BOOK 「伊藤ふきげん製作所」
「良いおっぱい悪いおっぱい」で有名な詩人・伊藤比呂美の最新文庫。
知らない間に彼女は夫と離婚し、ムスメたちを連れて渡米していた。同居人はイギリス人だ。
一言で言えば、彼女が書いた思春期のムスメたちとの格闘記なのだが、これがなぜかものすごくしみた。しみじみしみた。ひとりぼっちのカノコと母の格闘ぶりが、なんだか今の自分にだぶるのはなぜだろう。
ぞうさんの歌への限りない憧憬。無条件の肯定を求めて、でも結局それは自分の手でしか手に入らないことを知ることが、大人になるということなのか。
大人は、さみしいね。
5/5 追記:
カノコとサラがぷにゅぷにゅのほっぺとおしりで母をとろけさせていた「おなか ほっぺ おしり」以来実はこの親子についての本は読んでいなかったので、その環境の変化の大きさにかなり驚いた。
そしてさらに驚いたのは、カノコが「拒食症」になってしまうこと。
母・比呂美が過食症も拒食症もすべて通り抜けた経験者なので、無意識のうちにそういう親の子供は摂食障害にはならない、と思い込んでいたようだ。
似たところでつまづいてしまうのも、親子ゆえということか。
そんな現状の中で、ふつうにうろたえ、ふつうに悩み、ふつうに怒り、そしてふつうに心配していとおしむ彼女の姿に、「カッコよくなんかなくてもいい」「悩んで困ってあたりまえ」「できることをやればいい」「子供が好きだよ、それだけを何とかして伝えてごらん」そう言ってもらえているようで、子供のいない私なのになぜかほっと安心する。
人生いろいろだけどさ、シンプルに生きていこう。そんな気持ちになる一冊。
新潮社 (2003/12)
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