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2004/07/01

気がついたら、「産まない」を選んでいた

以前(確か1999年頃)朝日新聞で「なぜ、子供を産まないの」という特集記事が組まれたことがあった。
その時にはすでに、おそらく産まないことを選択せざるを得なくなっていた私は、「どうして、産まない理由は尋ねられて、産む理由は尋ねられないのか?」という主旨のメールを、「なぜ、子供を産むの?」というタイトルで送信したことがある。

SmallBiz(要無料登録)でもう一つ愛読している、辰巳渚さんのコラム「辰巳渚の『ニュースのツボ』」で見た下記記事から、またこのことについて考え、まとめてみたくなった。

子育て支援は出生率低下の歯止めにはならない

厚生労働省の人口動態統計では、その年に生まれた子どもが同じ女性の何番目の子どもか、といった統計は取っている。「出生順位」と呼ぶが、それによると、平成15年の出生数112万3828人のうち、1人目は54万7272人(49%)、2 人目は41万9179人(37%)、3人目以上は15万7377人(14%)。余談だが、5人目以上の子が6645人もいることは、私には少々驚きだった。

もっとも大事なのはここだと感じた。↓

生む女性は今までどおり生んでおり、生まない女性(0人生む女性)が増えているのが実際のところ

子育てしやすい環境を社会の仕組みとして整えることは急務だ、ということを踏まえたうえで、よくよく考えてみると、やはり根本は子どもを自分の意思で生もうとしない女性、あるいは子どもを持つことを選択しない夫婦が増えている事実をどう捉えるか、という議論になっていくのではないだろうか。


「出生率の低下」という話題にはいつも「女性の就業率の増大」「育児環境の整備」「晩婚化」などのキーワードが、まるで犯人探しをするようにちりばめられるが、そういう視点には正直飽き飽きしている。

個人的な話で恐縮だが、私の場合は、タイミングを逃した、というのが一番率直な表現である。
結婚したばかりの時に、何も考えずに勢いのまま取り組んでいれば産めたのかもしれない。だが、仕事が変わったばかりで、そこに集中しなければいけない時期だった。そうこうしているうちに「どうしてもほしい」という気持ちは持てなくなり始め、だめ押しはローンでマンションを買ったこと。育休で無給になることは事実上不可能だった。

言い換えれば、いわゆる思考停止状態で突き進まないと、私は産むということはできなかった、そういうこと。

ただし、そういう決心をしている自分自身を受け入れるまでには相当の時間がかかったことを付け加えておく。私と夫双方の両親から一言も「子供は?」と聞かれないにもかかわらず、だ。
それほどまでに「産まない女」への社会からの圧力、刷り込まれたあるべき姿のプレッシャーは大きく、人によっては心身のバランスを崩すほどに苦しいものなのだ。
(そのあたりの気持ちは「専業主婦の逆襲」さんの「女に子供を産め!産め!言うな!」が実に本音満載である)
それは「結婚しない女」でも同じことで、勝つとか負けるとか、そういう次元の問題ではない。

出生率に関して言えば、たとえ政府の施策がことごとくヒットして回復したとしても、10年や20年では2.0を超えることは難しいと思う。そうすると、出生率が上がらないモデルで今後の社会保障を設計しなければ、いつまでたっても破綻は目の前だ。
そういう世の中になるのなら、これからは多様性をどう受け入れていくかが、社会の成熟度に関わってくると思う。性別、民族、そして生き方・働き方の多様性。家族の構成人数、組み合わせ。血縁が意味をなさなくなるかもしれない。そうしないと、日本が独立国家として生き残ることももしかしたら難しくなるかもしれないのではないか。

テーマがテーマだけに、これだけではまとめきれないので、また別に稿を起こすかもしれない。

ちなみに、冒頭に紹介した、朝日新聞へのメールは、送信して5年になるが全く返信のないままである。

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「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

>管理人様

どーもはじめまして、「専業主婦の逆襲」のニシオです。
何やらこのよーな高尚な『ブログ』で紹介していただき
どっ、どっ、どーすればいーのじゃろーって感じかも…
かなり動揺しとります。(ですます調になってるじゃん、汗)

ただ、ニシオは子供産んだ側でも、年金問題で世の中が
出生率上昇の為に、産め!産め!コールみたいなのにすっげー
ムッとしたんで、一介の専業主婦からの挑戦状って感じで
投稿してしもーたナリ。
日々のほほんと生活しとるだけでも人間長くやっとったら
色々世の中にハッキリ言わんと皆分からんのじゃろーか!
ってのがたくさんあって、まーそーゆーのを色々書いて
いきたいにゃーと思っとります。どぞ、よろしく。

投稿: ニシオ | 2004/07/01 12:36

>ニシオさん
はじめまして、くりおねと申します。
コメントをありがとうございました。
こ、「高尚」なんて、、、そんなこと全くない、つもりです。本人は。
木村さんにトラックバックする記事を書くときはちょっと肩に力の入った物言いをもしかしたらしているかしれませんが、お馬鹿系小ネタも大好きです(笑)
「女に子供を産め!産め!言うな!」というタイトルが「もうその通りー!よくぞ言ってくれました!」ととにかくツボにきまして、勝手にご紹介させていただいた次第です。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: くりおね | 2004/07/01 23:32

くりおねさん、こんばんわ、

トラックバックをいただいてから、ずっと考えていました。

意外なことに少々前から準備していた太平洋戦争についての記事を書いているうちに自分なりにどうお応えすべきかが腑に落ちました。

まだ、くりおねさんのお気持ちを正面から受け止められたか自信がありません。

とにもかくにも、トラックバックさせていただいた記事をお読みいただければ幸甚です。

投稿: ひでき | 2004/07/02 19:35

>くりおねさん

「専業主婦の逆襲」のニシオっス、ご挨拶が後に
なっちゃいましたが、こちらのサイトを取り上げさせて
いただきましたナリ。
ニシオ、くりおねさんみたく上手く書けん!
変な紹介の仕方でスンマセン。(汗)

投稿: ニシオ | 2004/07/03 21:21

>ひできさん
トラックバックをありがとうございました。
えと、こういうことについてお話されるのなら、わざわざ「酒井順子の『負け犬の遠吠え』」じゃなくてもいいじゃーんw、というのが正直な感想ですが、まあそれは思考の過程だからしょうがないのか。クリティカルな言葉なので、過剰反応しちまったじゃないかい(笑) あと、基本的に人生に「勝ち」「負け」があるという考え方が苦手なので、そういう表現で何かを比喩することそのものそのものに違和感を感じるもんで、さあ。

>ニシオさん
ご紹介ありがとうございました。私の方こそ、あんな風に書いていただいてすごくうれしかったです。直球勝負のニシオさん、かっこいいです。

投稿: くりおね | 2004/07/06 07:11

くりおねさん、こんにちわ、

まず、なにより、ツボにはまるようなことを書いてしまい申し訳ございませんでした。反省しております。

正直、多少読む方をあおりたいという気持ちがあり、持ち出さなくてもよい話しを持ち出してしまったようにも感じております。瀬戸さんの記事があまりにも私のクリティカルなところにつきささってしまったので、そのまま安易に書いてしまいました。

人が生きるということは、ほんとうに勝ちとか負けでなく、どう生きるか、何をこころざしにして生きるか、という問題なのだなとしみじみ感じております。書いてわかることというのが結構あって、今回の記事を書かせていただいて、またほんとうにありがたいコメントをいただいて、逆に自分のクリティカルな部分が見えてきたようにも感じております。それは、くりおねさんがおっしゃるように勝ちとか負けとかいうことでは決してありません。

私がまだ未熟なのです...

投稿: ひでき | 2004/07/06 12:04

くりおねさんはじめまして。トラックバックさせていただきます。
わたしはかろうじてまだ産むことができる状態にありますが、逡巡している状態です。気づいたら産まないことを選択しているのかもしれません。

投稿: ぶん | 2004/07/12 23:42

>ひできさん
最近脳が夏バテ気味で、コメント遅れて申し訳ありませんでした。
書かれた内容そのものよりも、トラックバックされたことに違和感を感じてました。「これを読んで、私にどうせいっちゅうねん?!」とゆう感じで。ですので今は特にどうこうとも思っていませんのでもう気になさらないで下さい。

>ぶんさん
はじめまして、くりおねと申します。トラックバックをありがとうございました。
私自身、周期的に「子供産んでみたいー!」と思う時期が回ってくることがありました。今はさすがにありませんが、その時は「これが本能の力なのか・・・」と妙な感心をした覚えがあります。
人や書物や芸術みなそうだと思ってるのですが、すべて「出会うべくして出会う」「時が満ちる」のかな、なんて思っています。もちろんその出会いには下地がある場合も多いんですけどね。いろんなことを考えながら過ごされた後にぶんさんの時が満ちた時、案外するっと答えが見えてきそうな気がします。(事情を知らずに好きなことを言って申し訳ありません)

投稿: くりおね | 2004/07/15 23:12

古い記事ですが、コメントさせていただきます。

子どもを産めなかったけど、子育てしている者です。一年間、不妊治療を経験しました。晩婚になってるし、不妊が増えてるのは、人類の繁殖機能が低下しているのだと、勝手に壮大に思っています。

私も主人も子育てしたいと思い続け、幸いにも2人の子の親となりました。具体的には児童相談所に里親の申請をして、その後いろいろとあり、縁で結ばれ、法的にも親子となって暮らしています。

出生率うんぬんの前に、子どもの権利をきっちり守って欲しい。と行政には言いたいです。子どもは親も含めた大人に守られるべきもの。つらい思いをしている子どもに対して、係わる大人(行政)の人数も専門知識も不足していると思います。

子育ては親も育てると言いますが、子が育つ基礎をきっちりとしていけば、国も潤っていくのかも?

投稿: あいの | 2004/12/20 14:35

>あいのさん

こんにちは、くりおねと申します。
コメントをありがとうございます。

>子どもは親も含めた大人に守られるべきもの。つらい思いをしている子どもに対して、係わる大人(行政)の人数も専門知識も不足していると思います。

まったくその通りだと思います。
生まれてきた子どもを守れなくて、どうしてこれから生まれる子どもをケアしていくことができるんでしょう。
児童相談所も保健所も人手不足と聞いています。行政とNPOなど民間組織が総力をあげて守らなければいけない子どもたち、たくさんいるのではないかと。そういうところに税金をきちんと使ってほしいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: くりおね | 2004/12/20 22:54

こんにちは!はじめまして。
同様の疑問持ってる方に出会えて幸運です!
私も既婚ですが産む理由が無く、そこで止まってる者です(汗
今結婚の意義が分からない、(未婚の若者)も増えてるんですって。
政府は「結婚って子育てってこんなに楽しいんだよ♪」って
アピールしたほうが効果的だと思います(○`ε´○)。
(多分説明できる人がいないんだと思うんですけど・・・。)

投稿: emi | 2006/07/24 04:36

>emiさん
はじめまして、くりおねと申します。
コメントをありがとうございます。

いつも「産まない理由」ばかりを求められるのに少々うんざりして、こんな記事を書きました。この年は出生率が1.29になってかなり騒がれましたが、2年たった今年は1.25。理由はどうあれ間違いなく「子どもを産みたくない国」にどんどんなって行っているような気がします。政府はもちろん、普通に生活している大人達が結婚や子育てを含む人生を「大変だけどけっこう楽しいよ」と伝えていくことが大事なのかなあ、なんて個人的には思ったりしています。

投稿: くりおね | 2006/07/24 21:25

私も36歳独身女性ですが、やはり縁やタイミングがなく結婚も子供もいませんが、会社では「不倫してる」とか「パラサイト」だとか言いたい放題言われています。仕事を猛烈に憶えていかないといけない時期と重なってしまったのは事実ですが、女だけが悪いみたいな、わがままでバブル世代だから贅沢だからとか悪者みたいな言い方されると悲しいです。結婚して子供がいても、ひどい人はたくさんいるのに・・・。勝ちとか負けの問題ではないと思います。

投稿: ピオーネ | 2006/10/04 01:02

>ピオーネさん
こんにちは、コメントをありがとうございます。

私も30過ぎまで独身でしたので、書かれているような「女だけが悪いみたいな、わがままでバブル世代だから贅沢だからとか悪者みたいな言い方」をずっとされてきて、そのたびにとても悲しい思いをしたことを今でも覚えています。「大学出てるから男をえり好みしてる」と言われた時には唖然としました。

人それぞれいろんな事情があって、いろんな生き方をしていることを受け入れられる社会になるといいなあ、といつも思っています。
金子みすずではありませんが、「みんな違って みんないい」というような。

投稿: くりおね | 2006/10/05 22:20

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