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2004/09/26

MOVIE 「華氏911」

3年前の「あの日」。
家で見るともなしにテレビをつけていた。マリナーズとどこかのチームのメジャーリーグの試合をやっている。いつものような夜。
ふと、画面の変化に気づいて、手元の新聞からテレビに目をやると、煙を出しているWTC(世界貿易センター)の映像が映っていた。2カ月前にニューヨークに行って、シンボルのように存在していたあのツインタワーだ。
あれ?途中から映画になったのかな?とけげんに思いながら見ていると、テレビの向こうはどうも騒がしい。
おかしい。いったい何があった?

・・・WTCに飛行機が突っ込んだって?

逃げまどう人たちの映像。そして間もなく、テレビの前でなりゆきを呆然と見るしかない私たちの目の前で、もう一機がビルに吸い込まれていく。頭の中でなぜか「Oh my god!」のフレーズが何度も繰り返される。
あれが、私にとっての「9・11」の始まりだった。

カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した、マイケル・ムーアの「華氏911」(原題:Fahrenheit 9/11)を観てきた。

「ボウリング・フォー・コロンバイン」では、恐怖と無知によって起こる銃犯罪、そして圧力団体・全米ライフル協会長(チャールトン・ヘストン)に突撃インタビューを行ったマイケル・ムーアが、今回は9・11をきっかけに、ブッシュ大統領の「仕事ぶり」そしてその後のイラク戦争への疑問をニュース映像を集めて紹介していく。

私にとって一番印象的で、ある意味衝撃だったのは、WTCに飛行機が突入したまさにその瞬間、ブッシュ大統領が取った行動。
オクラホマの小学校を訪問していた彼は、子供たちの前でヤギさんの本の朗読を聞いているのだが、側近らしき人物が耳打ちをした後、うつろな目をして微動だにしない。3分。7分。時間は刻々と過ぎる。2機目の突入も報告される。だのに何もしないのだ。

これが大統領の行動なのか。ハリウッド映画などで見ていた大統領は、こんな時スマートに席を立ち、真っ先に情報を確認し、至急対策委員会を招集して現地に向かおうとするような気がするのだが、あれはフィクションだからなのか?

その後、ブッシュ家とサウジのオイルマネーとの関係を示唆する映像が続き、国民を恐怖で制圧して攻撃を正当化する過程ののちに、イラク戦争の開始。
しかしその戦争に行くのは実際は誰なのか?それはたとえばムーアの故郷・ミシガン州フリントのような貧困地域の、しかもカラードが大半だという事実。
映像は淡々と続く。クリスマスイブに行われる突入任務。おびえる母と娘。あちこちから血を出して運ばれるイラクの人々。爆発と振動。「魂を殺さないと人を殺すことはできない」とつぶやく兵士。
「いい就職先」として軍隊を自分の息子に勧めた母親が、その息子の死に直面するという悲劇。

単純な疑問だ。誰のための、何のための戦争なの?
誰が自分たちを貧しいままにしておくの?何のために?

もちろんこれは厳密な意味での「ドキュメンタリー」ではない。必要な映像をわかりやすく編集した「ムーアのエンターテインメント」だ。しかし、ウソはついていない。ここにあるようなことを知らされていない大半のアメリカ人にとって、これは実は重要な情報源ではないのか。
そのあたり、ゆびとまさんが記事「華氏911」で「大手の米マスコミがアメリカ人大衆に対し、コインの両面どころか片面すら見せてこなかったことを考えると、ムーア監督の試みには、やはり素直に拍手したいと思っている。」と書いているのにまったく同感である。

「ただのブッシュ嫌い」とか、「プロパガンダ」とか、この映画についていろんなことが言われているが、本当に作品を見てそう言ったのか?と疑問に思ってしまった。

私がニューヨークに行ったのは2001年の7月。
その時、リバークルーズの船上から見たあのあたりはこういう風景だった。

wtc.jpg

今はもうない。自分の中であんなにはっきり存在した物でも。
思い出をそういう形で書き換えなければならなくなった、初めての経験。
決して忘れない、忘れてはいけない経験。

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コメント

す、すみません。
CCCDの件のトラックバック、間違えました(>_<)
申し訳ありません。こればっかりはお願いです。削除をお願い申し上げます。ほんとうにすみません_(._.)__(._.)_

投稿: The Depressionist | 2004/10/17 18:23

了解しました。削除しておきます。
不具合対応大変そうですね。ぼちぼちやってくださいませ。

投稿: くりおね | 2004/10/17 18:43

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