STAGE 能「松風」 能舞「相聞」 狂言「仏師」 仕舞「景清」(青葉の会・喜多能楽堂)
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・能舞 「相聞」 (そうもん)
シテ 観世銕之丞
笛 一噌 仙幸
小鼓 大倉源次郎
大鼓 柿原 弘和
地謡 長山 桂三
浅見 慈一
柴田 稔
観世 榮夫
清水 寛二
・狂言 「仏師」
シテ すっぱ 野村万之介
アド 田舎者 月崎 晴夫
・仕舞 「景清」
観世 榮夫
地謡 浅井 文義
安藤 貴康
清水 寛二
浅見 慈一
・能 「松風」
シテ 松風 柴田 稔
ツレ 村雨 谷本 健吾
ワキ 旅僧 工藤 和哉
アイ 浦人 竹山 悠樹
笛 一噌 仙幸
小鼓 大倉源次郎
大鼓 柿原 弘和
地謡 岡田 麗史
西村 高夫
馬野 正基
長山 桂三
梅若 晋矢
若松 健史
浅見 真州
浅井 文義
後見 観世銕之丞
梅若 靖記
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能舞に狂言、仕舞に能と大盤振る舞いの3時間。
7月に開催された「能舞台バックステージツアー」で飯島さんの朗読と柴田さんの謡を聞いて以来、とても楽しみにしていたのが「相聞」。
パンフレットによると、もともとは芥川龍之介が作った「相聞詩」三篇の謡を観世榮夫さんが構成・節付けをされ、創られた能舞。今回は次の世代への申し送りとしてシテを観世銕之丞さんに、地謡をお願いしたとのこと。銕之丞さんがどんな風に謡い、舞われるのか。わくわくしながら待っていたら、面をつけて旅姿での登場。その装束の美しいこと。
「あひ見ざりせば」と謡う声の透明感、ままならぬ恋に乱れる心を表す舞に目を奪われる。
「風に舞ひたる。すげ笠の」で突然テンポが変わり、激しい動きと共に笠をぱあっと放り出す。放られた笠は舞台の正面真ん中に落ち、くるくるとしばらくそこで回り続ける。手放されても回り続ける笠の姿は、消そうとしても消しきれない想いのよう。
せつなく美しく、かなしく終わる恋の物語が圧倒的に目の前で展開された。
狂言「仏師」は、仏像を作りたい田舎者を都のすっぱが自らを仏師と偽って騙そうとするが、、、というお話。以前観た「六地蔵」と似たようなお話か。緊張感に満ちた「相聞」の後だったためか、集中力が少々落ちてしまった。
その後はウルトラ尉・観世榮夫さんの仕舞「景清」。自らの武勇伝を伝える場のため、迫力満点。
小さいながらひらりひらりと身軽に動き、鋭く闘う様子につい「スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐」のヨーダの戦闘シーンを思い出し、心の中で「マスター・ヨーダ・・・」と呼びながら見ていたのは内緒。
そしていよいよ柴田さんがシテをつとめる「松風」。
一昨年響の会研究公演で観た時はシテの松風を清水寛二さん、ツレの村雨を西村高夫さん、地頭を観世銕之丞さんがつとめていた。今回は松風が柴田さん、村雨が谷本さんで、お二人とも初役とのこと。
浜辺と秋風、そして月を愛でる二人の姉妹。柴田さんの松風は想いを朗々と謡い、谷本さんの村雨はやや控えめに。二人のユニゾンは息がぴったりで仲のよい姉妹であろうと想像される。
松風が形見の烏帽子と狩衣をかき抱くところは今回も胸を打たれた。
せめてもと烏帽子と狩衣を身につけて物狂おしく舞う松風が痛々しい。やがて夜が明け、浜辺に残るのは松風のみ、という謡で終えた舞台はまるで見えない秋風が吹きぬけたようだった。
シテ、ワキが退場した後も見所はしんと余韻をたたえて、囃子方と地謡が退場する時にようやく拍手があった。個人的にはこういう拍手の仕方がしっくりくる。
盛り沢山の舞台、充分楽しませていただいた。
関連エントリ:
第一回「能舞台バックステージツアー」参加レポート(2006/07/05)
能舞台の「舞台裏」が見れる「能舞台『バックステージツアー』」(2006/05/27)
STAGE 能楽「松風」他 (響の会第24回研究公演)(2004/12/19)
※「小さな資料室」によると「相聞」収録の芥川龍之介全集はこちら↓
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