先行上映 シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」
今年の8月に中村勘九郎主演で上演された歌舞伎「野田版 鼠小僧」。人気興行のため、当然チケットが取れるはずもなく、悔しい思いをしていたのだが、その作品がなんと「シネマ歌舞伎」として映画館で観れると言うではないか。
ぴあから送られてきた先行販売案内メールを見て、ほとんど脊髄反射でトラックポイントを「ポチっとな」してしまい、無事チケットが取れてしまった。
12月24日、世間はクリスマスイブでカップル/グループが楽しい集いを営む夜に、私は女二人で銀座で歌舞伎。
シブい。ここまでシブいイブはさすがに初めてだ。
イベント名は「シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」ぴあスペシャルナイト」。
舞台の映像化ということで、実は正直あまり出来には期待していなかった。
テレビで見る舞台はなぜかあまり面白みを感じにくい、と思っていたからだ。
全体を見たい時に役者に寄り、ここで表情を見たい、という時になぜか違う角度から引いている。本当に舞台を知ってる人がカメラ回してるの?と疑問を感じるくらいひどい時もある。
そういう経験があるので、今回も話をそこそこ楽しめたらいいかな、という程度の期待だった。
ところが。
これがすごく面白かったのだ。
松竹さんごめんなさい。
引きと寄りのタイミングが自分の好みに近かった、ということかもしれないが、同行してくれた友人も同じ感想だったので、おそらくそう的外れではないと思う。
加えて、イヤホンガイドいらずの野田版脚本(つまり現在口語に近い)。そして演ずる勘九郎を始めとする歌舞伎役者さんたちがまあ楽しそうに演っていること。一筋縄ではいかないそれぞれの役を深みある表現で演じていた。伝統芸能を叩き込まれている歌舞伎の世界の方々、その表現者としての力量を見せつけられた気がした。
汗だくで出ずっぱりの熱演をした勘九郎はもちろん、どの役者さんもよかったが、個人的には初めて女形の演技を見る片岡孝太郎がとてもよかった。とても「白い巨塔」の佃講師と同一人物とは思えない。獅童は少々「捨助」が入っていた?三津五郎の大岡越前守忠相のいやらしさ、橋之助の腹黒さもたまらない。
ストーリーは松竹の公式サイトをご参照願いたいが、事前にあらすじを知らなくても大丈夫。
粋で華やかな舞台、ぜひ新年映画館で楽しんでいただきたい。
さて、当日はクリスマスのスペシャルナイトということで、プレゼントがあった。
一つは、鼠小僧にちなんだネズミと小判の根付。左の写真のものである。
もう一つは、正式公開時に販売されるパンフレット現物。これはお楽しみ、ということで画像は出さず。
そしてそして。
エンドロールも終わり、客席からの拍手とともにゆっくり会場が明るくなったあと。
最大のスペシャルプレゼントがあった。
それは、中村勘九郎さんご本人の挨拶!
全席指定で、私たちが座ったのは最前列。映画を見るには決していい席とは言えなかったが、この時ばかりはこの席が取れたことに心から感謝した。
あの、勘九郎さんが、すぐ目の前を歩き、私たちに語りかけている。輝くオーラに、ああ、息が詰まりそう。
かくして女二人のシブいイブ、大満足で帰宅してきたのだった。
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