「ブログ 世界を変える個人メディア」の著者 ダン・ギルモア氏講演会に参加
「ブログ 世界を変える個人メディア」の著者であるダン・ギルモア氏が先日来日し、その際にFPN主催で開催された「米国の参加型ジャーナリズム=ダン・ギルモア氏を囲んで」というイベントに参加してきた。
と言っても最初からギルモア氏のことを知っていて参加したわけではなく、アメリカの最前線ブロガーの話が聞けるのは面白そう、という程度の参加動機だった。さすがにこれでは失礼だろうと著書を購入して、大急ぎ超ナナメ読みではあるが何とか最後まで目を通してから、会場のアップルストア銀座に向かうことができた。
読んでみて感じたのは、「アメリカも日本も起きていることはあまり変わらないし、タイムラグも思ったほどないんだなあ」ということ。もちろん政治への参加度合など日本では見られないことはあるが、アメリカで起きてきたことは日本で私たちも体験しているなじみのことが多く、ただそれをここまで時系列に既存メディアの流れと対比しながら書かれたレポートはおそらくアメリカでも初めてだろうし、まだ日本にもないと思う。そういう意味でこの本は「インターネットにおけるブログというツールを手にした市民たちの活動記録」と言えると同時に、「メディア」の姿がどのように変わってきたかという記録だとも言える。
アップルストア銀座での司会進行役は湯川さん。事前に寄せられたブロガーからの質問を英語に訳してギルモア氏に伝え、回答してもらうという「一問一答」的な形式。
その詳細な内容は他のブロガーさんたちがきっちりレポートしてくださっているので、講演内容のメモを下記に一部ご紹介させていただく。(話の途中でギルモア氏が「誰かブログしてる?ブログ大歓迎だからね」と言っており、そのあたりさすがブロガー同志のつどい、といった雰囲気だった)
・英語でのリアルタイムメモ
「ダン ギルモア氏出版記念講演 at Apple Store 銀座」(秋元@サイボウズ研究所プログラマーBlog)
・日本語でのメモ
「ブログについて考える勉強会」(ちょーちょーちょーいい感じ)
「ダン・ギルモア氏来日とMeetUp」(SW's memo)
個人的に印象的だったのは、to be journalistとしてaccurate, fair, independence, honorable, transparency といったキーワードを繰り返しあげていたことと、あくまでvalues for readersが大事なのだということ、as human voicesとしてblogがあるという発言。
全体的な印象としてはH-Yamaguchi.netのエントリ『「legacy」か「main stream」か』で山口さんが書かれていることとほぼ重なる。ギルモア氏はメディアに対して「自然体の」態度でいる、ということ。対立するのでもなく、迎合するのでもなく、新しいやり方で細かにゆきとどく形の「ジャーナリズム」を実践しようとしているのだと感じた。
その後の懇親会で、せっかく著書を持ってきていたのでサインをしてもらう。どうやら朝の8時半からずっと取材や講演が続いていたようで、サインしてくれる手元も心なしか疲労が滲み出ており、こちらの英語力に自信がないこともあってそれ以上会話はできずに終わってしまった。
アップルストアのエレベーターでたまたま隣になった時「iPod nanoの黒が欲しいんだよ」と言っているのが耳に入ったが、翌日帰国するということだったので、おそらく買ってる余裕はなかっただろう。そんなタイトな日程の中「日本のBloggerと是非コミュニケーションを取る場が欲しい」ということでこういう場を設けてくれたギルモア氏は根っからの「草の根ジャーナリスト」ということか。
懇親会の出席者は国籍さまざまといった様子で、私も初対面のアメリカ人の方とあまりセンテンスになっていない度胸一発英会話で何とか話をしていた。どんなブログを書いているのかと聞かれたので「エンターテインメント系のエントリが多い。最近は能が好きだ」と言うと、そこから三島由紀夫の話になり、映画の企画を売り込み中だと言う。能から三島由紀夫につながる彼もすごいと思うが、そもそも三島由紀夫ってどうしてこんなに外国人受けがいいんだろうなあ、とこういう時いつも思う。余談だが。
さて、ギルモア氏の著書「ブログ 世界を変える個人メディア」は今週発売のPRESIDENTでも紹介されている。原題は「We The Media」。執筆時は草稿をブログにアップしてそこへのコメントなどをもとに加筆修正をしていった、と講演会の中でも話されていた。英語版はオンラインでも読めるということでPRESIDENTに載っていたリンク先をここに書いておく。
「We the Media--Grassroots Journalism by the People, for the People」(oreilly.com--Online Catalog)
日本語版の帯は堀江貴文氏の写真と推薦文があるが、「帯を頼んだ後に、ホリエモンが選挙に出てしまったのは、朝日新聞によって「想定外」で、担当者が慌てたとか、慌てなかったとか… 」というガ島通信さん経由の小ネタで締めさせていただこう。
※参加された方のリンクがCNET Japanの渡辺聡さんのエントリ「ダン・ギルモア氏来日:草の根ジャーナリズムの未来」で一覧できます
10/12追記:
CNET JAPANにギルモア氏へ編集部インタビューが掲載されています。
市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏
10/20追記:参考リンク
書評 ブログ 世界を変える個人メディア [著]ダン・ギルモア(asahi.com:2005/10/09)
「ブログ:世界を変える個人メディア」(H-Ymamaguchi.net:2005/10/20)
朝日新聞社 (2005/08/05)
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コメント
自分もいくつもりで予約していたのですが、短期入院になってしまいがっくりでした。直接あって、きいてみたいことがいろいろあったのですが。
ダン・ギルモア氏ってなんとなく東洋系な顔に見えてしまう私、って変かも。
投稿: miyakoda | 2005/09/29 14:15
>miyakodaさん
こんにちは。miyakodaさんも申し込まれていたんですね。miyakodaさんの質問が会場で取り上げられていたので、「あれ?」と思っていました。(「will blog be profitable enough to feed journalists?」といった意味の質問)
ダン・ギルモア氏の顔は、、、うーん、私のイメージはアレック・ギネスですね。柔和な表情が親しみを感じさせるのかもしれません。
投稿: くりおね | 2005/09/30 00:20
bloggerの経済的自立(?)みたいなのがないと、レベルが上がっていかない、ってことです。逆に言うと、、これを実現させる仕組みを作れば、自然にビジネスが立ち上がっていく、というか。
どちらかというと、ネットワークユーザーに物書きを教えるより、物書きの基本的テクニックを訓練した人にblogの使い方を教えた方が早い。
経済的自立の仕組みを作れば、優秀な記者がどんどん会社を離れて動き回るようになるでしょう。
投稿: miyakoda | 2005/09/30 11:18
>bloggerの経済的自立
そうでしたよね。湯川さんがそれを「will blog be profitable enough to feed journalists?」と訳されていました。
で、それに対する答えがサイボウズの秋元さんのメモによると
「 - i do not think that it would cover many.
- in the long run, some will earn, some not
- vast majority will not, but some may establish their authority by blog」でした。
で、私の印象としては「ブログだけでまかなっていく」というやり方はあまり考えていない感じがしました。
と言うのは、彼の言う「ジャーナリスト」は「職業記者」とイコールではないからです。食べていく職業は他に持っていて、ある瞬間「ジャーナリストとしての行動をする」人達のことを「草の根ジャーナリスト」としてとらえているようでした。そういう前提の違いがあるので、miyakodaさんが本当に聞きたかったことは聞けていないかもしれません。
投稿: くりおね | 2005/10/02 00:20