STAGE 能「土蜘」 狂言「六地蔵」 他(至高の華)
・舞囃子「天鼓(てんこ)」 友枝昭世
・狂言「六地蔵」 スッパ 野村萬斎
田舎者 野村万之介
・能「土蜘(つちぐも)」 入違の伝 問答入 ササガニ
シテ 怪僧/土蜘蛛の精 梅若六郎
ツレ 源頼光 梅若晋矢
ワキ 独武者 工藤和哉
笛 藤田六郎兵衛
小鼓 大蔵源次郎
大鼓 亀井忠雄
太鼓 助川治
「天鼓」の舞囃子は物語の後半部分で、自分の弔いをしてもらって喜びの舞を天鼓が舞う場面。華やかな囃子の中、ぴんと張った雰囲気を湛えて舞う友枝さんがとても印象的だった。配られたパンフレットによると「主演する能の切符が今最も入手困難な役者」とのこと。舞台数が多い観世流に比べ舞台数が限られる喜多流、という事情もあるそうだが、今日の舞を見るとそれも納得できる。節制した動きから表現される「天鼓」に、精神的にとても高い世界を感じたのだ。
「六地蔵」は言葉より体で表現されるドタバタ喜劇で、いい意味で「ドリフ的」。スッパ役の萬斎さんは相変わらずなめらかな動きと豊かな声の表情で楽しませてくれる。また田舎者の万之介さんとの掛け合いの間がテンポよく心地よかった。
「土蜘」は「花よりも花の如く」2巻で取り上げられていたので、実際の舞台を観るのがとても楽しみだった。
ストーリーは単純で頼光の命を狙う土蜘蛛の精が一度襲って失敗し、逆に家来・独武者(ひとりむしゃ)に討ち取られてしまう、というものだが、立ち回りが多く華やかな舞台。蜘蛛の糸を右から左から、正面向いてそして後ろ向きに、次から次へばあっと投げる様子はとてもダイナミックで、囃子に合わせて両手から糸が飛び出す度に「おおっ!」とつい声を上げてしまう。舞台中が糸だらけになってすごかったが、演者の退場と共に引きずられていき、終演後はほとんど何もなくなってしまうのもまた能の世界らしい。わかりやすく、楽しめる舞台で、お能を初めて観る人にも勧められるかな、と思った。
ツレの梅若晋矢さんの頼光役も気品があって印象的。
小書「入違の伝」はシテが途中で入る(中入)時、橋掛りの上でワキとすれ違うところで牽制し合うもの。パンフレットにあるように歌舞伎的でまるで橋掛りが花道のようだった。
また同じく小書「ササガニ」は、「ササガニ」が蜘蛛の別名であることから蟹の精が登場し、独武者をハサミで応援するぞー、アワを噴いて応援するぞー、と気勢を上げる何とも可愛らしい間狂言。
国立能楽堂は今回初めて行ったが、予想以上に立派な建物で正直驚く。
敷地も広く、ロビーもまるでホテルのようで、ゆったり落ち着いていた。椅子の幅は広めで座席も固く、座り心地が良くて安心。
展示館もあり、江戸時代や古くは桃山時代からの装束、面などが展示されていた。
また、入口近辺に2月上演の「新作能・紅天女」のポスターを発見。
さすがに足を止めている人が多く、いろんな意味で目立っていたかも。
参考リンク:
「至高の華」(第一部)を観る(かのこの劇場メモ~半券の余白)
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