4991枚との格闘・序章
某月某日。公的年金タスクフォース活動の、最初の集合作業がひっそりと行われた。
その1st missionは。
番号打ち(しかも手作業)
だった。
この内容をデジタルデータ化するのにあたり、大勢の人間で手分けして行わなければいけないわけだが、貴重な元資料が散逸してしまっては元も子もない、ということで、すべてをナンバリングして身元をわかるようにする、という必要があったのだ。
まあ、料理で言えば「下ごしらえ」というところか。
考えてみてほしい。
4991枚の紙に、当然ある秩序は持たせてのことだが、ひとつひとつ手で番号を記入していくのだ。
1000001、1000002、1000003、1000004、、、、、、、、、、
そりゃ間違えもするわさ。
例えば私の場合。
まず、本来は最終形が「2001015」とならなければいけない紙を含む束があった。
終わり3桁はあとで書き、「2001」までをまず通して書く。
↓
、、、、あれ?なぜか「2000」と書いてるよ、と気づいたのはその束の半分ほどいったところ。
↓
しょうがない。「2000」を「2001」と書き直す。
↓
次に「2001」のあとに「001」「002」「003」、、、と振っていく。
↓
、、、あれ??なぜか全部「001」って書いちゃったよー。
↓
しょうがない。「002」「003」と書き直そう。
↓
、、、あれ???なぜか「015」のあとに「014」って書いちゃったよ。
↓
しょうがない。「014」を「016」と直そう!
↓
、、、あれ????やっぱり「014」の次に「015」なかったよ。
おまけにこのまま下に書いたら本当は何番なのかわかんないよ。
↓
しょうがない。「2001015」と一番上に潔く書き加えよう!!!!!
という工程を経て完成したのが下の写真。
おかげさまで「まちがい芸術大賞」を受賞させていただいた。
これを見て笑っているあなた。明日は我が身である。
ま、そうは言っても一人でやったらもっと悲惨なあやまちを犯すところだったが、幸い仲間とあーでもないこーでもないとおしゃべりしながら手を進めていたので、うつうつとすることなく作業を進めることができた。チームの力はすばらしい。
思いがけず初めて対面したゴーちゃんに心臓爆発させて倒れそうだった人や、数字の羅列にアートを感じていた人、プログラムソースに萌えまくっていた人など、人の興味の向かう方向ってさまざまなんだと実感。
もともと「年金の仕組みって、わかりにくいし、本当にこのままで大丈夫なんすか?」と思っていたところに木村剛氏のブログでの緒活動に触れる機会があったことで興味を持ち、トドメはボーナスでの天引き金額。
こんだけ引かれてるのに、しかも引かれる額はこれからますます増えていくというのに、支給の目処があやしいってどういうことよ!
しかも今週発売のAERA No.31にある「ナチスまねた積立金乱費」には、1942年厚生省で初代の担当課長をした故花沢武夫氏の当時の法案担当者としての認識を、その後いろんな媒体で語った言葉の引用が掲載されているのだが。
<引用開始>
「この膨大な積立金で・・・・・・財団とかいうものを作って、・・・・・・そうすると厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。・・・・・・年金を払うのは先のことだから、今のうち、どんどん使ってしまっても構わない。・・・・・・将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式(税金方式)にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえ・・・・・・」
<引用終了>
「厚生年金保険制度回顧録」というある意味内輪の文からの、それも部分引用なのでどういう文脈の中で使われているかは明確ではないが、それにしても、何ともあきれはてる言葉だ。
これが、civil servantとして国民のお金を預かった人の言う言葉なのだろうか。
まあ、そんなこんなでいろいろ考える機会があり、ただ文句を言うのでなく、わからないわからないと思考停止するのでもなく、小さなことでも何か自分の手で関わること、できることがないだろうかというのが、タスクフォースをお手伝いしてみようかな、と思った理由である。
他人事ではなく、自分のこととして。街角評論家じゃなく、意志を持って関わる人間として。
地道に自分のできることを、できる範囲で、牛が草をはむごとく、淡々とやっていこう、と。
出てきたデータについては、「週刊!木村剛」の「厚生労働省との定期ミーティングを始めます!」の中で紹介されている写真のようなものが延々と4991枚あると思っていただければ。
「平成16年の財政再計算に用いた入力データおよびプログラム」という公開請求に非常にマジメに対応してくださった結果だと思っている。文字通り、そのままのものを過不足なく出していただいたのだと。これ以上でも、これ以下でもない。
そしてそれは「マトリックス」という愛称で呼ばれるシロモノだったと。
よーく目をこらせば、もしくはこの手の業務に関わった方が見れば「ああ、これはこういうことを意味していて、ここにこのデータを入れてシミュレートした結果がこれだよ」なんてことがさらさらっとわかるのかもしれないが、しょせん我々は年金制度にかけてはシロートなので、せめてできる範囲で分類し、ラベリングし、デジタル化に向けて取り組むしかないのだ。手作業で。紙と格闘しながら。今後開かれるという定期ミーティングでいろいろ教えていただきながら。協力していただける専門家の先生方にお渡しできるよう。
長丁場になりそうだが、気負わず、無理せず。一種の社会へのボランティア活動として関わろうと思っている。
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コメント
まちがい芸術大賞受賞おめでとうございます!!
はじめて対面したゴーちゃんに心臓爆発させて倒れそうだった人です。(笑)
改めまして先日はお疲れさまでした!!
間違いの過程を詳細に解説して下さって有難うございます。お蔭様でまた笑わせてもらいました。明日は我が身ですね!(笑)
> ただ文句を言うのでなく、わからないわからない
> と思考停止するのでもなく、小さなことでも何か
> 自分の手で関わること、できることがないだろう
> かというのが、タスクフォースをお手伝いしてみ
> ようかな、と思った理由である。
> 他人事ではなく、自分のこととして。街角評論家
> じゃなく、意志を持って関わる人間として。
> 地道に自分のできることを、できる範囲で、牛が
> 草をはむごとく、淡々とやっていこう、と。
激しく賛同いたします!!
地道に頑張っていきましょう!!
今後ともよろしくお願いいたします!!
投稿: 珠丸 | 2004/07/07 15:40
大変なタスクお疲れさまです。敬服いたします。しかし、まるで暗号複合化みたいですね。厚生労働省の今回のやりかたは、犯罪そのものですね。成果の出ることを期待してやみません。
投稿: 大西宏 | 2004/07/07 15:42
>珠丸さん
先日はお疲れさまでした。
お互いぼちぼち、のんびりいきましょうね。
>大西さん
はじめまして、くりおねと申します。
コメントをありがとうございました。
役に立つかどうかは今はまだわかりませんし、すぐ結果が出るとも思っていませんが、まずは今できることをちょっとずつやっていこうと思っております。
投稿: くりおね | 2004/07/08 11:27