにも入るんですが、「lives」に入ってる、弾き語りバージョンではなく、GOGH収録のやつでして、livesのバージョンしか知らない人は、結構衝撃かも知んない。

森俊之無名時代の、傑作アレンジと言っていいでしょう。「っっ天才!!」。森くんの口癖。


Lives」のバージョンしか知らない私は衝撃でした。で、こちらのアレンジの方がめちゃ好みです。弦楽器や管楽器の音からヨーロッパ的風景が自然と浮かんできて、ノックの音なんかもう最高。
「エレンディラ」という名前の語感とファンタスティックなメロディがあいまって、ちょっとほのぼのとして艶っぽくて、でもどこか哀しい物語が目の前に浮かんでくるんです。

さてこの「エレンディラ」、掲記の樋口さんのサイトにも書かれていますが、ネタ元はノーベル賞作家であるガブリエル・ガルシア=マルケスの小説なんだそう。もちろん未読ですが、蜷川さん演出で今年舞台化を予定されていたけれど延期になった、というニュースを演劇系サイトで目にしてはいました。

蜷川幸雄演出『エレンディラ』速報!マイケル・ナイマン・バンド来日公演決定! [お勧めピックアップ!]  (e+Thatrix!:2006/03/12)

蜷川幸雄演出、坂手洋二脚本『エレンディラ』が公演延期(シアターガイド:2006/05/16)

「エレンディラ」は来年8月、さい芸での公演となった模様。(かのこの演劇メモ:2006/11/24)

というわけで最新情報では来年8月に上演予定の模様です。

既に映画化もされてるようでした。

エレンディラ(1983)(goo映画)

こちらの解説によると

孫娘エレンディラと彼女に売春を強いる祖母の奇妙な放浪生活を砂漠を舞台に描く。南米のノーべル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの短編小説(『無垢なエレンディラと無情な祖母の悲惨な物語』)を基にマルケス自身が脚色。製作はアラン・ケフェレアン、エグゼキュティヴ・プロデューサーはゴンザロ・マルチネスとオトン・ロフィエル、監督は「メダ、思い出と抹殺」のルイ・グエッラ、撮影はデニス・クレルヴァル、音楽はモーリス・ルクール、衣裳はアルべルト・ネグロンが担当。出演はイレーネ・パパス、クラウディア・オハナ、ミシェル・ロンダール、オリヴィエ・ウェーヘ、ブランカ・グエッラ、エルネスト・ゴメス・クルズ、ピエール・ヴァネック、カルロス・カルダンなど。

とのことで、勝手なイメージですがラテンアメリカ的なドライさ、不条理さと幻想にあふれた作品のように感じます。
それを樋口さんは自分なりに「少年が娼婦に密かに恋する物語」として昇華されたのでしょう。こんな風に書かれています。
とある街で、エレンディラに一目惚れをしてしまう少年が現れる。

彼の家は、オレンジ園を経営していて、その中にダイヤの入ったオレンジのなる木があって、そのオレンジをこっそりもいで、それを持ってエレンディラに逃げようと持ちかける。

確か・・・確かそんな話。

そんなに、純粋なプラトニックな話でもなかった気がする。

しかし歌になる時には、自分のフィルターを通過するのでね、今度は日本人としての僕の感性で、咀嚼される事になりまして。


そんな「樋口さんのフィルター」を通った世界がぎっしり詰まったベストアルバム「ベストコレクション~あの頃の僕がいるなら~」。「水曜どうでしょう」ファンでない方も、ぜひ機会があったら一度お試しくださいませ。

12/3追記:
「賽は投げられた」さんで樋口さんのインストアライブレポートがアップされていました。いつものように楽しい盛り沢山のライブだった模様です。

樋口了一インストアライブin大阪(賽は投げられた:2006/12/02)


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