STAGE 「銕仙会10月定期公演」葵上ほか
銕仙会定期公演で、とうとう、能鑑賞デビューを果たした。
10月8日(金)。場所は宝生能楽堂。
番組内容は以下の通り。
能 「兼平」 シテ 観世銕之丞
狂言 「神鳴(かみなり)」 シテ 山本則俊
能 「葵上」 シテ 浅井文義
それぞれのあらすじは銕仙会ホームページの「今月の公演」をご参照下さい。
また、「葵上」は慶応観世会ホームページ内でのこちらのページで舞台の様子の画像がありましたので、雰囲気を感じていただければ。
成田美名子さんの「花よりも花の如く」を読んでから、どうしても能を生で見たくなってしまった。
ファースト能は、成田さんのファースト能でもあった「葵上」にしたい、そう思って探していたら、成田さんが作品を描くにあたり協力を得ている銕仙会の定期公演で予定しているのを見つけ、ホームページからチケットを予約。
チケットは当日会場渡しと事前郵送のどちらかを選べるのだが、初めてだったので郵送を選んだ。後日公演2週間前にチケットが無事届く。代金は郵便振替で便利。
「花よりも花の如く」の元となった作品「Natural 」11巻に収録されている「私をお能につれてって」という能エントリーショートストーリーに、初めての鑑賞にあたっての注意事項が書いてあり、要約すると
「体調を整えて」
「静かに、しゃべらず動かず」
「事前に謡本(あらすじ)を読む」
「わかろうと身構えず、感性を働かせて」
ということだった。
体調に関しては、残念ながら少々寝不足で臨んでしまったが、とにかく気負わず、感性全体でとらえようと思いながら座席に座っていた。
初めての能楽堂だが、思っていたより若い人が多い。男性女性もだいたい同じ比率のように感じた。
平日夜だがほぼ満員だったように思う。
舞台は幕などなく、よく見るあの能舞台がそのまま目の前にある。
やがて無言で囃子方(笛、鼓など)入場。そのあと地謡(言わばコーラス隊のようなもの)が並び、後見が入ってから、囃子方の演奏が始まり、しばらくするとワキが入場。皆足音なく、しずしずと歩いてくる。最後に面(おもて)をつけたシテ。
「兼平」の前半は、正直眠ってしまった。後ろの席の方は、私のかっくんかっくんする首がさぞかし迷惑だったことだろう。申し訳ない。舞台の動きが少なく、地謡のみなさんの声の波動がどうしようもなく眠気を誘ってしまうのだ。以前Hiroetteさんが能に関するエントリで「地謡の声はα波を発生させるから眠ってしまう」と書いてくれていたのがせめてもの救い。
後半シテが華やかな美しい衣装で出てきてからは眠気は起きず、そこで起きていることもなんとなくだが理解できた。謡の意味はほとんどわからないが、舞いと音楽と仕草で、表情は変わらないはずの面にいろんな表情が見えるような気がしてくるのが不思議。兼平の無念が伝わってきて、思わず胸を打たれた。
終了はシテから幕に戻り、順番にこれまたしずしずと退場していく。
これが、能というものなんだなあ。
狂言は無条件で楽しめる内容。人間にいいようにされる雷神が間抜けで愛らしい。
そして「葵上」。後半で六条が般若の面になり、恨みで葵上をとり殺そうとする舞の怨念、小聖との戦い、そして破れて去っていくかなしみ。
やはり謡で何を言っているのかはわからないままだったが、舞と曲のテンポ、さまざまなな所作である程度のことは伝わってくる。そして囃子方も含めた舞台全体がその物語の世界を作っていて、五感でその中に入ることができるような、そんな気がした。
ぜひ、また行きたい。
観れば観るほどより理解できそうな気がする。やはり、伝統芸能はすごい。
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