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2005/06/21

MOVIE 「キングダム・オブ・ヘブン」

前評判から、主演のオーランド・ブルーム(通称オーリー)尽くしかと思いきや、なかなか味のあるいい男達を堪能できる作品となっていた。

リドリー・スコット監督作品をちゃんと映画館で観るのは、そういえば久し振り。
イギリス人らしい少々斜に構えた見方と陰影のある映像美が、昔から好きで。

※内容に触れていますので、未見の方はご注意を。

観ているうちに、どうにも現代のイスラエル近辺の状況と重なって見えてきてしまう。
ムスリム(イスラム教徒)たちとクリスチャンたちのエルサレム=聖地奪還の争い。
八百万の神を持つ日本人からすると、「わざわざ同じ場所を聖地にしなくてもいいじゃん」とか思ってしまうのだが、そういうものではないのだろう、きっと。
「十字軍」って、結局は内政への不満を外に目を向けさせてそらす、というどこかで聞いたことのある手法だったように感じてしまうのは私だけか。

そして、オーリー演ずるバリアン。どうやら本当にムスリムの国・サラセンと和平を結んだ実在の人物をモデルにしているようだが。いろいろつっこみどころが多くて。
なんと言うか、そもそもいきなり司教を殺してしまうから、せっかくめぐり逢えた父親も襲われて瀕死の重傷を負うし、仲間達も大勢殺されちゃうしで、考えなしにもほどがある。そりゃあ自殺した自分の女房の死体からネックレスを盗んだ上に「地獄行きだ」なんて罵られた日には、「お前に言われたかないぞ」と思うのも無理はないけれど。

そのあとも数多くの危機に見舞われるも、実にいいタイミングで次から次へと助けの手が。名を名乗れば「父上そっくりだ」(父親役はリーアム・ニーソン。似てるか?)と言われ、会ってそんなに時間がたっていなくても厚く信頼され、次々と仲間が増えていく。「できる奴はできる奴を一目で見抜く」ってやつか。
ライバルの妻(エルサレム王の妹)とも恋が生まれ、とうとうこっそり結ばれてしまうし。ああ、ここでも考えなしオーリー。

やがて王が崩御する時に、王の妹を妻としてひっそり譲り受ける話が出てくるのに、良心が咎めると言ってそれを断ったのが運の尽き。選ばれなかった女の恨みはこわい。兄から王位を引き継いで女王になった彼女は、野心丸出しの夫を王に指名して、あれほど兄が心を尽くしていた和平をあっさり捨てるのだ。

戦闘員がいなくなったエルサレムを守るため、最後の戦いを準備するオーリー。どこまで民を守りきれるのか?
いや、守りきっちゃうのは予想はついてたが、ここへの持っていき方はさすがにそれなりに盛り上がりが用意されており、リドリー・スコット面目躍如、といったところか。ただのコスチュームヒーロー映画じゃないんだよ、ということで。
エルサレム城で皆を鼓舞するところは、ついつい「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」のアラゴルンの演説を思い出す。オーリーもがんばっていたが、アラゴルンを演じたヴィゴ・モーテンセンと比べると・・・いやいやそれは酷というものなので、考えるのはやめておこう。

それにしても、リドリー・スコットの描く戦闘シーン。かなりの迫力なのだが、カタルシスがないことこの上ない。
相手と自軍がどっちがどっちだか汗と砂と泥と血にまみれているうちにわからなくなっていき、誰が誰かも区別がつかない。リアルな音で肉を切り、骨を砕き、血が吹き出し、絶命していく。そして、時間の経過とともに、どうにも哀しく虚しくなってくる。
戦争とは、おそらくそういうものなのだろう。
善玉が悪役を一方的にやっつけてすっきり、なんていう単純な図式ではない。
それが、リドリー・スコットにとっての「戦闘」のリアル。

さて、今回俳優陣は、オーリーの脇を固めるのはリーアム・ニーソン、ジェレミー・アイアンズ、デヴィッド・シューリスなどイギリス人俳優が主なところ。みんなそれぞれシブく、かっこいい。個人的には昔からジェレミー・アイアンズが好きなので、今回の短髪反骨オヤジぶりもなかなか萌えてしまう。どうも私はイギリス系に弱いようだと改めて実感。

伏線を張りながらテンポよく進むストーリー、現代とつなげる少々アイロニカルな視点、「人としての誠意」への希望、そしてディテールまで凝った丁寧な映像、かっこいい男達。
エンターテイメント作品として「リドリー・スコットらしい」作品となっていると思う。
人物へのつっこみどころの多いところも込みで、充分楽しませていただいた。満足。

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» ■キングダム・オブ・ヘブン [ルーピーQの活動日記]
 12世紀のフランス。妻子を亡くし失意のどん底にある鍛冶屋のバリアン(オーランド・ブルーム)の元に、十字軍の騎士・ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)が訪れて、自分が父親だと告げる。バリアンは父に従い、聖地エルサレムへと旅立つ。当時、聡明なキリスト教徒の..... [続きを読む]

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