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2005/10/15

MOVIE 「チャーリーとチョコレート工場」

規則正しい動きは、美しい。一定のリズムで正確に動き、次々とひとつのものが出来上がっていく様は、一種芸術的で神々しくさえ感じる。
工場とは、すみずみまでその美しさにあふれた場所だ。

そして、神秘的なその工場で作られているのが、舌と心を甘く溶かすチョコレートだったとしたら。
主人公・チャーリーでなくても、どんな場所か見に行きたくなるだろう。

※以下内容に触れているため、未見の方はご注意を。

原作はロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」。私は未読なのだが、超人気児童文学の映画化。
監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップのコンビと来れば、観に行かない訳にはいくまい。

前半はチャーリーのけなげさとチャーリーの愛すべき家族たちのド貧乏な様子が、これでもかと映し出される。ひとつのベッドに入る4人の老人たち。キャベツだけのスープとパンが食事のすべて。屋根には穴があき、チャーリーのベッドからは夜空が見える。余るほどあるのは愛情だけ、そんな7人家族で暮らすチャーリー。

そんなチャーリーが、あこがれのチョコレート工場の見学ができるゴールデンチケットが手に入るのはある意味同然かもしれない。なんせ他の4人と来たら、どいつもこいつもろくでもないガキどもばかり。食いしん坊、高慢ちきの金持ちわがまま、名誉欲の固まりの野心家娘、そしてテレビ中毒。工場長ウォンカ自らが引率する見学が進むに連れ、彼らは一人一人自業自得のなれの果てとしていろんな苦難に合っていく。それがぎりぎりグロテスクにならないところが、いかにもティム・バートンたるところで。

子供たちの合う苦難のエピソードで一番好きだったのは、何と言っても「リス」。
ナッツチョコ用の胡桃を割って取り出すのが訓練されたリスだなんて。いやもうみんなかわいすぎ。そして彼らを「欲しい」とわがままのターゲットにしたばかりに襲いかかられ、金持ちわがまま娘が「コンコン」されて捨てられちゃうところはもうサイコー。

そして何よりウンパ・ルンパたち!
あの衣装、あの歌、あの踊り、あの表情。観た人それぞれきっとお気に入りのウンパ・ルンパの踊りシーンがあるだろう。私はロックバージョンが一番楽しめた。ギター壊すし、ヅラかぶってるし。
サントラでまた聴きたくてしょうがないくらい、印象的だった。

ビッグ・フィッシュ」で風変わりなアプローチで親子の愛情を描いたティム・バートンは、ポップな色使いやシニカルなユーモアはそのままに、親子の葛藤と愛情をより深くしっとりと描いていたと思う。(多作出演ギネスレコーダーの)ウォンカ父役クリストファー・リーとウォンカ息子の再会のシーンを、台詞は最小限に小道具や表情で描き出すところは「ビッグ・フィッシュ」に通じるものを感じ、思わず涙ぐんでしまった。(ちなみにこのシーンは原作にはないらしい)

ジョニー・デップは紫色のコンタクトレンズをして、おかっぱ頭で顔を青白くメイクし、甘いお菓子オタクの工場長ウィリー・ウォンカを実に楽しそうに演じていた。風変わりなウォンカの声は「絶対この声よ」と自分の娘にお墨付きをもらった声で演じたらしい。ウォンカに説得力がないと成立しない世界なのだが、さすがジョニー・デップ、がっしり骨組みを作っていた。

観終わった後一緒に観た仲間と話していたら、随所に映画のパロディがちりばめられていた模様。「2001年宇宙の旅」や「サイコ」など。このあたりいかにも映画好きなティム・バートンらしい。
また、野心家娘の母親役を演じているのは「ギャラクシー☆クエスト」で宇宙人サーミアンをやっていた女優さんだった、というその筋好きな人には楽しいキャスティングも。

ロアルド・ダールは森瑶子が以前著作の中で「南から来た男」という短編をモチーフにした小説を書いており、それがきっかけで収録文庫「あなたに似た人」を読んだ記憶がある。
血や残虐なシーンではなく、人間の心の闇そのものの恐ろしさを感じる作品たちはどれもぞっとするものであり、まさか同じ作者が世界中の子供たちにこんなに愛される作品を書いているとは思わなかった。ただしそのブラックなテイストは「チャーリーとチョコレート工場」でもきちんと忍ばせてあるが。

ちなみにここで英語版を紹介しているのは、Amazonの書評で日本語版の翻訳がボロクソに叩かれているから。ジョイスを訳した柳瀬尚樹さんが新訳を担当したらしいが、どうやら名前の表記を旧作と大きく変えており、作品世界を台無しにしている模様。それならば、英語でそのまま読んだ方が作品をそのまま楽しめるだろうと思った次第。

チョコレート工場の秘密
ロアルド・ダール
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Charlie and the Chocolate Factory [Original Motion Picture Soundtrack]
Danny Elfman Rick Wentworth Danny Elfman
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おすすめ度の平均: 5
5 あぁ、そうだった!
5 試写会で観ました!

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コメント

はじめまして。
この映画、ホントに楽しめました。
でも彼女との別れのデートになりました。
或る意味、心に残る映画になってしまいました。

投稿: Gozz | 2005/10/16 22:30

>Gozzさん
はじめまして、くりおねと申します。
コメントをありがとうございました。

楽しい映画でお別れになってしまうなんて、読むだけでせつなくなってしまいます。
どうか元気を出してくださいね。

投稿: くりおね | 2005/10/18 22:46

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