STAGE 能楽「松風」他 (響の会第24回研究公演)
今回は脇正面席。会場の銕仙会能楽研究所の能舞台は椅子ではなく板間に座布団が並べてあり、舞台との距離が前回行った宝生能楽堂に比べてぐぐっと近い。
「仕舞」というのは初めて聞いた言葉だったのだが、調べてみると「一曲の主要な部分を地謡のみをバックに舞う」もの。(「早稲田大学観世会 能楽用語解説」より)
紋付・袴だけのシンプルな衣装、構成も地謡4人とシテ(と言うのだろうか)1人というシンプルなものだったが、シンプルな分生身の迫力をひしひしと感じた。
そして「松風」。最初は浦人役で登場した野村萬斎さんについ目が行ってしまう。声も朗々として、やはりオーラがあるなあと思って見ていたら出番は終わったようで、あっと言う間に切戸から退場して行ってしまった。
それからシテの登場。在原行平の寵愛を受けた松風と村雨の姉妹だ。
前半二人が汐汲みをしたり月に戯れたりする場面は、謡が聞きとりづらいせいもあってか、時折意識が飛んでしまう。
ワキの僧が宿を頼むあたりからようやく頭がついていき始める。
松風の行平への思慕の情が、言葉はあまりわからなくても謡と動きと舞で伝わってきて、形見の烏帽子と狩衣を胸にかき抱くところでは思わず涙ぐんでしまった。
初めて脇正面席で見て、正面席より楽しめるかも、と感じた。
地謡のみなさんの一連の動き(手を隠して待機→出番が近づくと扇を手に取る→そして扇を右手で立てて謡う、という繰り返し)をじっくり見ることができたし、松風が狩衣を羽織るところで後見さんが針と糸で縫い付けているのを見て驚いたり。何本か見て余裕が出てきたら、もっといろんなことに気がついていくのだろう。楽しみだ。
まだまだわからないことだらけだが、「花よりも花の如く」で成田美名子さんに協力している観世銕之丞さんも
一度に能をわかろうとすると大変です。あらすじや歴史、装束の美しさ、面の変化の面白さ、謡、囃子とか何か一つに興味を持って観ると入りやすいですよ。
と言ってくれている。(「Natural」 11巻収録「私をお能に連れてって コミックス版より)
わかろうと身構えず、自分の内面でその世界を感じてみよう、そういう気持ちで今後も能楽公演に足を運んでみようと思う。
参考リンク:
能の誘い(能を気軽に楽しむための情報サイト)
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コメント
トラックバック返しありがとうございました。
響の会は、私は正面最前列におりました〜。
私はまだ脇正面は未知の世界ですが(だいたい、安い中正面に座るので・・・)、おもしろそうですね。
お能は、おっしゃる通り、感覚で楽しむ部分がほとんどかとも思います。私がそうなんですが・・・。
でも謡とか分かっていると、一層楽しめます(^^)
あと、私も『花よりも花の如く』ファンです!!
投稿: みゆみゆ | 2004/12/22 18:28
>みゆみゆさん
はじめまして。くりおねと申します。
コメントをありがとうございました。
正面最前列にいらしたのですね。ということは相当早く並ばれました?
私が入った時は正面席はかなり埋まっていたので脇正面席に行きましたが、思いの外よかったです。
おっしゃる通り、謡がわかるとかなり世界が広がりそうですね。うーん、どうやって勉強しよう。調べてみます。
「花よりも~」ファン同志、今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: くりおね | 2004/12/24 00:09