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2004/12/27

COMIC 「働きマン」1巻 安野モヨコ

モーニングに月イチ連載中の「働きマン」が単行本化された。

舞台は週刊誌「JIDAI」編集部。主人公・松方弘子は働き者の編集者。
「掲載されてナンボ」を信条に通る企画を書き、取材、原稿執筆、校了まで恐ろしいほどの仕事量をこなしている。
お互い忙しい恋人とのすれちがいは当たり前、デートの約束をしても必ずどちらか仕事で都合が悪くなり、もう何カ月もセックスレスだ。デートがキャンセルになっても「これで眠れる、助かった」と思ってしまう弘子。時間ができた彼からの急なお誘いも特ダネの予感の前にはあっさり消え去ってしまう。

いかにラクするかしか考えていない(ように見える)新人にイラつき、デスクと時にはぶつかりながらも、一旦スイッチが入ると、弘子は通常の三倍の効率で業務をこなし、装飾や衛生観念を失って仕事に没頭する「働きマン」となる。
そんな彼女と、彼女を取り巻く人達のお話。

一生懸命働く(しかも決してキレイだけの仕事ではない)女性のカッコよさ、苦しさ、葛藤、楽しさをどかんと書いてくれて、実に爽快なマンガだ。
弘子のいいところは、いつもものごとの真ん中の姿を追いかけようとするところ。
なぜ自分はここにこだわっているのか。それは本質なのか。
追いかけて追いかけて、それが本質でないとわかったら、潔く負けを認めて自分を切り換え、今できるベストを追求する。こういう時の彼女のかっこいいことったら。

印象に残ったセリフをひとつあげると、急な誌面変更を言われて「もう作ってしまったものだからそれは無理です」という新人に対し、デスクが「できない理由を聞いてるんじゃない。どうすればできるかを聞いてるんだ」と言うセリフ。いい言葉じゃないか。

地味でうんざりするつまらない事の積み重ねの向こう側に、一瞬そんな風に燃える時間があるって、うれしくなる。そういうことが、またもうちょっとがんばってみようかい、と思わせてくれる。

すべての「働く」人達に。たまには働く事に燃えてみたい、と思っている人達に。

働きマン (1)
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安野 モヨコ
講談社 (2004/11/22)
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コメント

働きマン、私も大ファンです。なんというか、主人公のがむしゃらぶりに辟易している周りのオトコたちも、実は彼らなりの価値観とこだわりをもって仕事をしている、ということが分かる一瞬がすごく好き。

投稿: ゆびとま | 2004/12/28 13:51

そういう時にはなぜか自分も救われたような気がするのです。

投稿: ゆびとま | 2004/12/28 13:52

>ゆびとまさん
「働きマン」ファンの同志がいてくれて、うれしいです。
いろんな仕事のやり方があって、時にはうんざりしながらも、心の中でお互い認め合って一緒にやっていく。そんな様子が見えると、なんだかうれしくなりますよね。
それは私の場合、弘子に投影している自分自身を認めてもらえたような、そんな感覚なのかもしません。

投稿: くりおね | 2004/12/28 23:59

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