ビジネス誌2誌での草なぎ剛さんインタビュー
先週発売の「日経ビジネスアソシエ 2005 05・17号」、今週発売の「プレジデント 2005.5.30号」両誌でSMAP・草なぎ剛さんのインタビューが掲載されています。
見出しは、アソシエの方は「自分を信用しないんです 本当はいい人じゃないんですよ」、プレジデントの方は「自然に優秀な部下を演じられる理由」。前者は読者と草なぎさんを同世代、後者は部下世代の代表として見ているわけで、読者ターゲットの違いがわかりやすく表れています。
このタイミングでインタビューが掲載されるのは、間違いなくドラマ「恋におちたら~僕の成功の秘密~」メインキャストという理由でしょう。ホリエモン騒動で、もともとついていたタイトル「ヒルズに恋して」が直前で変更になったと噂され、始まってみるとその内容がIT関係者にとってはつっこみどころ満載の「世間様が想像するITってこんな感じ」オンパレード、と「にぽたん研究所」さんで紹介され、一部の人々には本筋でないところで話題になったドラマではありますが、まあそれはともかく。
出るドラマ出るドラマでことごとく高視聴率を稼ぐ彼って一体どんな人?という興味から記事を読み進めていきましたが、アソシエの記事から見えてくる彼は「自分を投げ出せる人」、プレジデントでは「自分のなすべきことに集中し続けた人」という姿でした。
特に印象深かった言葉は、アソシエの見出しにもなっている「でも僕、自分のことを全く信用していないんですよ(笑)」という言葉。その意味は、演出などで「自分はこうした方が面白いと思う」と思い、実際自分の思ったようにやってみたことがあるけれど、後でVTRを見てみるとちっとも面白くない。逆に「今のはイマイチだったな」と思ったものがスタッフからもすごくほめられ、本人が見ても「あれ、なかなかいいじゃん」と感じることが多かった、ということなのだそうです。「スタッフの皆さんが僕の『知られざる部分』を引き出してくれているわけですし」とも。
これはそう簡単に言えることではないよ、すごい!と思いました。
普通役者という肩書がつけば、ともすればいかに「自分らしく演ずるか」といったことに注力しようとするのではないかと素人としては思ってしまうのですが、彼はスタッフを信頼し、自分を素材として投げ出しているのです。
かと言って役者としての努力は何もしていないわけではなく、脚本をいつも持ち歩いて何度も読み、自分の中で想像力を膨らませて、自分の登場するシーンを把握し、自分の中に登場人物と似たような感情がないか探したり、時には街で人間観察しながら役作りをしていると言います。また、なるべく新聞を読んで、いろいろな情報や世相、また載っている写真に対する自分の感情の反応を大切にしているとも。
準備は納得いくまで行い、あとはチームの中で表現をゆだねる。そういうことができる彼は、自分のことをよくわかっている芯の強い人なのでしょう。
彼の仕事観は、プレジデントではこのように表現されていました。
プレッシャーについての言葉で、「僕は自分の仕事をきっちりやることだけ考えているんです。余計なこと-たとえば視聴率が悪かったらどうしよう、とかは考えない。それについては専門に考える人がいるわけで、僕の仕事は与えられた役柄を一生懸命にやることだと思うからです。プレッシャーというのは、きっと余計なことを考えるから生まれるんじゃないでしょうか」
また同じくプレジデントの記事で、「社長の台詞で、心に残るものがあったんです。お金は変わらないけど、人の気持ちはいつも変わってしまうじゃないかっていう台詞で、もっともだなって思った。僕の演じている部下は、人の気持ちを何より優先するんですが、それだけでビジネスをやっていけるのか、という気もします。どちらか片方だけでは難しいのかなって思いますね。バランスが大事。二人のキャラクターを見比べながら、視聴者の方には大いに議論をしてもらえるとうれしいですね」という言葉に、彼の現実的なバランス感覚を強く感じ、地に足のついた人なのだと思います。
両方で共通に質問されていたのが「成功観」。
アソシエでは「難しいですね・・・きっと幸せに生きるということじゃないでしょうか。で、幸せって何かというと、毎日を充実して過ごせるかどうかということ。(中略)結局、『今日は良かった』と思える日が多ければ多いほど幸せということなんだと思います。」
精神的充足感を得られる時は「100%集中して、全力で仕事に取り組めた時ですね。(中略)仕事というのは、その結果というよりも、どういう姿勢で取り組むかが大事だと思うんですよ。」
プレジデントでは「ある時点での成功が、本当の成功かといえばそうじゃない気がするんです。大失敗だと思えたことが、のちに大いに役立つこともありますからね。結果を大事にする方もいらっしゃいますが、僕は結果だけに囚われたくない。自分に妥協せず、ベストを尽くしたかどうかが肝心だと思うんです」
成功の尺度は外側ではなく、自分の中にある人なのだと思いました。
そんなことを言いながら、「イメージ通り、本当に無色透明な人なんですね」というアソシエのインタビュアーに対し、「そう思っていただけるのは自分の財産だと思っていますよ。本当は僕、『いい人』なんかじゃないですから」なんてけろっと言ってしまう一面も。きっとどこに行っても「いい人」って言われ続けて、最初は内心「そればかりじゃないよ」と反発しながら、最後には「こういう『財産』は意識して作れるモノでもないと思うので、大事にして頑張っていきたいと思います」という境地に達したのではないか、なんてつい憶測してしまいました。
両誌とも、他にも味わい深い言葉がちりばめられたインタビューでした。もし興味を持たれた方がいらしたら、ぜひ全文をお読みいただければと思います。
(個人的には「アソシエ」の方が彼自身に深く切り込んでいるように感じました。)
私が俳優としての「草なぎ剛」に注目したのは、実は昨年の「僕と彼女と彼女の生きる道」でした。あまり彼が出るドラマを見ていなかったということもあり、「いい人」「お人好し」役ならまかせておいて、の人、とかなりステレオタイプなとらえ方をしていたのです。
だから「ボクカノ」の「子どもを見捨てようとする」父親役のぞっとするほどリアルな様子に驚愕しました。こんな役もできる人なんだ、と。
感情の起伏のない冷淡な表情。そしてその後自分の思いをひとつずつ見つめ直し、娘と心を通わせていくにつれてこぼれるようになる笑顔のまぶしさ。「愛していないわけじゃなく、愛し方・伝え方がわからなかっただけ」の人間だった彼が、最後には娘とも父親とも少しずつ心を通わせていく術を見いだしていくプロセスに、自分自身が救われていったような気がしました。
おそらく想像力が豊かで、とても引き出しの多い人なのだと思います。本人は意識していないそんな引き出しを周りの人達に開けられ、その時私たちはまた役者「草なぎ剛」が作り出す魅力ある物語の主人公に出会うことができるのでしょう。
◆関連エントリ
TVドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」最終回(2004/03/24)
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