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2004/11/25

映画「スーパーサイズ・ミー」は壮大な実験記録だ

「ホワイトハウスに喧嘩を売ったのがマイケル・ムーアなら、ゴールデンアーチ(マクドナルドのMマーク)に噛みついたのがこちらのモーガン・スパーロック。この男、ドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』を撮るために、30日間、マクドナルドの食べ物を朝・昼・晩と食べ続け、あやうく死にかけた。」
という出だしで始まるプレジデントの記事(2004 12.13号)を読み、おっ、と思った。

モーガン・スパーロック──命をかけてマクドナルドを食べた男
アメリカ人が100%肥満でないことのほうが奇跡だ

(PRESIDENT Online)

以前のABC振興会にあった記事を思い出したからだ。

ダイエットブームで米マクドナルドで”特大サイズ”がメニューから消える[ 03 アメリカ食事情]

この記事では、「本当のところ、例の映画のせいでできた悪印象の”Super-size"(特大サイズ)という名称をもう使いたくないだけかも。」という推測がされていて、そのくらい強烈な出来になっているんだなこの映画、と思ったのを記憶している。そして、「例の映画」はサンダンス映画祭ドキュメンタリー部門で監督賞を受賞しているのだ。

では、監督が体を張って30日間3食マクドナルドの食品を食べ続けた結果、どうなったのか。

「体重が増えることは予想していたけれど、コレステロール値も、血圧もはねあがり、脂肪肝になった」
 10キロ以上も太り、ボロボロになった身体は、献身的な恋人の「解毒ダイエット」で、1年以上かけてもとに戻した。

三食ハンバーガーではないにしても、多すぎる食事で肥満体になる人たちが、少なくともアメリカには数多くいるであろうことは、山口浩さんの「H-Yamaguchi.net」に掲載されていた「デブは経済にも環境にも悪い」「方法の問題ではない:「デブの国」より」といった記事を読むと納得できる。(記事中で「CNNニュースでは、アメリカ人のうち大人の31%、子供の17%が「深刻な肥満」に陥っていると報じていた。」と書かれている。深刻でない普通の肥満は65%だそうだ)

さらにスパーロック監督はこう続ける。

太っただけでなく、鬱とインポテンツと集中力欠損に見舞われた。考えてみれば、アメリカでは、この三つの症状を緩和する薬--プロザック、バイアグラ、リタリン--を大量に消費している。よりバランスの取れた食事をすれば、薬の消費量はうんと減るだろう。でも、製薬会社が金をばらまいているせいで、そうはならない。信じがたい事だが、アメリカの医学部では四年間で六時間しか栄養学の時間がない。栄養学は金にならないからだ

ファストフードがすべてこれら三大症状の原因とは直結はできないが、ここまで強烈な影響を実際与えられるとはまったく驚いた。いくら極端な実験とは言っても、これに近い状態の食生活を送っている人間はアメリカだけではなく、日本にも多いと感じる。彼らも近いうちにプロザック、バイアグラ、リタリンのお世話になる予備軍ということか。そしてそれを売るアメリカの製薬会社がまたさらに儲かるという仕組みに見えるのは気のせいだろうか。

そして、「栄養学は金にならない」!だからって医学部で6時間しか授業がないというのは一体どういう事なのか。
アメリカでは食事に関する何かが根本的に間違っている、と言いたくなってしまう。

映画では、医師、体育教師、調理師、弁護士などを幅広く取材し、「年間四十万人が肥満死」するアメリカの暗部に光を当てているが、マクドナルドへの取材はついにかなわなかった。

年間四十万人が「肥満死」する国というのはどういう国なんだろう。
食べて食べて食べまくって、それが死へまっしぐらに続く道だなんて、本人たちは想像してもいないだろうに。
またマクドナルドに限らず、バーガーキングやホワイトパレスなどのファストフード・ハンバーガーにある程度頼らざるを得ないのは低所得層なのだという話も、うろ覚えで申し訳ないがどこかの記事で読んだ記憶がある。
ここにも「選択肢を奪われた人たち」が、マイケル・ムーアの映画の如く浮かび上がってくるのか。

「マクドナルドをとりあげたのは、一日4600万人の顧客に食べ物を売ってる、業界ナンバーワンの企業が変われば、他の企業も変わらざるを得ないと思ったからだ。マクドナルドはファストフード業界のパラダイムを変えることができる企業なんだ」スパーロック監督へのインタビューはこう結ばれている。

この映画がどのくらいメディアで取り上げられるか、実は非常に興味がある。
なにせ監督曰く「映画が公開されてから、マクドナルドはこの映画をとりあげたらCMを打ち切るとメディアに圧力をかけている。彼らの金の力はすごいもんだよ。日本でも4大テレビネットワークが1社も僕に取材にこなかった。これは偶然なのか? そんなわけないだろう。」ということなのだから。

2004年12月25日よりシネマライズ他にてロードショー。

映画公式ホームページ「スーパーサイズ・ミー」では、日を追ってどのように身体がボロボロになっていったかという監督本人の記録、また協力者としての医療従事者のコメントなどが読めるので、あらかじめ目を通していくとより楽しめるだろう。

スーパーサイズ・ミー
レントラックジャパン (2005/07/08)
売り上げランキング: 519
おすすめ度の平均: 4.29
5 そこまでするか?
3 目の付け所がスゴイ!
5 医学的な根拠を作ったとは言えませんが、、、

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コメント

トラックバックありがとうございます。
この映画には私も注目していました。ただ私は、チーズバーガー法案については「当然だ」という考えでおりますので、この映画に関していうと、マクドナルドも若干気の毒という気がしなくもない、と思っています。
マクドナルドが肥満の原因になるというのが仮に事実であるとして、じゃあマクドナルドがこの世から消えたらアメリカ人の肥満が減るかというと、どうもそんなことはないのではないか、と思うのです。ファストフードの栄養過多を責める前に、まずは「たくさん食べ過ぎる」「毎日ファストフードを食べる」ことを反省すべきではないのかと。
昔仕事でいっしょになった工務店のおやじさんが、うな重を食べながら、医者に止められているんだが、といっていました。これだけはやめられない、毎日食べても飽きないと。うな重を毎日食べていればそれは体に悪いだろうと思うのですが、うなぎ屋を責めるのは筋違いだということは意識していました。
まあ、メディアへの圧力については、それが本当ならやりすぎだとは思いますが。

投稿: 山口 浩 | 2004/11/26 01:53

>山口浩さん
コメントをありがとうございます。
私も確かにマクドナルドだけをやり玉に挙げるのならば、それは気の毒だとは思います。おっしゃる通り、肥満の原因は栄養過多な食品よりは食べる量と質の偏りにあるわけですから。
ただ、それを知っていてやっているのと知らずにやっているのではやはり違うと思います。
工務店のおやじさんはうなぎを毎日食べ続けることで、大好きなうなぎを食べられなくなる日が早くやってくることは承知の上でやめないのだと思います。
スパーロック監督が言うように、マクドナルドが変わる、たとえばすべてのメニューに栄養表示をして、それが一日の栄養所要量のどのくらいの割合になるのかを示すとかいう行動を取っていけば、他の企業も追随するかもしれません。そういう効果を期待しているのだと思います。やり方としては単にケンカを売ってるように思えるのも確かですが。

あと私が気になっているのは、大量生産される食品には習慣性を持つ添加物が使われていないか、と言うことです。やめたくてもやめられないような。これは根拠があって言っているわけではないので、機会があればデータを調べてみようと思っています。

ともかく、肥満に悩む(本当に悩んでいるのか?)アメリカ人に必要なのは正しい食事に関する知識、これに尽きるのかもしれません。

投稿: くりおね | 2004/11/26 15:35

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