COMIC 「花よりも花の如く」 成田美名子
主人公・榊原憲人(のりと)は能楽の内弟子(第二巻で独立)。神主・弓道一家の父方と能楽師一家の母方という家族の中、3歳からお舞台を踏んだ彼はそのまま能楽の道へ進む。
彼を取り巻く師匠や内弟子仲間、家族や新しく出会う人びととの間で起きるさまざまなできごとの中で、憲人はひとつずつ何かを学び、心のひきだしにひとつずつ入れていく。
まさか能楽がマンガになるとは思っていなかったが、成田美名子の圧倒的な絵の美しさと表現力、そして物語の世界の再現力がそれを可能とした。まるで謡が聞こえてくるような、舞が見えるような、そんな世界なのだ。これは実際生の舞台が見たくなる。
もともとは前作「NATURAL」の登場人物から生まれた外伝なのだが、そちらを知らなくてもまったく問題なく読める。「花よりも花の如く」は「NATURAL」最終巻(11巻)から収録され始め、その巻末に、初めて能を見る人向けガイド(「私をお能につれてって」)なども載っている。参考にして今年中に絶対「能鑑賞デビュー」を果たそうと思う。
ちなみに
「体調を整えて」
「静かに、しゃべらず動かず」
「事前に謡本(あらすじ)を読む」
「わかろうと身構えず、感性を働かせて」
ということが初めて見る人向けの共通的なアドバイスの模様。
高校生の頃演劇部員だったが、練習用に三島由紀夫の「近代能楽集」を使った。「葵上」「熊野(ゆや)」「卒塔婆小町」などの作品は能楽を現代にアレンジしたもので、それが私の「能」への間接的な最初の出会い。今度はその原典を体験しよう。
参考リンク:
銕仙会能楽研究所(公演チケットも買えます)
www.能狂言.com
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コメント
はじめまして。お邪魔します。
別記事ですが、トラックバックありがとうございます。
本当ならそちらのほうの記事にコメントさせていただくところ、成田さんの話がありましたので、嬉しくなってついついこちらに書かせていただきました。
成田さんの作品はどの話も安易に流れすぎなく、かつ画もきれいなので、何度でも読めて大変気に入っています。特に最近は綿密な勉強に裏づけされた作品が多く、「Natural」で仕入れた知識で本職の方に驚かれました。v(^^)
どれも好きな作品なんですが、なぜか今でも「あいつ」が時折無性に読みたくなります。
投稿: ま | 2004/05/18 19:49
ま さん、いらっしゃいませ&はじめまして。K_Sさんとこではお名前はずっとおみかけしてましたが、直接やりとりは初めてですよね。どうでしょうネタ以外でお話するなんて、なんだか不思議な感じもします(笑)
成田さんは安心して追いかけられる、けっこう希有な存在ですね。
「NATURAL」でも地元青森ネタ以外に神道ネタ、弓道ネタなどニッチなところを深~く掘り下げていらして、読んでるだけですごく勉強になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: くりおね | 2004/05/20 00:01
>くりおねさん
中高で仲の良かった友人が(今も会ったりしとるが)
大の成田ファン(エロバチファン)だった。
「CIPHER」まではニシオも完読したが
今もバリバリ活躍してらっしゃるんだー。
扱うテーマが能とは…読んでみたいが
某女性雑誌を買うよりも抵抗感を感じるのはナゼ?(笑)
投稿: ニシオ | 2004/10/05 13:56
>ニシオさん
「エロバチ」!なつかしー。
成田さんはコンスタントに描きつづけていてくれて、うれしい存在です。
テーマは能ですが、わかりやすく描いてるし、ニシオさんが以前興味あるとコメントくださった装束とかもきちんと描き込んでいるんで、次回の「メロディ」に掲載された時にでもぱらぱらと立ち読みされてみてはいかがでしょうか。
ちなみに某女性誌は質・量共に立ち読みを許さない雰囲気だそうです(笑)
投稿: くりおね | 2004/10/05 22:21