トーキョー9周年
9年前の7月1日。上越新幹線に乗って東京へやってきた日です。
出張などで一時的に訪れるのではなく、そこで半永久的に生活するために。
生まれ育ってずっとずっと過ごした新潟を離れて、東京での暮らしへ。初めての一人暮らしへ。
駅のホームに降り立つと、空は梅雨の中休みの晴れ間。日差しがまぶしく蒸し暑かったことを覚えています。
最初の住まいは会社の寮。本来入寮できる年齢をとっくに過ぎていたのですが、ありがたいことに配慮をいただき、3カ月間だけという条件で住まわせてもらいました。その間に自分で住まいを見つけなければいけません。
そんな条件だったので、まずは必要最低限のものだけを実家から送りました。
布団一式、夏物の衣服、さしあたって聴きたいCD、読みたい本。あとは生活に必要なものを少々。食器や洗面器、テーブルなどはこちらで調達です。
大きく感じた違いは、空気の汚れ。
一日過ごして帰って来てお風呂に入ると、落ちる汚れの量が新潟での倍以上でした。
それから水。水道水はとても飲めず、飲み水としてミネラルウォーターを買う習慣がこの時からつきました。当然新潟では水道水をそのまま飲んでいたにもかかわらず。
水質の違いは肌や髪の荒れを招き、寮を出て住まいを決めてから真っ先に買ったものはシャワー用の浄水器。こんなにも違うものかとびっくり。
あとは通勤ラッシュのすごさとか、外食費用の高さ(と、大きな声じゃ言えないけどまずさ)とか、テレビを通して知ってはいたものの、実際体験すると田舎者にはひとつひとつがそれなりにしんどいものでした。
仕事も一から覚え直し。年下の先輩たちに教えてもらいながら、「ここでやっていけないと後がない。絶対きっちり仕事できるようにならないと」と必死で食いつく毎日で。
そんな日々ではありましたが、もともとネットで知り合った友人たちがこちらにいたのは大きな心の支えでした。親戚はいなくても、彼女ら/彼らがいてくれると思うと不安はほとんどなかったくらい。
結婚するかも、と思っていた相手(現在の夫)ももちろんいましたが、まだ正式に婚約していたわけではなかったこともあり、「万が一ダメになってしまったとしても私は新潟には帰らない。きっちり一人で東京で生きていく。」そう心を決めていました。
いつ帰ってもいいや、という甘えを捨てたのが、当時の私にはよかったのだと思います。
自分の生活を自分ですべて整えるのは確かに面倒ではあるけれど、なんと言うか、確かに自分の力で生きているんだ、という「てごたえ」を感じて、こういう生き方を自分はしたかったんだ、とはっきり認識できたので。
9年という時間は速いような遅いような。その間に結婚して名前も住まいも変わり、仕事を変えて職場も変わり、でも自分自身は変わったのか変わらないのか。たぶん大元は変わっていないだろうけど、上京してきた当初と比べてほんの少しでも楽に生きられているといいなあ、と、きっとそうなってるよね、と思いたい10年目です。
おまけ:
実家にいた時から眠る前に好きな音楽をかけてそのまま眠ってしまう、という習慣があり、上京したばかりの頃よくおやすみタイムミュージックに聴いていたのはFourplayの「Between the Sheets」。
SING LIKE TALKINGの佐藤竹善さん経由で知った曲で、蒸し暑く寝苦しい夜を和らげてくれる大人のコンテンポラリー・ジャズ・サウンドです。
タイトルチューンはボーカルにチャカ・カーンが入り、between the sheetsで男女がささやき合う世界を再現。
メンバーはボブ・ジェームス、リー・リトナー、ネーザン・イースト、ハーヴィー・メイソンという売れっ子の人気プレイヤー4人で、もちろん音はしっかり安定。その上での美しいメロディラインにうっとり。
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コメント
こんばんは。コメントではお久しぶりのtowokoです。
東京9年目、おめでとうございます!
私も12年前に就職の為にしましたよ。
この仕事を極めるんだ、荒波にもまれるんだー! と意気込んで状況したけれど、環境が辛かったですねぇ……。
仕事が辛いのは覚悟してたけど、土地っていうんですか? 水道水は飲めないし、シャワーから赤い水がでて慌てて銭湯に飛び込んだし、
空気はつらいし、熱気はこもるし、エアコンないと生きていけないし……なんど倒れたことか。
私は5年で地元に戻ったんだけど、今では東京が第二の故郷になってますね。
絶対的に辛かった時間のほうが多いんだけど、いろんな意味でチャレンジできたし逃げて帰ってきた訳じゃないから、今となっては東京が好きになってます。
東京ってそういう色んな想いが詰まってる土地なんですよねー。
投稿: towoko | 2005/07/01 23:45
>towokoさん
こちらこそごぶさたしています。コメントをありがとうございました。
towokoさんも上京経験者だったんですね。
環境の違いはかなり堪えますよね。私も暮らし始めたばかりの時は「ここまでひどいとは・・・」と愕然としましたが、まあ今となっては「住めば都」状態です。
>東京ってそういう色んな想いが詰まってる土地
という言葉に「そうそう、まさにその通り!」と思いました。いろんな人達のいろんな思い、今住んでいる人も、昔住んでいた人も、いつか住みたいと思っている人も、いろんな思いを持っている、そんな街なんでしょうね。
投稿: くりおね | 2005/07/03 20:15